【ほんのさわり308】吉田太郎『シン・オーガニック』

-吉田太郎『シン・オーガニック-土壌・微生物・タネのつながりを取り戻す』(2024年7月、農山漁村文化協会)
 https://toretate.nbkbooks.com/9784540231674/

【ポイント】
 著者はいわゆる「スマート農業」的な有機農法ではなく、「自然への畏敬」を基底とする「ローカル、風土立脚型」の有機こそが重要と主張しています。

著者は1961年東京都生まれ。筑波大学大学院で地質学を専攻した後、埼玉県、東京都、長野県に農業関係の行政職員として勤務。この間、業務とは別に自ら有機農家で研修を受けたり、キューバの事例を調査・紹介したりするなど、有機農業の啓発普及に熱心に取り組んで来られた方です。定年退職後は晴耕雨読の生活を送りつつ、「フリーランサーとして好き勝手なことを言える人間にしか書けない」ものとして発表されたのが、この力作です。… 続きを読む

【豆知識308】転機となった(?)2024年の日本の米

【ポイント】
 昨年(2024年)は、長期的に減少してきた米の作付面積や生産量が増加し、同時に低下傾向で推移してきた米の価格は大きく上昇するという、転機となったかも知れない年でした。

昨年(2024)年は、日本の米の生産と価格において転機となった年だったと記憶されるかも知れません。リンク先の図308は、米の作付面積と生産量、さらに消費者物価指数の長期的な推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/01/308_kome.pdf

下の棒グラフにあるとおり、水稲の作付面積(子実用)は、1976年の274万haをピークに1990年代半ばまでは変動しつつ減少を続け、それ以降もほぼ一貫してゆるやかな減少傾向で推移してきました。ところが2024年には136万haと、一転、1.1%増加したのです。… 続きを読む

【ほんのさわり】2024年の振り返り

年初の号[No.283]では写真集『いつもののと』を紹介。
 原発関連では、青木美希『なぜ日本は原発を止められないのか?』[No.288]、吉田千亜『孤塁』[No.304]、小原浩靖監督の映画『原発をとめた裁判長』[No.305]を、戦争関連では寮 美千子(文)『ぼくが子どものころ戦争があった』[No.297]、太田昌秀『決定版・写真記録 沖縄線』[No.295]を紹介しました。

 農業・農政全般については、小倉武一『誰がための食料生産か』[No.300]、蔦谷栄一『生産消費者が農をひらく』[No.287]、末松広行『日本の食料安全保障』[No.298]、 … 続きを読む

【オーシャン・カレント】2024年の振り返り

年初の号[No.283]では「能登はやさしや土までも」という言葉を紹介しました。また、「稲は人の足音を聞いて育つ」[No.292]、「同じ釜の飯を食う」[No.299]という言葉も紹介しました。
 被災地関連では「廃炉」の完了時期についてはますます不透明感が増している[No.288]なか、図図倉庫(ずっとそうこ、福島・飯舘村)[No.304]、二本松営農ソーラー(福島・二本松市)[No.305]という新しい取組みを紹介させて頂きました。

 2023年度の食料自給率[No.298]、米在庫量が過去最低水準にあること[No.297]、ご飯一杯の値段[No.296]を紹介するとともに、「合理的な価格」について考察しました[No.301]。
 また、お肉の情報館(東京・港区芝浦)[No.284]も紹介しました。

 農業政策をめぐっては、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案[No.287]、同法に規定された消費者の役割[No.293]、開始された次期基本計画についての議論[No.300]を紹介しました。… 続きを読む

【豆知識】2024年の振り返り

本年最初の配信では、能登では農業生産条件には恵まれてないながら多彩な農業が展開されており、日本初の世界農業遺産にも認定されていることを紹介しました[No.283]。
 東日本大震災・東電福島第一原発事故の関連では、原発被災者等からの相談内容が多様化・複雑化・深刻化している状況[No.288]、営農再開の状況は避難指示解除の時期等による差が大きいこと[No.304]、一方、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)が増加傾向で推移していること[No.305]を紹介しました。

 日本の農林水産業や食料自給率については、日本の農林水産業総生産が諸外国と異なり一貫して減少している様子[No.300]、食料自給率が横ばいで推移しているのは人口の高齢化・減少により必要熱量が減少しているためであり、国内農業の縮小は続いていること[No.287]、食料自給率の目標が一度も達成されたことがない原因は想定以上に米の消費量が減少したこと[No.298]を紹介しました。

 資材価格の高騰が農産物価格に十分には反映(転嫁)されておらず[No.301]、米が「高騰」しても生産コストを賄えていない状況が続いていること[No.296]を紹介しました。
 また、小規模層では「田んぼの見回り」等に多くの時間が費やされるなど丁寧な稲作が行われているデータ[No.292]、新潟県では昨年と同様、猛暑が続いていること[No.297]も紹介しました(幸い昨年のような大不作にはなりませんでした)。… 続きを読む

【ブログ】いまあらためて「なぜ有機農業」?

自宅近くに一画を借りている市民農園。
 手前は菌ちゃん農法の畝。始めたばかりの昨冬は大豊作でしたが夏は猛暑のせいか不作、今年の冬も今一つです。
 昨年9月の講演会の際に、吉田俊道さんに猛暑の影響について伺った際は特にないとのことでしたので、まだまだ技術が足らないということなのでしょう。

ところで毎年、正月までに実が無くなってしまう庭の南天ですが、年末にネットを掛けておいたおかげで元旦には見事な赤い実を楽しめました。… 続きを読む

【ブログ】2025年が明けました。

2024年12月31日(火)。
 隣家の銀杏もすっかり葉を落としています。鮮やか過ぎるような冬の青空。
 北日本、日本海側では大荒れとのニュースの一方、東京地方は1か月ほど降水を記録していません。空気がカラカラ、各地で火災も多発。

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