気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2021年8月に発行した第6次評価報告書(AR6 WG1)では、「人為的な温室効果ガス排出量の増加が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」とされています。
リンク先の図230は、世界の経済部門別の温室効果ガス(GHG)排出量の構成比を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/11/230_GHG.pdf
これによると、世界のGHG排出量は全体で520億トン(二酸化炭素換算)となっており、うち一次産業(「農業」及び「林業その他の土地利用」)のシェアは23%と、全体の約4分の1を占めています。
農業に関しては、水田からの、あるいは牛の反芻(げっぷ)によるメタンの排出が主なもので、「林業その他の土地利用」については、木材生産に伴う森林劣化、森林の農地への転換等が内容となっています。
つまり、農林業自体から排出されるGHGだけではなく、吸収源である森林が減少することによる効果も含まれています。
なお、森林ほどは注目されていませんが、適切に管理された農地も同様に炭素を固定する吸収源としての機能も有しています。
ちなみに日本国内におけるGHG排出量(12億トン)に占める農林水産分野のシェアは約4%と、相対的に小さなものとなっていますが、これは、国内では森林を大規模に伐採して農地開発することが行われていないこと、食料の多く(カロリーベースで63%)を輸入に依存していること等の事情が背景にあるものと思われます。
[資料]
1) IPCC土地関連特別報告書(2019)
https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2019/08/Edited-SPM_Approved_Microsite_FINAL.pdf
2) IPCC第5次報告書第3作業部会報告書(2015)
https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th_pdf/ipcc_5th_report_wg3.pdf
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.230、2021年11月19日(金)[和暦 神無月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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