【ブログ】ヨーロッパの「脱成長」と「百姓一揆」

2025年も桃の節句がめぐってきました。この国では季節は過ぎていきます。
 ウクライナの作家、アンドレイ・クルコフの『灰色の蜜蜂』を読みました。2017年、政府軍と親ロシア分離派との戦火の下にあるドンバス地方で蜂を飼う主人公は、夏、採蜜のためにロシア支配下にあるクリミア地方を訪れます。2022年のロシアの本格侵攻以前の物語ですが、戦争のリアルを感じることができたような気がしました。

そして間もなく、14回目の311。
 福島県の東電原発事故被災地でオーガニック・コットン栽培に取り組んだ故・吉田恵美子さんの著書が地元図書館に所蔵されていなかったので、多くの方に読んでもらいたいと思って1か月ほど前にリクエストしたところ、早々に購入して下さいました。

冷たい雪が降ったかと思うと、翌日には春が本格化したかのような陽気に。まるでジェットコースターのような天候が続きます。やはり天気は変、「平年値」などは意味をなさなくなっているのかも知れません。
 近所の街路樹として植えられている河津桜も、ほころび始めました。

2025年3月4日(火)は、久しぶりに東京・三田の慶應義塾大学へ。
 少々時間があったので、2020年に開業した高輪ゲートウェイ駅で初めて降りてみると、豪奢な駅舎、周辺はまだまだ開発中。日本の現状は「脱成長」どころではないようです。
 泉岳寺の山門脇の細い道を三田に向かいます。多くの坂、寺院。

この日、13時から研究棟の会議室で開催されたのは環境・平和研究会。
 初めて参加しました。会場には10名ほど、オンライン参加者も数名。自己紹介と今後の研究会運営についての打合せからスタート。

14時からのセッションの最初の報告は「欧州における脱成長研究の最新動向」について。
 昨年6月、スペインのポンテベドラ市で開催された第10回国際脱成長学会(欧州エコロジー経済学会(ESEE)第15回大会との共同開催)について詳細な報告がありました。
  Protestival(protest+festival)という、社会運動と学術研究の融合の試みという興味深い言葉も初めて教えて頂きました。 

私から一昨年から昨年にかけて欧州で広範に行われたトラクターデモの評価について伺ったところ、「運動の中心は在来型の生産者が多く、グリーンディール政策に対抗する運動ととらえられるのでは」等の回答を頂きました。

続く報告は、新しい編著書『パブリックヒストリーの実践~オルタナティブで多声的な歴史を紡ぐ~』の紹介。「パブリックヒストリー」とは初めて聞いた言葉でしたが、学問が歴史を占有することなく、人びとともに歴史を作り上げていく営みとのこと。「沖縄の親子ラジオ」など興味深い事例も多数収められているようです。
 さらに、「〈平和〉と民主主義」についての報告もありました。いずれも興味深い内容でした。

右は石垣市HPより。

この日は、ここまでの前半だけで失礼させて頂きました。
 というのも、17時から「令和の百姓一揆」実行委員会がオンラインで開催されることになっていたのです。急いで帰宅したのですが18時過ぎから遅れて参加。

 3月30日(日)当日のトラクター・歩行者の行進の段取り、スローガンやプラカード、新聞への全面広告の掲載など着々と準備が進んでいます。
 私からは「今回の取組みの成否は、いかに多くの市民・消費者が自分ゴトとして共感し、賛同・参加するかにかかっているのでは」等と発言させて頂きました。
 当日は以下のようなノボリを掲げ、牛さんの帽子をかぶって参加させて頂こうと思っています。多くの市民・消費者の皆様が参加して下さることを願っています。

チラシのデータはこちら

果たして、未だに経済成長至上主義で「脱成長」(この言葉自体、知らない人も多い)の意識が乏しいこの国で、どのような取組みになるのでしょうか。

(ご参考)
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
 メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
 https://www.mag2.com/m/0001579997