
ICRP(国際放射線防護委員会)とは放射線防護の専門家による一種の国際NGOです。
これまで150近く出されている勧告等は、国連機関の指針等に反映されるとともに、各国の放射線防護に関する法制度等に取り入れられています。
2011年3月の福島原子力発電所の事故に関する日本政府の放射線防護に関する施策も、ICRPの勧告に基づいて行われています。
そのICRPが、現在、福島原発事故を踏まえた新しい勧告を作成しており、その草案がホームページ上に公開され、9月20日を期限としてパブリックコメントが実施されています。
(9/23追記:その後、締め切りは10月25日に延期されています。)
パブリックコメントについては、ICRPのホームページから誰でも書き込むことができます(日本語も可)。
草案本体は英語ですが、概要についてはICRPによる日本語訳がホームページに掲載されており、また、本文についても、NPO市民科学研究室(市民研)など8市民団体有志による翻訳を市民研のホームページ等で閲覧することができます。
さらに、10月25日(金)には東京でICRP主催のシンポジウムが予定されており、日本からのコメントについては、この日までに受け付けるともされています。
今回の草案には、過去の勧告と異なる内容も含まれています。
例えば放射能防護の参考レベルは、2008年勧告では「年間1~20ミリシーベルトの範囲」とされていましたが、今回は10ミリシーベルトという数値が明記されました。
これは現行の日本の避難指示時解除の基準(20ミリシーベルト以下となることが確実)と異なり、また、さらに低い値とすべきというコメントも出されています。
ICRPは当事者(ステークホルダー)の声を重視するとしていることもあり、パブリックコメントは、世界に日本の現実を知らせるいい機会であることは間違いありません。
[参考]
ICRPホームページ(パブコメ)
http://www.icrp.org/consultation.asp?id=D57C344D-A250-49AE-957A-AA7EFB6BA164
市民研ホームページ(ICRP草案の日本語訳等)
https://www.shiminkagaku.org/icrpdraft_translation/
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-No.176
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/pr/