【豆知識】急速にぜい弱化する日本の農業生産基盤

【ポイント】
 担い手が高齢化・減少するとともに耕地面積も減少を続けるなど、日本の農業生産を支える基盤は急速にぜい弱化しています。

前号で述べたように、私たちの食生活(食材の選択)の大きな変化は大幅な食料自給率の低下をもたらしました。自給率の低下とは、すなわち国内農産物に対する需要の減少を示すもので、その結果、国内の農業生産者は所得の低迷にあえいでいます。
 さらに、国内の農業生産を支えてきた基盤も、リンク先の図314にあるように急速なぜい弱化が進んでいます。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/04/314_kiban.pdf

左のグラフは基幹的農業従事者数の推移です。
 基幹的農業従事者とは農業という仕事を主とする者のことで、いわゆる「担い手」に相当します。1960年には1,175万人いた基幹的農業従事者は、2020年には136万人へと実に88%減少しています。しかも年齢階層別にみると75歳以上が32%、60歳以上では80%を占めているなど高齢化が進んでいます。経済状況の厳しさから後継者が確保できていない状況が伺えます。

一方、右のグラフは耕地面積の推移を示したものです。
 1960年には607万haあった耕地面積(田と畑)は、2020年には433万haへと29%減少しています。宅地や工場用地に転用されたものもありますが、近年は耕作されず荒廃している耕地が多くなっています。

農業の担い手や耕地は、これまで日本の食料生産を担ってきた基盤に他なりません。
 現在、異常気象や戦争により世界的に食料安全保障の重要性が再認識されているなか、国内の農業生産基盤が危機的と言える状況にあることを、都市住民(消費者)を含めて認識する必要があります。

[データの出典]
 農林水産省「農林業センサス」「作物統計」の累年統計から作成。    
 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/index.html
 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/menseki/index.html

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
  No.314、2025年4月12日(土)[和暦 弥生十五日]
  https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/
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