
-駒崎弘樹『「社会を変える」を仕事にする-社会起業家という生き方』(2011.11、ちくま文庫)-
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480428882/
著者は1979年東京・江東区生まれ。
大学在学中にITベンチャーの社長になるものの事業拡大路線に疑問を感じ、卒業と同時に仲間と袂を分かって退職。
「社会の役に立ちたい!」と強く思うもののの具体像は見つけられず、実家から勘当される等の苦しい状況のなかで留学したアメリカで見たものは、ホームステイ先の同年代のホストブラザーが、2軒先の一人暮らしのお婆ちゃんの家の前の雪かきを当たり前のようにする姿でした。
また、アメリカには「事業によって社会問題を解決する」NPOやソーシャルベンチャーがあることを知り、驚くとともに、進むべき方向を見つけたのです。
病児保育サービスというテーマに着目したきっかけは、子どもの頃に病気になった時、働いていた母に代わって「近所のおばちゃん」が面倒を見てくれていたという記憶。
そのような近所の助け合いを事業(社会的なサービス)にしようと思い立ったのです。
行政や政治家の無理解と妨害、既存の保育事業者からの反発など何度も挫折しそうになりながら、2005年4月にNPO法人フローレンスを立ち上げます。
その後も様々な苦難を経験しつつも、学生ボランティアやプロボノなど様々なサポートも得て、新しいサービスが全国に広がって行く様子が生き生きと綴られています。
また、巻末には具体的なアドバイス、ソーシャルベンチャーと参考文献のリスト、用語集も収められているなど、実用的なマニュアル本としても活用できます。
「社会起業家が行うソーシャルビジネスとは、たとえて言うと砕氷船のようなもの。小さな船が作った新しい航路を、タンカーや豪華客船(国や自治体や企業)が後から通り、規模の大きな仕事をすればいい」
「気付いた個人が事業を立ち上げ、地域から社会問題を解決できる時代になっているのだ」と著者は訴えます。
「文庫版へのあとがき」で記されている通り、2007年に出版されてからの8年間でソーシャルベンチャーに対する人々の意識や認知度は大きく変化しているとのこと。
「社会を変える」を仕事にできる時代を、今、私たちは迎えているのかも知れません
[参考]
駒崎弘樹公式サイト | NPO法人フローレンス代表理事
https://www.komazaki.net/
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
No.187、2020年2月23日(月)[和暦 如月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
(過去の記事はこちらに掲載)
http://food-mileage.jp/category/br/