【ブログ】お寺発!これからの⽇本社会とコモンズ(リタ市民アセット財団フォーラム)

自宅近くの小学校のフェンスには、環境美化のポスターが掲示されています。
 毎年、子ども達が描いた絵を地元のボランティア団体の方たちが防水加工して掲示しているものだそうです。

 やはり自宅近くの都立医療センター敷地内の平地林では、別のボランティア団体の方たちによる、希少植物の数を数えるためのロープ張り作業中。
 キンランの見頃はほとんど終わりましたが、フタリシズカの可憐な花などが目を楽しませてくれます。

2025年5月16日(金)は東京・秋葉原へ。
 外国人観光客等で賑わう街の一画にある神田寺(ビルになっています)で、「お寺発!これからの⽇本社会とコモンズ〜市⺠の「⾃利・利他」を応援する宗教の可能性〜」と題するフォーラムが開催されました。

都内の浄土宗寺院・寿光院(江戸川区)や見樹院(文京区)では、30年以上にわたって市民団体等に土地や施設等(アセット)を開放すること等を通じて、様々な市民活動を支援しコミュニティが形成されてきました。
 その成果を踏まえて、2024 年11 月に「(一社)リタ市民アセット財団」が設立されたことについての報告フォーラムです((公財)庭野平和財団が共催)。

ところが15時からという開始時間を勘違いしており、到着した15時15分頃にはすでにプログラムは開始されていました(どうも最近、ポカが多いな~)。
 会場には40名ほど、他にオンラインでの参加者もいるようです。

島薗 進先生(上智大学グリーフケア研究所客員所員、東京大学名誉教授等)から「宗教と市民社会-そしてリタ市民アセット財団の可能性」と題する講演の途中です。
 ケアは他者との交流のもっとも基本的な要素のひとつであるとして、ケア・コレクティブ『ケア宣言』の内容紹介が行われていました(文責・中田)。

 インソーシング(水道の再公営化等)の重要性、地域の図書館はコモンズの代表例であること、アテネには本だけではないモノのライブラリー(反消費主義のコレクティブ)もあること。さらには非物質的な技術や知識も集合化させることができること等の説明。

さらには「利他主義の興隆」と題して、伊藤亜紗やジャック・アタリ、さらには稲森和夫が提唱した「知足利他の社会への道程」等の解説。
 また、利他行は仏教の必然的な展開であるとして、宗教者が主催している子ども食堂の事例(テンプル食堂)も紹介して下さいました。
 「悲しみと思いやりの共同体」という言葉も。

お二人目の講演者は本田 徹先生(いいたてクリニック医師、NGOシェア(国際保健協力市民の会)理事)。
 海外医療協力や山谷のホームレス支援活動の後、4年前に福島・飯舘村に移住して診療活動を行っているそうです。移住を決意されたのは、故・早川篤雄住職(楢葉町・宝鏡寺)の不屈のたたかいに共感されたためとのこと。
 飯舘村では診療のほかヘルス・プロモーション活動「健康いちばん」にも取り組んでおられるそうで、その背景には、師事した故・若月俊一院長(長野・佐久総合病院)の薫陶があるとのことです。
 最後に、田中正造の「真の文明は山を荒らさず・・・」の言葉を紹介して下さいました。

休憩を挟んだ後半は、リタ財団の生みの親である大河内秀人専務理事(寿光院、見樹院住職)の進行によるパネルディスカッションです。

 まず藤居阿紀⼦さん(リタ財団代表理事)がマイクを取られました。
 江戸川区内の子ども食堂のルネットワーク「えどがわっ子食堂ネットワーク」、協働の住まいや食を提供するNPOほっとコミュニティ江戸川等の活動に取り組んでおられるそうです。

本田先生は大河内住職との赤提灯での交流等をユーモアを交えて紹介されつつ、
 「取り組んできたNPO活動自体がホームレスになりかかった時、大河内住職に助けてもらったこともある。志さえ曲げずにいれば人とつながることもできる」等の発言。

島薗先生からは
 「プライマリ・ヘルス・ケアは医療だけではなく、社会においても必要。早くに故・原田正純先生のことを知っていたら私も医者になっていたかも知れない。社会的な処方箋として、人間関係を変えていくコミュニティづくりが重要」等のお話がありました。

続いて奥田裕之さん(財団副理事長)から、財団の課題と目標等について報告が行われました。公益財団法人化の実現、公益のために市民が資産を活用できる事業モデルの形成、市民による「コモンズ」の形成、様々な研究会の開催等に取り組んで行かれるそうです。
 活動のための寄付、賛助会員やボランティアの募集も行っているとのこと。

 最後に(公財)庭野平和財団の方から、
 「これまでの活動に敬意を表するとともに感謝。これからも支援させて頂きたい」等の講評があり、この日のフォーラムは終了です。

子どもを含む多くの市民が犠牲となっている昨今の世界情勢をみると、果たして宗教というものがどれだけの力を持っているのか、正直、個人的には疑問を感じざるを得ない一方で、強い期待も有しています。
 大河内住職も、かねてパレスチナ支援に尽力されてきた方と伺っています。

 地域と世界の両方を見据えたリタ市民アセット財団の活動に、これからも注目していきたいと思います。

(ご参考)
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
 メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
 https://www.mag2.com/m/0001579997