【ポイント】
日本の農林水産業の総生産は、先進国の中ではアメリカに次いで2位ですが、為替レートの影響もあり、他国と異なり一貫して減少しています。一人ひとりが将来の農業や食料供給のあり方について考えていく必要があります。
日本における農林水産業の地位について、国際的な比較を試みました。
リンク先の図300は、国際連合の統計を用いて、主な先進国(G7各国及びオーストラリア、韓国、オランダ)の農林水産業の総生産(付加価値ベース)と、GDP(国内総生産)に占めるシェアの推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/09/300_GDP.pdf
これによると、日本の農林水産業の総生産は約391億ドルとアメリカに次ぐ2位となっており、金額ベースでは日本は依然として先進国のなかでは「農業大国」であると言えます。
しかしながら、為替レートの影響があるとはいえ(2020年107.8円/ドル→22年:131.5円/ドル)、日本のみ減少傾向で推移していることが分かります。
ちなみに途上国を含むすべての国のなかでの日本の順位をみると、2000年の時点では5位(上位は中国、インド、アメリカ、インドネシア)だったのが、22年には16位に落ちています。
なお、日本の農業の総生産は、円ベースでみても、最近の資材価格(コスト)の高騰もあり減少しています。
一方、GDPに占める農林水産業の割合は日本では1%程度ですが、これはアメリカ、ドイツ、イギリス等とほぼ同水準です。ちなみにアメリカ等において一次産業は1%に過ぎないから重要ではないといった議論がなされているとは、寡聞にして聞いたことがありません。
農業のあり方や食料の供給力については、経済面だけではなく、その国の人口や国土、気象条件にも規定されます。日本は、欧米に比べて高い植物生産力を有していることも知られています。
次の「オーシャン・カレント」欄でも紹介しているとおり、審議会では次期の基本計画の議論が始まっています。将来の農業や食料供給のあり方については、私たち消費者を含めて広く全員で議論し、決定していく必要があります。自分たちのための食料生産なのですから。
[データの出典]
国際連合“National Accounts – Analysis of Main Aggregates (AMA)”を用いて作成。
https://unstats.un.org/unsd/snaama/Index
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.300、2024年9月17日(火)[和暦 葉月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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