【ブログ】菌ちゃんプランターではじめる元気野菜作り

2024年11月も終盤になり、職場至近の東京・日比谷公園は見事な黄(紅)葉。ツワブキも満開です。

11月30日(土)も冬晴れ。気温も17℃くらいまで上昇(暖かすぎ)。
 東村山市の農業公園・秋津ちろりん村では収穫祭が行われていました。11時前に訪ねるとすごい行列。大根や白菜の収穫体験のチケットを購入する人たちです。
 都市部において、広く一般市民に開放されている農地の大切さが伺えます(Sさん、会場整理などお疲れ様です)。

JRで新秋津駅から西国分寺経由で武蔵境、さらに西武多摩川線に乗り換えて新小金井駅で下車。都立野川公園を散策。せせらぎのある緑豊かな広い公園では、犬を連れて散策する人、サイクリングをする家族連れ、テニスを楽しむ人たちなど。

公園を抜けて府中市・多磨町公会堂に到着したのは13時前。
 神社の境内にある建物の前は大きなブルーシートが広げられ、菌ちゃん農法体験の準備中。
 13時スタートのイベントは「菌ちゃんプランターではじめる元気野菜作り~美味しい野菜が育つ土づくりの秘密~」。30名ほどが参加されています。
 なんと、受け付けには9月のイベント(吉田俊道さんの講演会&現地見学会)でもお世話になった佐藤美千代さんの姿(神出鬼没?)。

準備をされていた主催者の岡崎智史さんから、開会挨拶。
 茨城・常陸太田の祖父宅の畑で、昨年から菌ちゃん農法を実践中とのこと。5歳の娘さんがピーマンを生で頬張ったのを見て、菌ちゃん農法の美味しさ、深さを多くの人に知ってもらいたいと活動されているそうです。この日の体験に使う木の枝や籾がらは、茨城から運んできて下さったとのこと。

続いて、鈴木聡真さん(地球のお医者さん、ヤング菌ちゃん)による講演会です(文責・中田)。
 鈴木さんは動画クリエイターで、以前は名古屋で救急消防士をされていてコロナ禍を体験されたとのこと。もともと農業にはそれほど強い関心はなかったそうですが、縁があって吉田俊道さん(菌ちゃんファーム(長崎・佐世保市)、元祖・菌ちゃん)の専属カメラマンになり、吉田さんと接し、オンライン講座の映像等も撮影するうちに、自分たちと地球がつながっているという感覚に芽生えたとのこと。
 野菜づくりのノウハウだけではなく、その感動を伝えるために、本年2月頃から「ヤング菌ちゃん」(師匠・吉田さんの命名)として講演活動で全国を回っておられるそうです。

「プロ農家ではない僕からこそ、専門用語もかみ砕いて一般の方に伝えることができる」との言葉の通り、アクションも交えたユーモアたっぷり(師匠と異なり下ネタはありません)の鈴木さんの講演は、分かりやすい内容でした。
 冒頭に流された、菌ちゃん農法を紹介する吉田さんの短いビデオは鈴木さんが撮影されたものだそうですが、今も観るたびに涙が出そうになるとのこと。

「食育は体験であり自分で考えることが重要」「植物は命の生産者、微生物(菌ちゃん)は命の分解者であるのに対して、人間は命の消費者でしかない」「菌ちゃんのお仕事は、元気な命には力を与え、死んだ命は分解して次の命のための材料を作ること」「農業を変えるためには、まず自分が動くことが必要。簡単で楽しい菌ちゃん農法を実践する人が増えていけば、循環型の共生社会の実現につながる」等々。
 いずれも分かりやすく、腑に落ちる言葉ばかりです。

菌ちゃん農法のメカニズムを説明する時には、参加者の何人か(ピーマン役、菌ちゃん役など)に出てきてもらって実演。
 最後には全員で手をつないで、全ての生きものが共生していることを実感するパフォーマンス。菌ちゃん農法の本質が分かりやすく伝わってくる講演に、菌ちゃん農法に取り組もうと思った参加者も多かったと思います(ちなみに隣におられた女性は、茨城に移住して菌ちゃん農法を始めるために勉強に来られたそうです)。

講演の後は、早速、実践。鈴木さんと岡崎さんが、プランターを使った菌ちゃん農法の始め方をレクチャーして下さいます。いくつかのグループに分かれ、事前に希望していた人はつくったプランターを持って帰れます。

 プランターにはミカンのケースを使用。
 側面をビニールで覆い、底には木の枝を10cmほどの厚さになるまで並べて(詰めて)いきます。その上に籾がらを混ぜ合わせた黒土を入れ、最後は落ち葉をかぶせて押さえていきます。持ち上げてみるとかなりの重さです。


 たっぷりと水を掛けた後にビニールをかぶせ、四隅に指で穴をあけて菌ちゃんプランターは完成です。最後にみんなで手を当てて「菌ちゃん、よろしくお願いします」と祈る儀式は必須とのこと。

岡崎さんが持ってきて下さったレタスも試食させて頂きました。えぐみがなく美味です。
 16時を回り肌寒くなってきました。建物の中に入ると、治療家(ことほぐ整体まほろば)の竹林京子さんが豚汁(重ね煮)を準備して下さっていました。かつてアトピー苦しんでおられたという竹林さんが、菌ちゃん野菜をたっぷり使い、だしや調味料にもこだわって作って下さったのです。

吉田俊道さんが始められた菌ちゃん農法(吉田さんご自身は「農法」と呼ばれるのは好みではないそうですが)が、様々な方たちによって多くの地域で実践されていることを目の当たりにし、さらに広がっていくという予感がして、暖かい気もちになりました。
 (定番の「げんきっこ」も送料無料(!)で求めさせて頂きました。)

17時頃終了。外に出るとすっかり暗くなってるなか、西武多摩川線・多磨駅から武蔵境へ。
 コーヒーとサンドイッチで軽く腹ごしらえした後、徒歩で向かったのは、Musashino Valley(三鷹市上連雀1)。武蔵野大アントレプレナーシップ学部の教員を中心に設立されたスタートアップスタジオとのこと。地下に降りると、広くて清潔な空間が広がっています。

19時から開催されたのは ‟グリーフと哲学の夜” シリーズ第4弾「復権する夜『うんこと死体の復権』✕哲学」と題するイベント。
 登壇者は探検家・医師の関野吉晴さんと、東京大学大学院教授の國分功一郎さん。2013年の小平市の住民投票(道路計画の見直し)にはそれぞれの立場で関わっておられたそうで、本年公開された関野監督の『うんこと死体の復権』等を素材に、対談が進みます(文責・中田)。

関野さんは「人間だけがごみ、排せつ物、死体を焼いている。自然から切り離されている」と指摘したのに対して、國分さんは「今回の映画で、私も世の中を人間目線で見ていたこと(環世界)に気付いた。タヌキの目線から見える世界は全く異なっている」等と回答。

 関野さんからは「アマゾンの原住民の言葉には『時制』がない。未来がないから不安がない。過去がないから後悔することもない。楽しみを先送りすることがない」等の興味深い発言も。

 個人的には、最近の民主主義をめぐる情勢等について國分先生(『暇と退屈の倫理学』は名著です)のお話をもっと聞きたかったのですが、この日は聞き役に回られていたので叶いませんでした。
 なお、國分先生を招いてのイベントは定期的に開催されているとのこと、また伺いたいと思います。
 ちなみに終了後は、仲間3人で三鷹のお蕎麦屋さんへ(美味)。

(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、無料)
 https://www.mag2.com/m/0001579997