【ポイント】
原子力被災12市町村における営農再開面積の割合は全体で49.7%。市町村別にみると、避難指示開所の時期や帰還状況(居住率)による差が大きくなっています。
2011年3月、東京電力福島第一原子力発電所では3基の原子炉が同時に炉心溶融(メルトダウン)をするという、世界最悪レベルの事故となりました。これにより大量の放射性物質が拡散され、福島・双葉郡を中心とする12市町村に避難指示が発出されました。
リンク先の図303は、原子力被災12市町村の2011年12月末時点の営農休止面積に対する、営農を再開した面積の割合の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/11/304_saikai.pdf
これによると、2011年12月末における営農休止面積17,298 haのうち2023年度末時点で営農が再開されている面積は8,599haで、その割合は49.7%となっています。事故から約13年が経過した時点でも、営農が再開された面積は半分以下にとどまっているのです。
市町村別にみると、避難指示解除の時期が早かった広野町(町の判断による自主避難)、楢葉町(2015年9月解除)等では7~8割以上の農地で営農が再開されている一方、解除の時期が遅く、今も帰還困難区域が多く残っている大熊町(2019年4月解除)、双葉町(2020年3月解除)では、それぞれ4.2%、0.1%と極めて低い水準にとどまっています。
人工知能の推進などによる電力需要増加を背景に、主要政党の多くが「原発回帰」に舵を切っています。リスクとは発生確率と影響度の組合せですが、仮に原発事故が起こる確率が低いとしても、万一、起こった時の被害は甚大なものとなることは、被災12市町村の現状が示しています。
また、燃料デブリの試験的取り出しはパイプの取り付けミスにより、女川原発の再稼働はナットの緩みにより中断されるなど、ヒューマンエラーを根絶することも現実には不可能です。
[データの出典]
資料:福島県「令和5年度末時点での営農再開面積」から作成。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/643536.pdf
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.304、2024年11月15日(金)[和暦 神無月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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