【ブログ】渋谷発! 食・農・SDGsが地域を変える!!

2025年2月25日(火)は東京・渋谷へ。
 ぶらぶらと金王神社、氷川神社を散歩しながら(桜がほころんでいました)國學院大學へ。コロナ禍以前は古沢広祐先生(現・國學院大學研究開発推進機構 客員教授)の講演会等に何度か来ていたのですが、数年ぶりです。

 前日になって標記の講演会があることを知り、すでに申し込みは締め切られていたのですが、厚かましくもダメ元で古沢先生に連絡を取らせて頂いたところ「関係者枠」で参加させて頂けることとなったのです(古沢先生、有難うございました)。

まだ古沢先生のご新著『今さらだけど「人新世」って?』(2024年3月、wave出版)を求めていなかったので、まず生協の書店を覗くも品切れでした。

 まだ少し時間があったので博物館へ。
 初めて来ましたが、なかなか綺麗で広く、展示も充実しています。企画展「江戸の本屋さん」が開催中でした(4月20日まで。なお、常設展ともに入場無料)。

14時前に会場の学術メディアセンターへ。ここも立派な建物です。会場の参加者は20名ほど。古沢先生にお礼とご挨拶。

詳細なスライドを映写しながらご講演が始まりました。スライドは印刷して関連資料とともに配布して下さっています(以下は概要、文責・中田)。

「人類は長い歴史の中で大きな転換点を迎えている。人口や資源消費量は急加速しており、20世紀後半以降は地球環境も激変。
 現在、人類は複合的危機(生存環境の危機、経済的危機・社会編成の危機、精神的(実存的)危機)にさらされている」

「石油資源の埋蔵量は、富士山を器とすると1杯分もない。世界の軍事費は過去最高にまで増大しており、ODAの10倍以上。紛争等を原因として2021年には1億3900万人が食料不安(フード・クライシス)に陥っているとのレポートが出されており、国連食料システムサミットも開催された」

「食・農・世界をめぐっては、ライフサイエンス主義(自然の操作、管理)とエコロジー主義(自然との調和)が対立している。流通・消費面でもファストフードとスローフードという対立がある。グローバリゼーションにより地球環境問題が深刻化するなか、地域循環環境圏(ローカルSDGs)の重要性が意識されるようになっている」

「個(人間)と全体(地球、自然・生態系)の健康は相似関係にある。東洋には古くから『身土不二』という言葉もある。農業は人間と大地を結ぶ『へその緒』と言える」

画像は「しぶカフェ」のユーチューブより。

「世界的にも都市の農地や農業(アーバン・ファーミング)が見直されている。
 2023年の渋谷サステナブル・アワードの大賞を受賞したのは『つながる菜園プロジェクト』。ひまわりの植栽活動も優秀賞を受賞している。生ごみ減量のためコンポストによるたい肥作り等も推進している」

「國學院大學研究開発推進センターでは、『しぶカフェ』(共生社会✖渋谷カフェ)という取組みを実施している。ユーチューブで配信しているので見て頂きたい。渋谷でもできる、ということではなく、多様性の街・渋谷だからこそできる取組みはたくさんある」

左は「つながる菜園」HP、右は國學院大學HPより。

10分ほどの休憩の間に質問用紙を提出。私からは「農業に関心の乏しい大多数の市民にどう訴えていくか」と質問させて頂きました。全部で12枚も提出されたようで古沢先生も戸惑い気味でしたが、短い時間で以下のように端的に回答して下さいました。
 「都市部の菜園など身近なところで体験・実感することが、認識の第一歩になるのではないか。歴史的にも戦争・危機の時代には、都市住民も裏庭で野菜を作り始めた」等と回答して下さいました。

 他にも「SDGsも6年目だが、むしろ世界は戦争など悪い方向に進んでいる。後半に入ってどう立て直していくか、道筋を作っていくかが重要」「国際的に市民レベルでの交流が進んでいる」「世界一小さな植物園と言われる渋谷区ふれあい植物センターを拠点に、みそ仕込みワークショップ、屋上ホップ栽培など様々な取組みをしているので、ぜひ、訪ねてほしい」
等と回答、説明して下さいました。

非常に興味深いご講演でした。
 地球環境問題、食料危機などのグローバルで深刻な課題を、渋谷区というローカルな場で一つずつ解決していこうという、理論的かつ実践的な内容でした。「渋谷学」のブックレットも頂きました。古沢先生はじめ國學院大學の皆さま、有難うございました。

さて、せっかくなので先生の本(『今さらだけど、人新世って?』)を渋谷で求めていこうと思い立ったのですが、駅周辺は再開発で道が分からず(Googlemapも通用せず)、何とか大規模書店を見つけて12階まで上がったものの、在庫なし。人も多くくたびれてしまいました。方向感覚を失い山手線を逆方向に乗車してしまう始末。
 落ち着いて新宿でよく行く書店の在庫をネットで確認し、ようやく求めることができました。しっかりと読ませて頂きます。
 喉が渇いたので一休み。何と、ビール半額という幸運が最後に待っていました。

(ご参考)
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
 メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
 https://www.mag2.com/m/0001579997