【豆知識】営農型太陽光発電設備の許可件数等の推移


【ポイント】
 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)設備は増加傾向で推移しており、適切な営農と発電を両立させる取組みとしてさらなる普及が期待されます。 

営農型太陽発電とは、農地に支柱を立てて上部に太陽光パネルを設置し、営農を適切に継続しながら発電を行う事業のことです。太陽光を農業と発電で分け合うことから、ソーラーシェアリングとも呼ばれます。
 リンク先の図305の棒グラフは、営農型太陽光発電設備のための農地の一時転用許可件数の推移を示したものです(支柱の基礎部分について農地法上の許可が必要)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/12/305_solar.pdf

これによると、農地制度上の取扱いが明確化された2013年度以降、許可件数は年々増加しており、2022年度の新規許可件数は975件、累計では5,351件(設備下部の農地面積は1,209ha)となっています。

一方、営農型以外(営農を廃止)の太陽光発電設備のための農地転用許可件数は2022年度で5,422件とピークの2019年度の4割程度に減少しており、さらに住宅以外の太陽光発電設備のFIT/FIP(固定価格買取制度)認定件数は同6,330件とピークの2014年度の4%へと大幅に減少しています。これらに比べると、営農型太陽光発電の設備は、まだ数は少ないものの、着実に増加していることが分かります。

また、営農型太陽光発電設備については、設置者(発電事業者等)と営農者が異なるケースが65%を占めており、また、22%の施設では下部農地での営農に支障(単収減少や生育不良)があったと報告されています。
 さらに、下部の農地における営農が適切に行われていないなどの不適切案件もみられることから、2024年には制度の趣旨等を明確化したガイドラインが発出されているところです。

営農型太陽光発電は、発電電力の自家利用等による農業経営の改善が期待される制度であると同時に、食料とエネルギー両方の自給率向上に資する取組みとして、さらなる普及が期待されます。

[データの出典]
農林水産省「営農型太陽光発電について」(2024年11月)、
 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/attach/pdf/einou-50.pdf
同「太陽光発電設備を設置するための農地転用許可(平成23年度以降の実績)」、
 https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/attach/pdf/einogata-54.pdf
資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの導入状況」(2024年6月)
 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/063_s01_00.pdf
から作成。

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
  No.305、2024年12月1日(日)[和暦 霜月朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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