【ポイント】
小規模層では「田んぼの見回り」等の管理作業に多くの時間が費やされており、丁寧な稲作が行われていることが伺えます。
日本農業の平均規模は約3haと、アメリカ180ha、イギリス80ha、EU(27か国)17ha等と比べて狭小であることから、規模拡大等による労働生産性の向上が課題とされています。
米の生産コスト(10a当たり全算入生産費)をみると、作付規模15ha以上層では平均を23%下回っており、特に労働費(コスト全体の21%)は平均を41%下回っているなど、規模拡大の効果が見られます。
リンク先の棒グラフは、米の作業別の労働時間を作付規模別にみたものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/05/292_kanri.pdf
働時間の合計は15ha以上層では平均を42%下回っており、規模拡大は労働時間の縮減にも有効であることが分かります。
一方、作業別にみて最も長いのが「管理」です。これは、けい畔(あぜ)の草刈りや水管理(かん水、落水溝堀り)等の作業で、いわゆる「田んぼの見回り」の時間です。
「管理」は平均で全労働時間の26%を占めていますが、これを作付規模別にみると、1ha層未満の小規模層では30%以上を占めており、5ha以上層になると20%程度へと低下していることが分かります。一方、この作業は田植えや稲刈りのように機械化が困難な作業でもあります。
小規模層では、これら「田んぼの見回り」等に費やしている時間が長く、丁寧な稲作が行われていることが伺えます。
[データの出典]
農林水産省「令和4年産米生産費(個別経営体)」から作成。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/seisanhi_nousan/index.html
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.292、2024年5月22日(水)[和暦 卯月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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