【ポイント】
食料自給率が長期的に低下してきた最大の要因は、消費者の食生活(食の選択)の変化にあります。

3月30日(日)の「令和の百姓一揆」(イベント情報欄参照)には、私も「農業問題は都市住民の問題」と染め抜いた幟を掲げて行進に参加する予定です。なぜ農業問題は都市住民(消費者)の問題なのかを端的に表わしたグラフが、リンク先の図313です。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/03/313_gekihen.pdf
折れ線グラフにあるように、1960年度にはカロリーベースで79%、生産額ベースで93%あった食料自給率は、2022年度はそれぞれ38%、58%へと大きく低下しています。食料自給率(消費量/国内生産量)が低下したということは、すなわち国産農産物に対する需要が減少し、代わって輸入食料に対する需要が増加したことを示しています。このことが、正に現在の農業の現場が危機(農業所得の低迷、担い手や農地の減少)に直面している原因に他なりません。
それでは、私たち消費者が意識して積極的に輸入食品を選択してきたかというと、そういう訳ではありません。
棒グラフは、食料自給率に大きな影響を及ぼす主な3品目の1人当たり食料消費量(注)の推移を示したものです。2022年度の消費量を1960年度と比べると、米は約4割の水準へと大幅に減少した一方、畜産物や油脂の消費量は3~4倍へと急増しています。つまり、食の洋風化が急速かつ大幅に進行したのです。これほど食生活パターンが激変した国は先進国の中では日本だけです。
米は国内で自給が可能です。一方、畜産物や油脂については、その生産に必要となる飼料(とうもろこし等)や原料(大豆や菜種)の大部分を輸入に依存しています。
つまり、私たち消費者の食の選択(洋風化)が、結果として、食料自給率の低下につながったのです。
(注)
統計用語としては正確には「供給純食料」であり、家庭で発生する食品ロスを含んでいるため摂取量(実際に食べた量)とは異なります。
[データの出典]
農林水産省「食料需給表」から作成。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/zikyu_10.html
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.313、2025年3月29日(土)[和暦 弥生朔日]
https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/
(配信登録(無料)はこちらから)
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
(「豆知識」のバックナンバーはこちら)
https://food-mileage.jp/category/mame/
(メルマガ全体のバックナンバーはこちら)
https://food-mileage.jp/category/mm/