【ポイント】
新潟県では、昨年の猛暑と水不足により米の品質が大きく低下しました、本年も昨年と同様、猛暑が続いており、8月の気候が気掛かりです。
昨年産の全国の米の作況指数は101と平年並み、1等米比率は60.9%(本年3月末時点。2022年産は78.5%)となりました。しかし都道府県別にみて最もシェアの大きい(8.3%)新潟県では、作況指数は95の「やや不良」となり、一等米比率は14.8%(2022年産は73.9%)と大きく低下しました。これが現在の米価格「高騰」の背景となっています(前号参照)。
新潟県においては、昨年12月、有識者によって構成される研究会が要因分析と次年度以降の対策についての報告書を公表しました。これによると、品質低下の要因は“災害級の異常気象”ともいえる8月の高温と渇水とのことです。
リンク先の図297は、一昨年末から今年7月にかけての新潟県内の4か所(高田(上越市)、十日町市、新潟市、相川(佐渡市))の気温と降水量等の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/08/296_niigata.pdf
昨年の気温(平均気温、最高気温)についてみると、いずれの地域においても7月は平年より1〜2℃高い水準だったのが、8月に入って平年を3〜5℃と大きく上回る高温に見舞われたことが分かります。3度の台風等によるフェーン現象もありました。一方、8月の降水量は平年の1〜19%にとどまりました。
さて、今年の7月の気温は、いずれの地域でも昨年と同様、平年より1℃以上高くなりました。一方、降水量には恵まれたものの、1〜2月の降雪量が少なかったことの影響も懸念されます。
新潟県では、品種構成を含む作付計画づくり、施肥管理、水管理等の対策に万全を期しているところですが、仮に今年も昨年と同様の気象となった場合には2年連続の不作となり、さらなる価格高騰や品不足等の事態となる恐れも否定できません。
私たち消費者としては、新潟県における8月の気候を注視しつつ、産地や生産者の努力をサポートしていくという視点が必要です。
[データの出典]
気象庁「過去の気象データ検索」を用いて作成(右上のバナーからダウンロードできます)。
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
(参考)
新潟県「令和5年産米に関する研究会」
https://www.pref.niigata.lg.jp/site/nouen/r5inasaku-kenkyukai.html
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.297、2024年8月4日(日)[和暦 文月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
(↑ 配信登録(無料)はこちらから)
(↓ 「豆知識」のバックナンバーはこちら)
https://food-mileage.jp/category/mame/
(↓ メルマガ全体のバックナンバーはこちら)
https://food-mileage.jp/category/mm/