2024年9月24日(火)は、NPO市民科学研究室のメンバーで相談しつつ企画した「人も環境も地球も救う菌ちゃん農法-現地見学会及び講演会」の当日。
現地見学も行いたいというメンバーの意見を踏まえて講演会とセットで行うことにしたのですが、調整する先が多くなるなど、正直、なかなか準備は大変でした。
11時30分を自宅を出発し、徒歩移動ルートの最終確認のためにいったん講演会場へ。
先週までの猛暑もようやく収まり、薄曇りで強い日差しもありません。何より、心配していた雨でなかったことに一安心。
浅川の堤防上からは対岸に県立日野高校(忌野清志郎、三浦友和の出身校とのこと)が見え、その右側にはクリーンセンター(ごみ焼却施設)の巨大な煙突。
会場までの住宅地の中の道が分かりにくく、事前に参加者の皆さまには「道順」を示した地図をお配りしていたのですが、果たして迷わずに開始時間に集まって下さるかどうか。
バス停の位置も確認し、「道順」を逆行して京王・高幡不動駅へ。
13時30分前、市民研スタッフの友人・Kさん(多摩市在住)が自家用車で駅前ロータリーで待機して下さっているのを確認(初対面のご挨拶)した後に急いで改札口へ。ちなみにKさんにはこの日、何度も両会場の間等をピストン輸送して下さるなどお世話になりました。
打合せ通り、12時33分着の特急で吉田さんが到着。
いつものようにがらがらと引っ張っておられるスーツケースのなかは、パソコン、プロジェクタ、販売用の書籍等で満杯のようです。
いったん講演会場の落川交流センターにご案内。
先に到着していたスタッフ、多摩市からのお手伝いの皆さんにより、スクリーンや椅子はセットされています。
吉田さん自らプロジェクタとパソコンをセットし、動作を確認。会場の脇には販売用の書籍や「げんきっこ」を並べました。
13時20分頃、Kさんの車で吉田さんを現地見学会場・せせらぎ農園にご案内。
佐藤美千代さんたち農園スタッフの皆さんが出迎えて下さいました。吉田さんは佐藤さんとは旧知の間柄で、せせらぎ農園にも何度か足を運ばれているそうです。
定刻を5分ほど過ぎた13時35分頃、現地見学会がスタート。参加者はスタッフを含めて36名です。
「道に迷って少し遅れる」と緊急連絡を入れて下さったお一人の方も間もなく到着されて、ほっとしました。
吉田さんからは「こんにちは!」と一言だけのご挨拶。佐藤さんからは歓迎の挨拶に続き、せせらぎ農園の取組みについて説明をして頂きました。
最初に説明して下さったのは、道路沿いに数基並んだ堆肥置き場。
ここで持ち込まれた生ごみをリサイクルして堆肥にしているとのこと。市内の緑地から出た樹枝や竹をチップにして入れることで(ここまで地産地消)、ハエの発生を防げるそうです。生ごみは発酵すると60℃にもなるそうで、吉田さんも興味深そうに覗き込んでおられました。
他にも日野市内でコミュニティーガーデンを広げていく構想があり、いかに簡単に生ごみをリサイクルできるかを実験する場でもあるそうです。
続いて農場内を案内して下さいました。
せせらぎ農園では、生ごみリサイクルによって土づくりをし、無農薬・無化学肥料で多くの種類の野菜や花を育てています。
菌ちゃん農法を実践している畑もあります。吉田さんからはもう少し畝を高くし、もっとたくさんの重しを置いた方がいいとのアドバイスがありました。
1時間ほどで現地見学は終了し、講演会場に移動。
吉田さんにはKさんの車で先に行っていただき、参加者の皆さんは佐藤さんが先導して10分ほど徒歩で移動して頂きました。
13時45分頃から講演会スタート。吉田さんは詳しいスライドを準備して下さり、資料も配って下さっています。
外気は涼しいのですが、パイプ椅子を並べた会場は、たちまち参加者の熱気で満ち溢れました。さらに室温を高めたのは、他ならぬ吉田さんです。
吉田さんのご講演はこれまで何度もお聴きしていますが、この日も変わらず大きな身振り手振りで、会場の人たちとやり取り(掛け合いを)しながらの熱演です(最前席に座る人は覚悟が必要?)。
途中、何度も大きな笑い声が起こります。
吉田さんのご講演のポイントは、以下のようなものでした(文責は中田にあります)。
ご新著『図解でよくわかる 菌ちゃん農法』は増刷を重ね、オンライン講座は2万人が受講しているなど、菌ちゃん農法は全国的に大きく広がっているそうです。背景には、特に農家にとっては、肥料価格が高騰している等の事情もあるとのこと。
この場にも、せせらぎ農園のほかにも菌ちゃん農法に取り組んでおられる方が参加されていました。お揃いの菌ちゃんTシャツの方もいらっしゃいます。
ただ、自己流でやっている人が多いそうで、少なくとも1年目は基本に忠実に行ってほしいとのこと。なお、菌ちゃん(特に糸状菌)の「えさ」には、杉の枯葉が最適だそうです。
草も虫も敵ではないことを、理屈ではなく実証しているとのこと。モグラも敵ではないそうです。健康に育てた野菜には病害虫は来ないそうで、ファイトケミカル等のメカニズムについても説明して下さいました。
最後に吉田さんから、
「現在、急カーブで人々の意識が変わっていることを実感している。みんなが土に触れ、菌ちゃん農法で野菜を作り始めれば、食べもの大切に感じる心、地球や生きものたちと自分とがつながっているということを感じる心が育つ。子どもの免疫力や精神力も向上する。
『循環=再生』は日本人の感性の根底にある。本質的に敵はいない。菌ちゃん農法で社会は変わる」と力強くまとめられました。
吉田さんのお話は、17時前にいったん終了。
会場からは不耕起栽培、段ボールコンポスト、菌ちゃん農法の(土壌が異なる)世界各地での適用可能性等について、様々な熱心な質問が出されました。吉田さんは一つひとつ丁寧に、時にはユーモアを交えながら答えて下さいました。
予定の時間を30分以上超過して、講演会は終了。ご著書などを求められる方も多数。一般参加者の皆様は、ここで解散です。ご参加下さり有難うございました。
終了後は、高幡不動の参道沿いの二階にある居酒屋さんで、吉田さん、佐藤さん始めせせらぎ農園関係の方、スタッフで懇親会。
私も初対面の方が多かったのですが、一人ひとりから自己紹介して頂くと興味深いユニークな活動をされている方が多いことが分かりました。
菌ちゃん(吉田先生)をきっかけに、さらに「つながり」が広がっていく予感がしました。
お忙しい時間を割いて下さった吉田さん、佐藤さんはじめせせらぎ農園関係の皆さまに、心よりお礼申し上げます。また、お手伝いをして下さった多摩市関係の皆さまにも改めて感謝申し上げます。
(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、無料)
https://www.mag2.com/m/0001579997