-幸田 文『木』(1995年12月、新潮文庫)-
https://www.shinchosha.co.jp/book/111612/
【ポイント】
文章の達人である著者による、樹木と自然への畏敬の念を記したエッセイ集です。

著者の幸田 文(あや)は、1904年、文豪・幸田露伴の次女として東京に生まれました。本書は、樹木に逢って感動をもらいたいと全国をめぐった著者の、樹木や自然に対する畏敬の念が綴られたエッセイ集です。
そもそも著者が草木に心を寄せるようになった切っ掛けの一つは、幼少期における父の「教え」だったとのこと。露伴は三人きょうだいのそれぞれに木を与え、木の葉の当てっこをさせたそうです。著者は、何でも当てる出来のいい姉(後に早世)への嫉妬心が草木への興味をより強くしたと、告白しています(『藤』)。
また、著者は「私は咲きだそうとする花、ひろがろうとする葉に一番心を引かれる」としつつ、山地の崩壊や川の荒れを目撃し、樹木(立木のいのち、材としてのいのち)にも寿命があることを知ります。「紅葉、黄葉ほど美しい別れ、老いの終わりはほかにあるまい」とも記しています。
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.316、2025年5月12日(月)[和暦 卯月十五日]
https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/
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