【ポイント】
東京都を始めとする都市部の食料自給率は極めて低い水準にあり、仮に緊急事態が生じた場合の食料供給のリスクは大きなものとなっています。

3月30日(日)には所得低迷に苦しむ全国の農業者が立ち上がり、「令和の百姓一揆」のトラクター行進が行われる予定です(イベント情報欄参照)。しかし農業問題は、私自身を含む都市住民(消費者)の問題にほかなりません。
まず、食料自給率が長期的に低下傾向で推移してきた原因は、食料消費(消費者の食の選択)の激変にあります。国内で自給可能な米の消費は1960年度に比べて6割減少した一方、飼料や原料を輸入に頼る畜産物や油脂の消費量は3~4倍へと急増したこと(食の洋風化)が、食料自給率を低下させてきました。
現在の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで58%と、諸外国と比べて低い水準にありますが、これを都道府県別にみたものがリンク先の図312です。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/03/312_todohuken.pdf
これによると、北海道、山形県、秋田県等においてはカロリーベースの食料自給率が150~200%あり、道県外に農産物を移出する食料基地になっていることが分かります。
一方、青森県は生産額ベースでは200%を超えているもののカロリーベースでは100%程度と低いのは、飼料を輸入に依存している養鶏等が盛んであるためです。
これらに対して、東京都、大阪府等の大都市圏にある都府県については、カロリーベース、生産額ベースとも、極めて低い水準になっています。特に東京都はカロリーベースでは0%、生産額ベースでも2%しかありません(むろん東京都の農業は野菜等が中心であるため、カロリーベースでは四捨五入すると0%となります)。
このように、万が一、大凶作や輸入途絶等の緊急事態が生じた場合には、東京都等においては食料供給に大きな支障が出るリスクが大きいと言えます。
都市住民(消費者)には、日本の農業(生産者、産地)の現状を知り、支えていくための行動変容が求められています。さらに根本的には、人口の一極集中を是正していくことが必要です。
[データの出典]
農林水産省「都道府県別食料自給率」から作成。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/zikyu_10.html
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.312、2025年3月14日(金)[和暦 如月十五日]
https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/
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