【ブログ】第6回 東雲会(於 千葉大学松戸キャンパス)

2025年3月22日(土)は、ぽかぽか陽気。花粉の飛散量も多し。
 久しぶりに千葉大学松戸キャンパスへ。昨年の東雲会以来です。桜の下にはご近所の家族連れの姿なども。

この日、13時30分から千葉大学園芸学部100周年記念戸定ヶ丘ホールで開催されたのは、第6回東雲会。千葉大学園芸学部の卒業生等による勉強会です。
 かつて私も社会人として、園芸学研究科に1年間通わせて頂きました。

 主催者の斎藤修先生(千葉大学名誉教授)による開会挨拶。
 今回は、農と食の新しい担い手の展開について、現場のドラスチックな動向を踏まえた報告等が行われるとのこと(以下、文責・中田)。

まず、萩原英樹さん(農林水産省参事官)から「国際農業交渉における主な論点」についての情勢報告。WTOやOECDなど国際会議における議論の内容等についてリアルな報告がありました。持続可能性と生産性向上の両立が主要な論点の一つとなっており、アグロエコロジーや森林デューデリジェンス等についても話し合われているそうです。
 古田恭子さん(外務省北米二課)からは、アメリカの農産物貿易の動向等についての最新情勢について補足。
 
続いて、稲垣照哉さん(一社・全国農業会議所)による「農地制度の変遷と今後の農地等の利活用の課題について」と題する報告。
 所有者不明農地が約100万aあり、農地を所有・利用する主体が多様化(株式会社、非農家、外国人、営農型発電等)する等の状況のなか、地域計画の実行(ブラッシュアップ等)を通じて担い手への農地集積をスムーズに進めることの重要性等を強調されました。

これに対して斎藤先生からは、将来の地域農業のあり方としての地域計画を高く評価しつつ、林地や草地も含めたビジョンづくりが必要ではないかといったコメントがありました。

越智崇継さん(築地産業株式会社)からは「野菜ビジネスの新展開と築地産業の戦略」と題する報告。青果仲卸や食品会社向け原料供給など幅広い事業を行っておられるそうで、輸出入業務については基本的に商社等を介さず現地の業者と直接取引しているそうです。タマネギをむく機械の動画も見せて下さいました。
 今後については、生産者(団体)との連携を強化するなど、信頼関係を築きつつパートナーを増やしていきたい等と話されました。

これに関連して佐藤和憲先生(元東京農業大学)からは、野菜は日本農業の中で付加価値では最大の部門であること、カット野菜事業の拡大など流通構造が変化しつつあること等について紹介(コメント)がありました。

右は築地産業グループのHPより。

最後の報告は、入省2年目の徳田祐子さん(農林水産省 就農・女性課)による「農業における女性の活躍推進に向けて」。
 農林水産省における施策の推進状況に加えて、農村派遣研修先で女性経営者の方から伺った話など個人的な体験も踏まえた分かりやすい報告でした。

これに対して農林水産省の女性職員の「草分け」でもある齋藤京子さん(元 農林水産省 女性・就農課長、戸定会会長)からは「女性参画は依然として進んでおらず、女性のアイディアが地域社会や農業経営に取り入れられるように取組の加速化が必要」等のコメントがありました。

終了後、17時からは、いつもの緑風会館2階千葉大学生協食堂での立食の懇親会。
 乾杯に続いて、会社員を辞めて新規就農されるという2人の男性の紹介も。
 この会の特色は、大学関係者や研究者のみならず、農業生産者、事業者、公務員、学生など様々な方が集まっていることです。斎藤先生が培ってこられた幅広い人脈の賜物です。

1年ぶり(あるいはもっと久しぶり)の方々と交流・会話しつつ、時間のできる4月以降は、少しずつでも学会関係の活動も再開しなければ、と思った次第です。

(ご参考)
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
 メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
 https://www.mag2.com/m/0001579997