2024年6月9日(日)の朝は、東京・虎ノ門へ。
9時30分から官民競争HUBで開催されたのは、第203回 霞ヶ関ばたけ。民間企業、公務員など様々な方々が参加する若手を中心とした朝の勉強会。私は前回に引き続いての参加です。
テーマは「人間と地球を幸せにするフードシステムの構築〜プラネタリーヘルスダイエットとは」。
プラネタリーヘルスダイエットには以前から関心があり、本(ジェシカ・ファンゾ『食卓から地球を変える』)やネット上の情報などで勉強してきたのですが、今一つよく理解できなかったところ、何と『食卓から〜』の翻訳者である手島祐子さんご自身が登壇されるというので、大いに期待して参加しました(実は去る6月2日の東京・新橋での映画上映会で、初めてお目に掛かってはいました)
主催者の方からの「ともに明るい未来を創っていくため、お互いを尊重しながら対話しましょう」等の挨拶に続き、20名ほどの参加者一人ひとりから自己紹介。
分かりやすいパワーポイントの資料を用いながら、手島さんの話が始まりました(文責・中田)。
管理栄養士の手島さんは、青年海外協力隊としてのインドネシア滞在の経験もあり、現在は開発コンサルタント会社の海外事業部門に勤務されているとのこと。
『食卓から~』の紹介もありました。
「胸が熱くなるような素晴らしい本に出会い、使命感を持って翻訳に取り組んだ。一人でも多くの人に本書のメッセージが届き、これからの私たちと地球の健康について考え、行動するきっかけになればと思っている」とのコメント。
Yahoo! JAPAN SDGs の取材記事(「私たちの健康と地球との共存を実現する食べ方を知ろう」)も紹介して下さいました。
プラネタリーヘルスダイエットとは、医学など様々な分野の専門家からなる「イート・ランセット委員会が、『健康的な食事』と『持続可能な食料生産』に関する世界的な科学的目標を示したものとのこと。
昭和女子大・増野華菜子先生とともに日本語版を翻訳されたサマリーレポートも、配布して下さいました。これがなかなか分かりやすい。
プラネタリーヘルスプレートは、体積比で約半分を野菜と果物で構成し、残りの半分をカロリーへの寄与度で表示したもの。食事には地域差が大きく、裕福な国々を中心に砂糖や赤身肉の消費を50%以上削減する必要があるとのこと。
手島さんは、プラネタリーヘルスダイエットの考え方を広く知ってもらいたいとの熱い思いから、自らの1週間の食生活について、プラネタリーヘルスダイエットにチャレンジしたそうです。分かりやすく、かつ実践しやすいように、あえて動物性たんぱく質にフォーカスしたとのこと。
野菜等でかさ増ししたり、具沢山のお味噌汁を食べることで満足感があり、食費を抑える効果もあったとの報告でした。
会場との意見交換。
「プラネタリーヘルスダイエットを推進すると、植物性食品・植物性の加工食品を作る多国籍企業に依存するようになってしまうのでは」との質問には、手島さんは「植物性食品だからといって何でも良いわけではなく、植物性の加工食品に注意するように呼び掛けるレポートも出ている。FAOやWFPは多種多様な農作物を栽培する小規模農家を重視している。生物多様性の観点からも重要」との回答。
食肉の消費減は畜産農家の経営に影響するのでは、との質問には、
「今のお肉が安すぎることも問題。お肉の値段が正当な価格になり(値上げ)、そのため少量消費するようになれば、生産者の所得確保にも環境保全にも、健康向上にもつながるのでは」との回答。
関連して、熊本の実家があか牛の普及に努めておられるという方からの発言も。
手島さんは「このような私の話を聞いて、自分にできることが分かって良かったという感想を頂くこともある。一方で、様々な事情から自炊が負担になる方もいる。アプローチは人によって違う」とも発言されました。
最後には、今回も高田有菜さんによるグラフィックレコーディングが映写され、全員で記念撮影。
手島さんとは、これからも読書会などでご一緒させて頂く予定です。様々な学びを頂けそうです。
(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、登録無料)
https://www.mag2.com/m/0001579997