【ブログ】イナゴンピックと昆虫食

2024年9月15日(日)は快晴の下、多摩都市モノレールに乗って東京・日野へ。
 この日の午前中、生ごみリサイクルや菌ちゃん農法で有名なコミュニティガーデン・せせらぎ農園で開催されたのは、東京イナゴンピックというイベント。
 副題は「イナゴを捕って跳ばしておいしく食べよう」。ワタシ的には最後のフレーズは??です。

9時半前に伺うと、すでに捕虫網を持った親子連れなど多くの方が集まっています。
 この日の参加者は見学を含めて45名、うち競技にエントリーしたのは26名でした。ちなみに私は見学、妻はエントリー。イナゴを入れるジップロックをもらい、捕虫網をお借りします。

9時50分、主催者を代表して、内山昭一さん(NPO昆虫食普及ネットワーク理事長)からの開会挨拶。
 地域の神社のお神輿の行列が過ぎた道路を渡って、会場(田んぼ)に向かいます。
 多摩北部(畑地帯)の住民として、東京都に水田があるのはやや意外な感じもあったのですが、住宅地の間、きれいな水路に沿うように何枚もの田んぼが広がっています。
 マスコミ等はスーパーの棚から米が無くなったと騒いでいますが、一面の稲穂が風にそよいでいる様子に安心感をおぼえます。古代米の黒々とした穂も。

田んぼの中ではあまり網を振り回さないように、稲を傷つけないようにとの注意があったのち、10時10分、内山さんの合図により大会スタートの火ぶたが切られました。
 子どもも大人も、一斉に田んぼの中に入っていきます。小さな子どもは胸まで稲穂に埋もれてしまっています。

田んぼの外(畔)からみても、イナゴがいるのが分かります。田んぼから飛び出してくるイナゴもいて、私もバッタも含めて何匹か捕獲できました。
 この日も猛暑だったのですが、子どもたちは目を皿のようにして田んぼの中を進んでいます。あちらこちらで歓声も。
 なかなか捕まえられない子どもがいる一方で、何度か参加しているベテラン(?)の袋には、早くも10匹以上のイナゴが。

気温が高いこともあって、「捕って」は30分ほどで切り上げ。
 ちょうどお神輿も帰ってきました。続くプログラム「跳ばして」では、せせらぎ農園の前庭に置かれたカボチャの跳躍台から飛翔した距離を競います。
 すぐ前に落ちてしまうイナゴもいれば、10メートル以上飛んでいくイナゴも。当然ながらイナゴはまっすぐ飛んでくれるわけはなく、計測係りの方は巻き尺を持って右へ左へ。

記録の計測が終わった人から、順次、ぶどう棚の下に移動します。日なたと違って、たわわに実ったぶどう棚の下は風が涼しく感じられます。

 いよいよメイン(?)のプログラム「おいしく食べよう」。
 昆虫を食べる時は過熱するのが必須だそうで、捕獲してきたばかりのイナゴ(70匹獲れたそうです)は、まず、熱湯でしっかりと茹でてから空揚げに(「ボクのイナゴが~」とべそをかいていた男の子も、後では美味しそうに食べていました)。
 ハチの巣からピンセットで取り出した蜂の子は、フライパンで乾煎りにしてクラッカーにのせていきます。
 内山さん達が準備して下さっていたセミ(成虫と幼虫)、コオロギなども、次々と手際よく調理されていきます。

いくつもの大皿に、バラエティ溢れる食事が並べられました(アップの画像の掲載は自粛します)。美しいピンク色の飲み物はサクラケムシの糞茶とのこと。
 せせらぎ農園で収穫したばかりの野菜の天ぷらは、私も美味しく堪能させて頂きました。添えられている大きな花オクラの花が、涼やかで見事です。稲わらでつくった精巧なイナゴも。

 しばし食事と歓談。みなさん、どんどん箸が進んでいます。

「捕って」「跳ばして」それぞれの部門の優秀者の表彰式。昨年に続いて上位入賞した子どもも。手作りのメダルを掛けてもらうときの、誇らしげな笑顔が印象的です。野菜などの副賞も贈呈されました。

さて、「昆虫食」がブームです。
 世界の食料問題を解決する切り札として、あるいはゲップで地球環境を破壊する牛に変わるタンパク源として、大きく注目されています。今や、昆虫を食べることがファッショナブルでスマートであるかのような風潮さえあります。
 しかし私は、少なくとも日本では(国内での供給力のある)米や牛乳をもっと食べればいい(食べるべき)と思っているし、温暖化ガスを放出する牛は、一方で、放牧されることによって、地域の草資源や環境、景観の保全に貢献していることをきちんと評価すべきと考えています。
 多くの多面的な機能を有する水田も、日本人の米消費量が激減を続ける中で減り続けています。

したがって私は、わざわざエネルギーを使って養殖し「環境にいい」などと喧伝されているような昆虫食については、全く否定的です。
 しかし今回のイベントに参加し、内山さんから、イナゴ(「稲子」)はいわば米の「副産物」として伝統的に食べられ、活用されてきた資源であること等の話を伺い、また、何より美味しそうに食べている子どもたちの様子を見て、昆虫食を全て否定的に捉えていた自らの非を悟り、悔い改めた次第です。もっとも好んで食べるようになる(食い改める)かどうかは別問題ですが。

意義が多く、何より楽しいイベントでした。主催者の皆さま、有難うございました。
 この日が9回目ですが、実は会場の田んぼは区画整理事業の計画区域内に入っているそうで、同じ田んぼでの来年の開催は難しいとのこと。代わりとなる田んぼを探すなど、主催者の皆さんは継続する方法を探っておられるそうです。
 大幅な人口減少が見込まれるなか、住宅より田んぼ方が大事と気づく人は多くないようです。これだけ米が足らない、値段が高いと大騒ぎしているにもかかわらず。

終了後は、24日(火)に予定している主催イベントの講演会場を再度、下見。さらに高幡不動駅までの徒歩ルートも確認(暑い~)。
 懇親会場に予定している居酒屋さんが開店するまで時間があったので、高幡不動を久しぶりに参拝しました。
 本堂内での護摩行にも参加。お神輿も来ていました。土方歳三の銅像。お土産も(日野市のホームページも)水色のだんだら模様ばかりです。

境内に小ぶりな上杉堂というのがあり、「上杉憲顕の墓所」と説明板にあるのに驚きました。堂のなかにある自然石が墓標というのです。
 上杉憲顕(1306~68)と言えば、室町時代の鎌倉府の初代関東管領として有名な人物で、混乱しました。帰宅してから調べてみると別人で、こちらは「憲秋」と表記されるのが一般的のようです。享徳四年(1455)、分倍河原で足利成氏の公方軍と戦って敗れ、この地において自刃したと伝えられています。

開店したばかりの懇親会の予定会場を下見。
 広い会場、店長さんも気さくな方ですが、果たして24日のイベントがどうなるか心配事ばかりです(顛末は改めて報告します)。

(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、無料)
 https://www.mag2.com/m/0001579997