【メルマガ】F.M.Letter No.227

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.227◇
 2021年10月6日(水)[和暦 長月朔日]
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◆ F.M.豆知識  すし(外食と弁当)の消費額の推移
◆ O.カレント  国連食料システムサミット
◆ ほんのさわり 影山知明『続・ゆっくり、いそげ』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 ようやく緊急事態宣言等が全面的に解除され、政治も大きく動いています。世の中の空気が良い方向に変わることを期待したいものです。暦は長月、二十四節期では間もなく寒露に入ります。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録下さった皆様に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/

−すし(外食と弁当)の消費額の推移−

日本の伝統食であるすしは、外食や持ち帰りでも人気のメニューです。
 リンク先の図227は、家計における2017年から20年にかけてのすし(外食及び弁当)への消費額の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/10/227_sushi.pdf

 これによると、2020年のすし(外食)に対する支出額は、全国平均で2017〜19年平均に比べて14.3%減少しているのに対し、すし(弁当)に対する支出額は同6.4%増加しています。この結果、すしへの支出額については、外食と弁当(持ち帰り)が逆転しているのです。
 この傾向は、もともと外食志向が高い東海地方、逆に箱寿司や柿の葉寿司など持ち帰りが多い近畿地方でも、同様となっています。

 これは言うまでもなく、新型コロナウイルス感染の拡大により飲食店の営業に大きな悪影響が出たことが原因ではありますが、ライフスタイルの変化に伴い、すしという伝統的な食品の消費構造も変化しつつあることを示唆しているのかも知れません。

[資料]
 総務省「家計調査」(2人以上の世帯)
 https://www.stat.go.jp/data/kakei/index.html

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/pr/

−国連食料システムサミット−

写真は国連HPより。https://www.un.org/en/food-systems-summit/about

去る2021年9月23日(木)〜24日(金)の2日間、国連食料システムサミットがオンラインで開催されました。これは、SDGsの達成に向けて、グテーレス国連事務総長の呼びかけにより初めて開催されたもので、世界の150か国以上の首脳・閣僚のほか、趣旨に賛同した多くの民間企業・団体等が参加しました。
 日本の菅首相からは、「みどりの食料システム戦略」を通じて持続可能な食料システムの構築を進めていく等のコミットメントがなされました。

これらを踏まえて議長から発出された「共同宣言」では、飢餓の撲滅と栄養の確保、環境と調和した農業の推進、透明性のある貿易ルール、パンデミック下でのサプライチェーンの強靭化等が強調されています。
 これらの課題について多くの関係国・関係者の間で合意形成がなされたことには大きな意義がありますが、一方で、今回のサミットには大企業の関与が強くなっていること等を理由として、GNOや市民団体の多くが参加をボイコットしました。
 目指すべき目標は共有されているものの、その実現のプロセスや方法論については大きな見解の違いが世界に存在しています。

[参考]
 農水省HP「国連食料システムサミット」
 https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kanren_sesaku/FAO/fss.html

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/

−影山知明『続・ゆっくり、いそげ』(2018.11、クルミド出版)
 https://www.kurumed-publishing.jp/books/10

著者は1973年東京・国分寺生まれ。外資系の大手コンサルティング会社を経てベンチャー投資ファンドを創業、独立。いわばグローバル資本主義のど真ん中で活躍されていた著者は、2008年、西国分寺駅に近い生家の地にシェアハウスとカフェ(クルミドコーヒー)をオープンし、地元をフィールドに様々な社会的な活動・実践に取り組むようになりました。

本書は、前著『ゆっくり、いそげ 〜カフェからはじめる人を手段化しない経済〜』(2015、大和書房)で提示した「仮説」について、その後の実践・経験を踏まえて自ら証明を試みようとしたものです。
 その仮説とは、「時間をかけ、手間ひまをかけ、贈る(ギブする)仕事を突き詰めていけば、世の中の価値の総和を大きくし、結果として経済も成長する」というもの。
 
 著者の実践は、カフェの営業(2017年には2店目もオープン)、カフェを会場とした演奏会、哲学カフェ、読書会等の開催、カフェ内に書店の併設(地域の方が持ち寄った本も)、出版事業、地域通貨「ふんじ」の発行、田んぼづくり(古代赤米の復活)などに拡がり、着実に地域に根付きつつあります。

その一方、自らの存在は「風前の灯火」かも知れないいう恐れもあるそうです。経済合理性のみを追求する現代社会では、極端に大きな大企業か、極端に小さな個人店しか生き残れなくなるだろうという危機感を有しているからです。
 それでも著者は、「経済合理性から最も遠い中途半端な存在」であるものの、「一人一人が大切にされる社会をつくる」「金銭換算できない価値を大事にできる社会をつくる」ための「先兵であり続けたい」「行けるところにまで僕らの道を行こうと思う」と語っておられます。

近年、資本主義や経済成長のあり方について様々な論調がありますが、本書では、単なる理論や思想に留まらず、地元・国分寺で実践し、実績を上げていることが詳らかに紹介されています。ローカルの実践から、日本、世界全体を覆うシステムへの挑戦を続けておられるのです。

[参考]
 トークイベント録画「『ゆっくり、いそげ』のこれまでとこれから」(2021.9/20、胡桃堂喫茶店)
 https://www.youtube.com/watch?v=GI-OT2EqO0g

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
 ○ 『ゆっくり、いそげ』のこれまでとこれから(東京・国分寺)[9/23]
 https://food-mileage.jp/2021/09/23/blog-336/

○ 2021年9月も終わり(もちよりブックス、おしどりさん)[9/30]
 https://food-mileage.jp/2021/09/30/blog-337/

▼ 筆者が企画・進行役を務める食農市民談話会(全6回)の最終回です。まだ少し先ですが、参加者募集中です。
 ○ 第6回 食と農の市民談話会
 日時:11月 9日(火)19:00 〜21:00
 話題提供:平賀 緑さん(京都橘大学准教授)
 『食と資本主義の歴史ー人も自然も壊さない経済とは?』(仮題)
 場所:オンライン
 主催:NPO 市民科学研究室
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.shiminkagaku.org/agrifoodmeetings/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 奥沢ブッククラブ第72回 トニ・モリスン『スーラ』
 日時:10月11日(月)19:00〜21:00
 場所:オンライン
 主催:奥沢ブッククラブ
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/138487378480870

○ 第31回市民科学入門講座−江戸の「市民科学者」安藤昌益
  講師:石渡博明さん(「安藤昌益の会」事務局長)
 日時:10月11日(月)19:00〜20:30
 場所:オンライン
 主催:NPO市民科学研究室
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.shiminkagaku.org/csijwebinar_introduction/

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「こんなに何もかも値段が上がったら、家計がもたないわ」
「ほんと、値上げ(音上げ)の10月ね」

 コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.228は10月20日(水)[和暦 長月十五日]に配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
 https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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