【ブログ】菊池ゼミ主催「学生が生産者を応援する会」第2弾

2024年8月26日(月)は、久しぶりに東京・神田の「47都道府県レストラン-箕と環」へ。
 この日18時から開催されたのは「学生が生産者を応援する会 第2弾」。昨年、福島県の生産者を応援したのに続く2回目で、今回は元旦の地震で大きな被害を蒙った石川・能登の生産者を応援する企画です。
 主催は、名古屋学院大学こどもスポーツ教育学科の菊池八穂子先生のゼミ。菊池先生は金沢のご出身で、私も北陸農政局在勤中には食育イベント等の関係でお世話になったことがあります。

約20名が参加者は、能登ワインのグラスを頂いて席につきます。
 まずは菊池先生からゼミ生の皆さんの紹介。進行役の4年生が1名、3年生が2名です。
 続いて参加者一人ひとりから自己紹介。福島オーガニックコットンの関係、新潟・大賀米づくりの関係など菊池先生の幅広い交流関係が伺えます。私も個人的に親しい方たち、懐かしい方たちとも再会できました。

この日の食材の野菜は、香土オーナーの洲崎邦郎さん(後半で熱意溢れるプレゼンをして下さいました。)が準備して下さったもの。

 ナスの揚げびたし、塩こうじを使ったキュウリのナムル、そうめんかぼちゃの酢の物。さらにレンコンのピザ(何という歯ごたえ、食感!)、メインはカキ鍋と雑炊です。
 カキは、菊池先生が前職(石川県の小学校の教員)時に食育の関係でお世話になった能登の漁師さんから取り寄せたものとのこと。
 いずれも貴重な「顔のみえる」食材です。美味しく有難く頂きました。ご馳走様でした。

食事の合間には、ゼミ生によるプレゼンがありました。
 復興支援で能登を訪ねた時の様子も。ブドウ畑での農作業や珠洲市の子どもたちとの交流。復興状況はニュースで見るほど進んでいないと実感した一方で、現地の方たちが明るく接してくれたことが強く印象に残ったそうです。
 のと里山海道には、自動車で走行すると音楽が鳴る「おとのみち」があるのですが、ここのメロディーも途切れ途切れだったとのこと。
 「メロディーが再びきれいに聴こえる日まで、みんなで支援を続けていきましょう」と力強く語る真摯な姿に、感銘を受けました。

 菊池先生からは、輪島市門前の公民館に勤めておられる同級生の方の奮闘ぶりについての報告も。現在も避難している金沢市から通っておられるそうです。

後半には、洲崎邦郎さんからもプレゼンして頂きました(文責は中田にあります。なお、洲崎さんのnoteはこちら)。

 1959年金沢市生まれの洲崎さんは、2010年、51歳の時にホテルマンを辞めて能登島で農業を始められました。その後、自ら農業を営むだけではなく、石川県内の生産者を応援したいという思いが強くなり、2016年にNPO法人 アグリファイブを設立、2021年には金沢市に隣接する野々市市に八百屋・香土(カグツチ)を開店されました。
 現在、石川県内の30軒以上の生産者をネットワークし、マルシェや店頭販売により旬の野菜を直接消費者(子育て中のママさん世代等)に届けておられるほか、食や農のことをもっと知ってもらいたいと、料理教室や農家探訪ツアー等のイベントも開催されているそうです。
 写真集の刊行など、多彩な活動内容に驚きます。

さらに2023年には「Farmer’s Village NOTO」構想を立ち上げられました。
 クラウドファンディングで「元祖農民」を募って11月に珠洲市に「開村」。若い専従の「農家の卵」の方も移住して生産と交流の拠点づくりが始まりました。
 ところが2か月後の今年の元旦、能登地方は未曽有の震災に見舞われたのです。

 洲崎さんは1月4日、野々市から8時間かけて珠洲の現場を訪ねて被害状況を確認。借りていた納屋が完全に倒壊した様子の写真も見せて下さいました。ちなみに帰宅は深夜だったとのこと。その後は毎週、仲間と当番制で、避難所に炊き出しボランティアで通われたそうです。
 農業については、現在は野々市に借りた農地で行っているそうですが、能登でも再開する予定で、オリーブやオーガニックコットンを栽培する計画もあるとのこと。

洲崎さんは、
 「小さな八百屋の挑戦だが、何一つあきらめていない。子どもたちに石川県産の安心できる野菜を届けていきたい。そのために、まずは自分たちから地産地消を進めていく。その輪が全国に広がっていけば、日本全体の食料自給率の向上にも貢献するのではないか」等と、力強く語られました。

 参加者からは様々な質問。
 全員、洲崎さんの幅広い活動の内容と、それを支えている熱意に、心から感じ入った様子でした。

洲崎さんが準備して下さった野菜セットを求めさせて頂きました。
 河北潟の小松菜とれんこん、金沢市の甘長唐辛子、野々市のおくらとなす。生産者のお名前も付されています。これで1500円。
 菊池先生は「食べ物の値段を消費者が決めている現状はおかしい。生産者が決めるべき」と話しておられました。
 お野菜は翌日以降、てんぷらなどにして美味しく頂きました。ご馳走様でした。

能登は、半島という地理的に不利な条件下にあることに加えて、地震で大きな被害を蒙りました。復興も遅々として進んでいないようです。
 だからこそ、洲崎さんの「能登半島に地球が喜ぶ農業の一大生産拠点を」という構想は、ますます大きな意義を有するものと思われます。
 これからも注目していきたいと思います。

(ご参考)
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
 メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、無料)
 https://www.mag2.com/m/0001579997