【ほんのさわり】菅野芳秀『生きるための農業 地域をつくるための農業』

-菅野芳秀『生きるための農業 地域をつくるための農業』(2024年11月、大正大学出版会)
 https://www.tais.ac.jp/guide/research/publishing/chiikijin_list/002/

【ポイント】
 「令和の百姓一揆」実行委員会代表による、悪戦苦闘する農業の現場からの「ホンネ」の報告であり、消費者・生活者に連携を呼び掛けています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】令和の百姓一揆

【ポイント】
 本年2~3月に計画されている「令和の百姓一揆」の成否は、いかに多くの市民・消費者が賛同し参加するかにかかっています。

本年2月から3月、東京都心において「令和の百姓一揆」が挙行されます。農業生産の現場の窮状を広く都会の市民に訴えようと、全国の農業者たちが立ち上がろうとしているのです。

まず、2月18日(火)には衆議院議員会館(東京・千代田区永田町)で院内集会が開催され、各地の生産者からの状況報告、国会議員等との意見交換等が予定されています。
 また、3月30日(日)には、青山公園南地区(港区六本木)をスタート地点とするトラクター行進が予定されています。これは昨年、欧州の多くの国で行われた農民デモを参考にしたもののようです。パリやベルリンでは道路が封鎖されるなど一般市民の社会生活にも大きな影響がありましたが、大きな批判等がなかったのは、一般市民の農業に対する理解(シンパシー)が高いためと考えられます。… 続きを読む

【豆知識】いわゆる「時給10円」について

【ポイント】
 「時給10円」は統計的には問題のある数値ですが、いずれにしても農家の経済状態が厳しい状態にあることは事実であり、これに対する市民・消費者の理解が求められます。

「日本の農・漁家の時給は10円」という数値は、統計的には誤った使い方と言わざるを得ません。
 これは農林水産省「営農類型別経営統計」の2022年の「水田作経営」について、農業所得を自営農業労働時間で除した数値であり、まず、日本の農家全体を表すものではありません。
 また、労働時間には雇用者の労働時間を含んでいますが、雇用労賃は経費として農業粗収益から控除されており、収益と経費の差額である農業所得は含まれません。さらには、法人化している経営体(一戸一法人を含む。)の場合は、同様に労働時間には有給役員の労働時間を含み、農業所得には有給役員に対する給料、賞与、福利厚生費が含まれていません。… 続きを読む