【豆知識】就業者一人当たり所得等の産業間比較

【ポイント】
 マクロ統計により就業者一人当たり純生産をみると、第一次産業は他産業に比べて4分の1程度の低い水準で推移しています。

前号では、水田作経営の農業所得が全経営体平均で10万円、主業経営体でも270万円と低い水準にあることを紹介しましたが、今号では個別経営に着目したミクロの統計ではなく、マクロ統計から産業間の所得等の比較を試みます。
 ここでいう「所得等」とは「国内純生産」のことで、付加価値額である国内総生産(産出額-費用)から固定資本減耗を除いた数値であり、雇用者報酬、経営主の労働報酬、企業の営業余剰等から構成されます。つまり、就業者の所得だけではなく企業の利潤等が含まれています。
 リンク先の図310は、就業者一人当たりの国内純生産について、1994年以降の産業別の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/02/310_junseisan.pdf

これによると、2023年の就業者一人当たりの所得等は637万円となっており、第2次産業(製造業等)、第3次産業(サービス業)もほぼ同水準にあります。これらに対して、第一次産業(農林水産業)は157万円と約4分の1という低い水準にとどまっています。この格差は、1994年以降、ほとんど変わっていません。

なお、1994~2023年の間で就業者一人当たり所得等は全産業平均で6.4%増加しているなか、第一次産業については20.9%と相対的に大きく伸びています。しかしこれは、所得等が約42%減少している一方で、就業者数がそれを上回って減少(52%)しているためです。
 このようにマクロ統計からみても、一次産業の所得等は低位で推移していることが確認されます。

[データの出典]
内閣府「国民経済計算(GDP統計)」(フロー編付表(2)及び(3))から作成。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/2023/2023_kaku_top.html

出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.310、2025年2月12日(水)[和暦 睦月十五日]
  https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/
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