【ポイント】
昨年(2024年)は、長期的に減少してきた米の作付面積や生産量が増加し、同時に低下傾向で推移してきた米の価格は大きく上昇するという、転機となったかも知れない年でした。

昨年(2024)年は、日本の米の生産と価格において転機となった年だったと記憶されるかも知れません。リンク先の図308は、米の作付面積と生産量、さらに消費者物価指数の長期的な推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/01/308_kome.pdf
下の棒グラフにあるとおり、水稲の作付面積(子実用)は、1976年の274万haをピークに1990年代半ばまでは変動しつつ減少を続け、それ以降もほぼ一貫してゆるやかな減少傾向で推移してきました。ところが2024年には136万haと、一転、1.1%増加したのです。
収穫量も作付面積と同様、1975年の1,309万トンをピークに大きく減少してきましたが、2024年には735万トンと、これも増加(2.5%)に転じています。
縮小の一途を続けてきた日本の米生産が、2024年にはわずかながら増加に転じたのです。同じく減少を続けてきた需要量も、2023/24年(7~6月)には増加しています。
一方、折れ線グラフは消費者物価指数の推移を示したものです(1993=100として換算)。
「総合指数」(全品目)及び「食料」は1990年代半ばにかけ上昇を続け、その後も緩やかながら上昇基調で推移しています。一方、米については90年代半ば以降は一貫して低下していましたが、最近になって上昇に転じています。
特に昨年は需給のひっ迫、生産コストの上昇を反映して米の価格は大きく上昇しました。しかし実は、「総合指数」の動きに追いついたに過ぎないことが、このグラフからは読み取れます。
このように昨年は、数字の上では、生産面、需要面、価格のいずれの面でも画期的な年だったと言えます。ただしこれが「転機」になるかどうかは、次の「オーシャン・カレント欄」で考えてみます。
[データの出典]
農林水産省「作物統計(長期累年)」及び総務省「消費者物価指数(時系列データ)」等から作成。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kome/index.html
https://www.stat.go.jp/data/cpi/1.html
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.308、2025年1月14日(火)[和暦 師走十五日]
https://food-mileage.jp/2025/01/26/letter-308/
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