お盆の週も明けた2024年8月20日(火)は、所用があって東京・北品川へ。
Oさんの青果店を覗いてみるとちょうどお店におられ、久しぶりにお話をさせて頂きました。変わらずにご活躍のご様子で、今年も年末には品川神社で品川蕪(カブ)品評会を開催されるとのこと。私も2017年の会以来、久しぶりに足を運んでみたいと思います。
種も頂いたので、これは9月に入ると撒いてみます。
その後、久しぶりに東京・九段の靖国神社に足を運んでみました。
青空、強い日差し。最近は、中国人による不埒な落書きのニュースもありました。
本殿に参拝した後、軍事関係資料等を展示してある遊就館へ。
平日の昼間でしたが、年配のグループのほか、小さな子どもを連れた家族連れや若いカップル、外国人観光客等で大賑わいです。
玄関ホールには、泰緬鉄道で使われたC56型蒸気機関車や零式艦上戦闘機などが展示されています。
エスカレータで2階に上がり、展示室へ(撮影禁止)。
「日本の武の歴史」と題する刀や甲冑の展示に始まり、維新の尊王家たちの肖像や和歌など。日清、日露戦争の展示では日本軍の「大勝利」を勇ましく伝える当時のニュース映像も。
日本軍は、他の列強に比べて軍規が厳しく紳士的だった等の説明には、違和感を覚えます。
施設の中央部分は、天井まで吹き抜けになった大展示室になっています(ここは撮影可能)。
復元された艦上爆撃機「彗星」、人間魚雷「回天」、特攻ロケット「桜花」など。お目当ての特攻用ボート「震洋」も展示されていました。昨年9月、島尾敏夫の小説を携えて奄美・加計呂麻島島の戦跡を訪ねた時のことを思い出しました。
戦後、戦地で収集されたという鉄兜や飯盒などの、おびただしい数の品々も展示されています。金属製のものは赤黒く錆びています。
展示室の後半は「支那事変」そして「大東亜戦争」。これらの表記にも、いわゆる「靖国史観」が現れているようです。
ガダルカナル島、アッツ島、インパール、硫黄島等に関する展示。そして本土空襲、沖縄と続きます。説明文は戦死者達の勇敢さを顕彰しているものの、餓死や玉砕等の様子を想像すると胸が苦しくなってきます。
重苦しい気持ちにとどめを刺したのは、最後の「靖国の神々」の展示でした。
壁一面にはご遺影のパネル。名前等から展示場所を検索できるファイルが置かれており、今もご遺族の方が訪ねてこられていることが伺えます。
展示されている遺品や遺書も膨大な数で、とてもすべてには目を通せません。何体かの花嫁人形は、若く独身のまま戦死した息子のために、戦後、遺族が奉納したものだそうです。
閉館30分前のアナウンスがあり、時間の経過を忘れていたことに気付きました。
最後に駆け足で特別展示「兵食」を見学。
酒保(食堂・売店)の様子をユーモラスに描いた漫画、戦時下の軍隊食の標準献立表、再現されたレシピなど、多くの興味深い展示がありましたが、残念ながら閉館時間となり、パンフレットを頂いて出口へ。
ちなみにこの特別展、11月16日(土)まで開催されているそうです。
ホールに出ると、現代の平和な光景。先ほどまでの展示内容との大きなギャップに、頭がくらくらします。
ミュージアムショップには、日本刀を模した和菓子ナイフ、旭日旗のシール、プラモデル、レトルトの海軍カレーなど様々な「軍事」グッズが並んでいます。百田尚樹さんの書籍も。
『英霊の言乃葉』第1集を求めさせて頂きました。
毎月、社頭に掲示している遺書や書簡をまとめたもので、第12集まで刊行・頒布されているそうです。
謹んで拝読しました。
「私は満足して、今、大君と愛する日本の山河とのために死んでいきます」
「何事も思い残すことなし。御国のため笑って死にます」
「ただ義務への完遂へ邁進するのみ」
「自己の人生は、人間が歩み得る最も美しい道の一つを歩んできたと信じている」
(幼い娘に)「大きくなって父に会いたい時は九段へいらっしゃい」
例えば、わだつみの声記念館(東京・文京区本郷)に展示されている遺書や書簡とは、かなり受けるニュアンスは異なります。しかし、いずれも戦死された方たちの肉声であることは間違いありません。
過去の戦争を全て肯定するかのような、いわゆる「靖国史観」には大きな違和感を覚えますが、その一方で、国(社会や家族)のために犠牲となった方々には自然に頭が下がり、強い哀悼の思いを禁じ得ません。
現在の私たちの社会は、彼・彼女らの犠牲の上に築かれてきたことを忘れてはなりません。
世界の多くの地で戦争や紛争が続き、日本近辺でも有事が叫ばれている現在、久しぶりに靖国神社と遊就館を訪ねて、以上のような思いを再確認することができました。
(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、無料)
https://www.mag2.com/m/0001579997