【ブログ】2022年 堰浚いボランティア 前日(猪苗代など)

2022年のゴールデンウィークは、久しぶりに福島・会津へ。
 喜多方市の山間部・山都町に本木上堰(もときうわぜき)という山腹水路があります。江戸時代に開鑿されてから300年近く、地域の棚田(2021年「指定棚田地域」に指定)を潤し、米作りを支えてきました。
 その水路を維持・整備するための「堰浚い(せきさらい)ボランティア」が、5月4日(水、みどりの日)、3年ぶりに開催されることとなりました。

主催者は、この堰を守ることを基軸に、棚田、里山、中山間地農業を守る活動をされている「本木・早稲谷 堰と里山を守る会」。
 メンバーのお一人である浅見彰宏さんからは、このボランティアのことは本年1月の「第7回 食と農の市民談話会」を含め何度も話を伺っていたのですが、今回、初めて参加させて頂くことにしました(かなりキツイと伺っていたので、内心、戦々恐々ではあります)。

「守る会」のフェイスブックページには、「久しく出番がなかったフォークやスコップなどの道具たちも、首、ではなく柄をなが~くして待っています」との投稿も。色々と準備して下さっているようです。

堰浚い前日の5月3日(火、憲法記念日)は快晴。
 その前日(月曜)朝に、やっとチケットが取れた東北新幹線やまびこ353号は、8時56分に福島・郡山駅に着。大宮から50分ほどの近さです。駅レンタカーを借りて、最初の目的地である猪苗代へ。
 GWで少し心配していましたが、国道49号は渋滞もなく快適。途中、雨がポツポツと落ちてきました。

やがて左側に広大な猪苗代湖が見えてきて、10時過ぎに猪苗代町に到着。柏木智帆さんに連絡すると、お嬢さんを連れて迎えに来てくださいました。
 柏木さんは元新聞記者で、自ら米作りやおむすびやさんをされた後、ご縁があって、この地のつちや農園の方と結婚されました。現在も「お米ライター」として、ブログ等で積極的に情報発信を続けておられます(いつも勉強させて頂いています)。

 私ども夫妻は、以前に柏木さんが福島オーガニックコットンのボランティアバスのコーディネート役をして下さった時以来、お世話になっています。

 田んぼに案内して下さいました。
 ご主人がトラクター作業の手を休めて待って下さっています。東京で音楽活動をされていたそうで、スリムで逞しい体格をされたイケメンです(失礼)。

 磐梯山の麓、猪苗代湖との間に広大な田園風景が広がっています。同じ福島県でも、喜多方市山都の山間部とは大違いです。
 陽は隠れ、冷たくて強い風が吹くなかで(朝は雪が降っていたそうです)、お話を伺うことができました。

左はつちや農園HP、右は会津春泥HP

つちや農園さんは兄弟で規模拡大し、有機農法や自然栽培に取り組みつつ、希少な伝統品種なども積極的に作付けされています。多くの受賞歴もあり、昨年は「ゆうだい21」という品種で米・食味分析鑑定コンクール:国際大会の特別優秀賞を受賞されました。

 また、消費者や酒造会社への直接販売に取り組んでおられ、さらに最近、地域の生産者の方たちと「会津春泥」というグループを作り、自然栽培米を原料とした酒造りも始められたそうです。

 それでも、米の値段が低迷しているため、苦慮されているとのこと。
 コロナ禍に続くウクライナ危機により、小麦や油脂原料など輸入食料の価格が高騰する一方で、国内産の米については、コロナ禍による外食不振もあって需要が減退し、在庫が積み上がり価格は下落傾向で推移しています。
 中東やアフリカ等では、食料価格の高騰が政情・社会不安につながることさえ懸念されている中、日本では米が自給できていることで安心感があります。

 しかしそのお米は、当然ながら、自然にできている訳ではありません。
 ここ猪苗代町を含め、全国各地の生産者の方たちが、農地と環境を守りつつ生産して下さっているお蔭であることを、(私自身を含め)都市部の消費者は肝に銘じる必要があると思います。 

帰り際、柏木さんから貴重なお米を頂きました。
 静岡・藤枝市の篤農家の方がコシヒカリから発見・育成した「カミアカリ」という玄米食専用の品種で、大きな胚芽が特徴です(つまり、一般的な品種よりも多くのビタミンやミネラルを含んでいます)。現在の生産者は、つちや農園を含め全国で7戸のみとのこと。

 帰宅後、さっそく炊いて頂いてみました。胚芽のプチプチした食感と旨味は、今まで食べたことのない美味しさです。
 (カミアカリについては柏木さんのブログでも詳しく紹介されています。また、つちや農園さんのHPから購入することもできます。)

田植えに向けてお忙しい農作業の邪魔をした上に貴重なお米まで頂き、深くお礼を申し上げて辞去した後は、観光です。
 目的地は大内宿(南会津郡下郷町)。茅葺きの民家が並ぶ江戸時代の宿場町として、有名な観光スポットです。

国道121号線を快適に南下。ところが目的地の2km手前で渋滞にはまり、ここから駐車場に入るまで優に2時間(!)を費やしてしまいました。やはりGWをナメてはいけません。

それでもようやく到着すると、街道の両側に並ぶ茅葺の家並みは素晴らしく、背後の高台からの景観も見事です。せせらぎが流れ、青空には鯉のぼりが泳ぎ、桜や水仙など様々な花も咲き誇っています。
 当てにしていたお蕎麦屋さんは、どこも行列。ということで、いももちと天ぷら饅頭で遅い昼食(美味しい郷土料理でした)。

想定外に時間を費やしてしまい、喜多方市山都町に隣接する高郷町の民宿「やましょう」に到着したのは、目論見よりだいぶ遅れた17時過ぎ。
 宿の方に聞くと、電車で到着した一行はとっくに棚田の見学と温泉に向かわれたとのこと。
 急いで温泉(いいでのゆ)に行き、戻ってきて、広間でボランティアの皆さんと合流。NPO市民科学研究室の上田昌文代表も参加されています。

19時からの食事の前に、「守る会」の大友さんから翌日のスケジュールや注意事項の説明がありました。3年ぶりの堰浚いには、関東等から40名以上のボランティアが参加する予定とのことです。

 その大友さんは、説明が終わるとすぐに帰られました。
 コロナが終息しない中、県外を含むボランティアの募集には慎重な意見もあったようで、細心の注意を払いながら実施することを決断されたそうです(おかげでようやく参加することができました)。
 なお、残念ですが、今回は現地の方たちとの交流は予定していないとのことです。

残った人たちで夕食を頂きました。毎年、参加していて今回は来られなかった方が、何本もの日本酒を差し入れて下さっています(有難うございます。美味でした)。
 「常連」の方も多いようです。男女はほぼ半々、子どもを連れて参加されているご家族も何組か。

 騒ぐことはできませんが、美味しい食事とお酒を頂きながら、参加者同士で21時過ぎまで交流させて頂きました。
 さて、翌日はいよいよ堰浚いの当日です。(続く)