【ほんのさわり】映画『そらのレストラン』 

今回は「ほん」ではなく、2019年1月に公開された日本映画『そらのレストラン』(監督・脚本:深川栄洋)を紹介します。
 https://sorares-movie.jp/

 舞台は北海道南部にあるせたな町。
 主人公の設楽亘理(大泉洋)は、海のみえる牧場で酪農を営みながら、チーズ職人の大谷(小日向文世)に弟子入りしてチーズ作りに取り組んでいます。
 妻(本上まなみ)と娘との三人家族の1日は、声を揃えての2度の「いただきます」からスタート。1度目は窓の外(食を恵んでくれる空、大地、海)に向かって、2度目は食卓の上の朝食のお皿に手を合わせて。

 ある日、農業や漁業を営む仲間達と定期的に開催している朝市に、道ばたの草でも何でも口に入れるヘンな男性客が現れ、設楽たちの食材が美味しいと激賞。しかもその男性が札幌の有名レストランのカリスマシェフだと知り、亘理たちは自分たちの食材を使った1日限りのレストランを開くことを夢見ます。
 ところが、頼りにしていた大谷が病気で急逝したことをきっかけに仲間との間に亀裂が入り、理想のチーズ作りに絶望した亘理は、一時は酪農を廃業することまで思い詰めます。

 その後のストーリーはここでは紹介しませんが、印象的なのは、何と言っても豊かな自然。その中で育まれる最高の食材が、シェフの手で見事な料理に生まれ変わります。
 その料理を頂いた人達の笑顔、笑顔。亘理達もシェフも、みんな笑顔、そして涙も。

 この映画は、実在の生産者グループをモデルにしているそうです。
 本当に美味しいものはそれぞれ地域にあることが、この映画からも伝わってきます。