【ほんのさわり】菅野芳秀『生きるための農業 地域をつくるための農業』

-菅野芳秀『生きるための農業 地域をつくるための農業』(2024年11月、大正大学出版会)
 https://www.tais.ac.jp/guide/research/publishing/chiikijin_list/002/

【ポイント】
 「令和の百姓一揆」実行委員会代表による、悪戦苦闘する農業の現場からの「ホンネ」の報告であり、消費者・生活者に連携を呼び掛けています。

著者は1949年生まれ。山形・長井市で稲作5haと養鶏を中心に営み、全国的に見ても先進的なレインボープランや置賜自給圏構想など地域循環の取組みを立ち上げられた方で、今回の「令和の百姓一揆」実行委員会の代表も務められています。

本書は雑誌『地域人』(立正大学地域構想研究所)に2015年頃から連載されたエッセイを再構成したもので、悪戦苦闘する農業の現場からの「ホンネ」が記されています。
 農がなければ誰も生きられないなのに、カロリーベース食料自給率が38%に過ぎない日本において、今まさに日本農業が崩れつつあるとのこと。これまで日本の農業と農村の地域社会を担ってきた農家の多くが、「農仕舞い」(離農)を始めているというのです。
 その最大の原因は、農産物(特に米)の過酷過ぎるほどの安さ。効率性だけを追う無責任な農政が自国の農業を破壊していると、著者は怒りをストレートに表わします。

しかし著者は絶望しません。
 「俺たち百姓の時代的役割は、いままで培ってきた農と暮らしの知恵を生かし、地域の足元から生活者と連携し、ともに生きるための農業をつくりだしていくこと」とし、「生産者も消費者もなく、同じ課題を分かち合う仲間として、もっと希望を伴った農の話をしよう」と訴えておられるのです。

[参考]
 山形放送制作「時給10円という現実~消えゆく農民~」
 菅野さんも出演するテレビ番組で、全国放映されます。ぜひご覧ください。
 https://www.minkyo.or.jp/program/special/39/

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.309、2025年1月29日(水)[和暦 元旦]
  https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/

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