【豆知識】出生率が高い市区町村の特徴

【ポイント】
 出生率上位20位の市区町村は、人口が過度に集中していない、単独世帯が少ない、農林漁業のウェイトが大きい等の特徴があります。

本年6月の厚生労働省の公表によると、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は、2023年で1.20と過去最低を更新しました。これと市街化との関連を都道府県別にみたのが前号の分析でした。
 https://food-mileage.jp/2024/07/03/mame-294/

今号では、本年4月に公表されている2022年の市町村別の出生率を用いて、上位20市区町村の特徴を様々な指標から明らかにすることを試みました。リンク先の図295は、各種指標について、出生率の上位20市区町村と、全国平均、下位20市区町村を比較したものです(上位/下位の具体的な市区町村名等は図の脚注をご覧ください)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/07/295_shusshou2.pdf

これによると、出生率の高い市区町村では市街地(人口集中地区)の人口の割合は低く、前号の分析結果と同じ傾向となっています。また、世帯員が一人の単独世帯の割合は相対的に低くなっています。
 一方、出生率の高い市区町村は、耕地面積の割合、農家の割合、一次産業就業者の割合からみて、農林漁業のウェイトが大きいという特徴があります。さらに、犯罪数は少ない傾向がみられます。
 なお、出生率の高い市区町村では、1戸当たり平均の経営耕地面積は全国平均よりも小さく、相対的に「小農」が多いことが伺われます。

 このように、各種指標を用いて、出生率の高い市区町村を全国、低い市区町村と比較することによって、少子化対策のヒントを得ることができるかも知れません。

[データの出典]
総務省「社会・人口統計体系データベース」を用いて作成。
 https://www.e-stat.go.jp/regional-statistics/ssdsview/municipality
1戸当たり平均経営耕地面積は農林水産省「農林業センサス」(総農家)から作成。
 https://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afc/2020/030628.html
 なお、上位/下位市区町村については、厚生労働省「平成30年〜令和4年 人口動態保健所・市区町村別統計の概況(人口動態統計特殊報告」(p.3)による。
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/other/hoken24/dl/gaikyou.pdf

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.295、2024年7月6日(土)[和暦 水無月朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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