【ブログ】浜通りの農家を巡るスタディツアー2019(1)

今年の「浜通りの農家を巡るスタディツアー」は、2019年11月23~24日に開催されました。

 主催はNPO法人福島県有機農業ネットワーク(ふくしま有機ネット)。福島・浜通りの農業の復興状況を現地の生産者等との交流を通じて学ぼうというツアーも4年目とのこと。
 私は昨年に続いて2回目の参加です。

 23日(土・祝)は生憎の雨。
 午前9時前に福島・郡山に到着。集合時間まで市内を散策。細かな雨が降ったり止んだり。

 徒歩10分足らずで安積国造神社(あさかくにつこじんじゃ)へ。
 安積発祥と刻まれた石標を、なぜか大きなお多福の面が見下ろしています。
 境内には幕末の儒者・安積艮斎(あさかごんさい)の像も。残念ながら記念館は開館前でした。

2基の山門がある如宝寺を経て麓山公園(はやまこうえん)へ。

 安積疎水が通水したのを記念した飛瀑は、生憎とこの日は水は流れていませんでした。
 荒池公園には、まだ見事な紅葉が残っています。

集合時間の11 時に駅の東口へ(東口に来たのは初めてです)。主催者の浅見彰宏さん(ふくしま有機ネット理事長)が待っていて下さいました。
 東京からのもう一人の参加者、浅見さんのお嬢さんとの4人で浪江町に向かいます。

 途中、大熊町のもーもーガーデンの脇を通過。帰還困難区域内に残された牛たちが保護・ 飼養されています。
 昨年のツアーでは代表の谷さんから話を伺うことができました。

 大熊町から双葉町にかけては帰還困難区域が残り、国道6号線から脇に入る道や住宅入り口は、ことごとくフェンスで遮られています。

13時を回って浪江駅前に到着。
 ここは2017年の3月に避難指示が解除され、今は不通のJR常磐線も明年3月に再開予定です。
 ここで現地コーディネーターの鈴木亮さん(ふたば地域サポートセンター)と合流。8ヶ月の子どもを抱いた奥様とも久しぶりに再会。

 駅近くで開催されている「十日市祭り」を見学させて頂きました。
 震災前はかなり大規模に開催されていたそうですが、原発事故による全町避難で中断。避難指示解除後の昨年に復活してから、今年は2年目とのこと。

生憎の雨模様でしたが、多くの屋台が並び、大勢の人で賑わっています。

 石井絹江さん(石井農園)の姿もありました。
 原発事故の前は町内で酪農を営んでおられましたが、避難に伴い廃業、現在は福島市でエゴマ等の栽培や加工に取り組んでおられます。
 また、「浪江まち物語つたえ隊」の一人として、震災と原発事故避難の話を紙芝居で伝える活動もされています。

体育館の中では、各自治体の方たちの手工芸品等の作品展。ホールでは民謡大会で盛り上がっています。
 屋外にもステージがあり、ここではライブ演奏やお笑いショーなど。
 元マリーンズの里崎選手やアントニオ猪木の姿も(!)

各自、屋台で好きなものを求めてテントの下で昼食。
 私は青年会議所の坦々芋煮と、 名物の「太い!」浪江焼きそばを頂きました。ご馳走様でした。

 食事後は、沿岸部の請戸地区を訪ねました。
 かつて県内有数の漁港があり、住宅等が立ち並んでいたらしい一帯は、津波の被害を受け、ほとんど一面が草原です。除染廃棄物が処理されている土地もありました。

 旧請戸小学校の校舎が、ぽつねんと遺されていました。
 割れた窓ガラスからカーテンが覗くなど、被災当時の姿のままです。震災遺構として保存される方向とのこと。

 幸い生徒達は高台に避難して犠牲者は出ませんでしたが、請戸地区全体では多くの方が亡くなっています。

児童達が避難した高台の上は霊園となっており、慰霊碑には犠牲となった200名以上の方々のお名前が 刻まれていました。
 小学校の建物も見えました(子どもの足にはかなりの距離です)。
 
内陸部の葛尾村へ。
 この日の宿泊場所である「かづろうさんげ ZICCA」に到着したのは17時過ぎ。すっかり暗くなっていました。 民家の離れ等を改装した民泊施設です。

 オーナーの下枝浩徳さんが待っていて下さいました。
 地元出身で震災後に帰郷し、(一社)葛力創造舎の代表理事として、ユニークで様々な地域づくりに積極的に取り組んでおられる方です。

 荷物を置いて、入浴のためにせせらぎ荘へ。
 ここでは、しみちゃんが出迎えてくれました(凍み餅のキャラクターのようです)。

ZICCAに戻ると、亮さん達が夕食の準備をして下さっていました。

 昨年のツアーでもお世話に なった楢葉町のユズ農家・松本広行さんはゆず酒「ゆず里愛」を持参して来て下さいました。
 「アニマルフォレストうつしの森」(田村市船引)の吉田さんご夫妻は、羊のお肉を持って来て下さっています。

 東京出身で亮さんと同じ職場で働いておられる方も加わって、賑やかな夕食交流 会に

楢葉の木戸川に戻ってきた鮭の酒浸し。お酒も楢葉のものです。

 地元の女性達が届け下さった菊のお浸しやいか人参など。
 吉田さんが持って来て下さった羊の肉は、軟らかく、クセもなく美味でした。

仁井田本家(郡山)の自然酒・限定品なども。
 気がつけば日付が変わっていました。布団は、下枝さんが準備して下さった湯たんぽのおかげで、ぽかぽかです。
(2日目に続く。)