【ほんのさわり】田中優子『一揆を通して社会運動を考える』

-田中優子『一揆を通して社会運動を考える』(田中編『そろそろ「社会運動」の話をしよう』(2019年4月、明石書店)所収)
 https://www.akashi.co.jp/book/b450429.html

【ポイント】
 江戸時代の百姓一揆と現代の社会運動とは様々な面で異なるものの、多様な人々がこの社会に生きるために何が必要かについて学ぶところは多いとしています。

著者は1952年横浜市生まれの法政大学名誉教授(江戸文学、江戸文化論)。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】「一揆」とはなにか

【ポイント】
 一揆の本来の意味は「意識や行動をともにするグループ・組織」のことであり、武力による階級闘争や革命というイメージが付加されたのは近年(1960~70年代)のことです。

(画像は下記の「参考文献」より。)

「揆」という字にはもともと「はかる」という意味があり、派生して「教え」「方法」等の意味を含むようになりました。「一揆」という熟語は平安時代には単に「同一である」、鎌倉時代になると「心を一つにして」「一致団結して」という意味で使われるようになったそうです。つまり一揆とは、本来、意識や行動をともにするグループ・組織のことを意味していました。
 また、構成員の平等性主義が貫かれていることも特徴で、有名な傘連判状という署名形式も、首謀者が特定されないようにとの配慮だけではなく、参加者同士の対等性を表したものだそうです。… 続きを読む

【豆知識】就業者一人当たり所得等の産業間比較

【ポイント】
 マクロ統計により就業者一人当たり純生産をみると、第一次産業は他産業に比べて4分の1程度の低い水準で推移しています。

前号では、水田作経営の農業所得が全経営体平均で10万円、主業経営体でも270万円と低い水準にあることを紹介しましたが、今号では個別経営に着目したミクロの統計ではなく、マクロ統計から産業間の所得等の比較を試みます。
 ここでいう「所得等」とは「国内純生産」のことで、付加価値額である国内総生産(産出額-費用)から固定資本減耗を除いた数値であり、雇用者報酬、経営主の労働報酬、企業の営業余剰等から構成されます。つまり、就業者の所得だけではなく企業の利潤等が含まれています。
 リンク先の図310は、就業者一人当たりの国内純生産について、1994年以降の産業別の推移を示したものです。… 続きを読む

【ブログ】「坂の上の雲」スタンプラリー

2月13日(木)の東京地方は、冬晴れながら凄まじいほどの強風。地平近くは土埃でかすんでいます。各所では火事、停電や足場崩れ等の事故も。

 この日は一日、休暇を頂き、愛媛県と東京メトロの連携企画「『坂の上の雲』ゆかりの地スタンプラリー」に参加することに。
 まず、丸の内線新宿駅でスタンプ台紙と路線図をもらい、1日乗車券を購入(600円)。四谷で南北線に乗り換え市ヶ谷駅で下車して最初のスタンプをゲット。… 続きを読む

【ブログ】風景をつくるごはん、「今夜はご機嫌」2月の会

北日本・日本海側では大雪の被害。東京地方は冷え込むものの申し訳ないほどの青空続き。
 その寒気もいったん緩んできました。

2025年2月8日(土)は、CSまちデザイン主催講座『風景をつくるごはん』のススメ~社会や環境のことを考えて日々のごはんを食べる~」にオンライン参加。… 続きを読む

【ほんのさわり】菅野芳秀『生きるための農業 地域をつくるための農業』

-菅野芳秀『生きるための農業 地域をつくるための農業』(2024年11月、大正大学出版会)
 https://www.tais.ac.jp/guide/research/publishing/chiikijin_list/002/

【ポイント】
 「令和の百姓一揆」実行委員会代表による、悪戦苦闘する農業の現場からの「ホンネ」の報告であり、消費者・生活者に連携を呼び掛けています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】令和の百姓一揆

【ポイント】
 本年2~3月に計画されている「令和の百姓一揆」の成否は、いかに多くの市民・消費者が賛同し参加するかにかかっています。

本年2月から3月、東京都心において「令和の百姓一揆」が挙行されます。農業生産の現場の窮状を広く都会の市民に訴えようと、全国の農業者たちが立ち上がろうとしているのです。

まず、2月18日(火)には衆議院議員会館(東京・千代田区永田町)で院内集会が開催され、各地の生産者からの状況報告、国会議員等との意見交換等が予定されています。
 また、3月30日(日)には、青山公園南地区(港区六本木)をスタート地点とするトラクター行進が予定されています。これは昨年、欧州の多くの国で行われた農民デモを参考にしたもののようです。パリやベルリンでは道路が封鎖されるなど一般市民の社会生活にも大きな影響がありましたが、大きな批判等がなかったのは、一般市民の農業に対する理解(シンパシー)が高いためと考えられます。… 続きを読む

【豆知識】いわゆる「時給10円」について

【ポイント】
 「時給10円」は統計的には問題のある数値ですが、いずれにしても農家の経済状態が厳しい状態にあることは事実であり、これに対する市民・消費者の理解が求められます。

「日本の農・漁家の時給は10円」という数値は、統計的には誤った使い方と言わざるを得ません。
 これは農林水産省「営農類型別経営統計」の2022年の「水田作経営」について、農業所得を自営農業労働時間で除した数値であり、まず、日本の農家全体を表すものではありません。
 また、労働時間には雇用者の労働時間を含んでいますが、雇用労賃は経費として農業粗収益から控除されており、収益と経費の差額である農業所得は含まれません。さらには、法人化している経営体(一戸一法人を含む。)の場合は、同様に労働時間には有給役員の労働時間を含み、農業所得には有給役員に対する給料、賞与、福利厚生費が含まれていません。… 続きを読む