−アリス・ウォータース『スローフード宣言−食べることは生きること』(2022/11、海士の風)−
https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=05_90993402/
【ポイント】
著者はファストフードとスローフードを対峙させつつ、「食べることは生きること」「何を食べるかが世界に大きな影響を与える」と主張しています。
1971年、著者はアメリカ・カリフォルニア州バークレーに「シェ・パニーズ」をオープンしました。オーガニックとローカルをコンセプトに「顔のみえる食材」を提供するレストランは、現在、最も予約が取りにくい店と言われているそうです。
著者は、イタリアのスローフード運動の提唱者であるカルロ・ペトリーニ等との交流、ファーマーズマーケット(産直市)やエディブル・スクールヤード(学校菜園)の取組みを進めるなかで、「食べることは生きること」という確信を得ていきます。
本書では、現代の世界を席巻しているファストフード的価値観(便利、いつで同じ、安さ等)と、それに対峙するスローフード的価値観(美しさ、生物多様性、旬、繋がり等)の決定的な違いを整理し、「スローフードは、私たちが畏怖すべき自然と繋がっていることを意識させてくれる共有財産。何を食べるかが世界に大きな影響を与える」としています。
アメリカでスローフード的な取組みが広がっている背景には、アメリカの消費者のなかに、オーガニックやローカルには(健康や安心等の「利己的」だけではない、環境等の)社会的な価値があるという認識が、広く共有されていることがあると思われます。
著者は、本書の日本での出版を記念して来日し、日本各地の生産者や事業者と交流しました。その様子はドキュメンタリ映画として記録されています。
しかし、この映画で紹介されているのは、例えば高級な京都の日本料理店や島根の武家屋敷をリノベーションした宿屋。これでは、日本においてはオーガニック(有機)やローカル(地産地消)の取組みは、経済的に余裕がないと実現できないかのような誤解を与えかねず、この点は残念でした。
[参考]
ドキュメンタリ『食べることは生きること〜アリス・ウォータースのおいしい革命〜』公式サイト
https://www.cinemo.info/128m
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.293、2024年6月6日(木)[和暦 皐月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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