【豆知識】米需要の見通しと実績

【ポイント】
 米の消費量は長期的に減少してきており、国の見通しをも下回って推移してきましたが、2023/24年度には約2%の増加に転じました。

政府(農林水産省)は、米の需給及び価格の安定を図るため、毎年、審議会の議論を踏まえて翌年及び翌々年の米の需給見通し(「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」)を作成し、生産者や集荷業者・団体は、この情報を踏まえて需要に応じた生産に取り組むこととなっています。
 リンク先の図317は、基本指針における2011/12年度以降の米の需要量の見通し及び実績を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/06/317_2_beikoku.pdf

水色の線が前々年(2年前)の、青い線が前年(1年前)における需要見通しです。これは、当てはまりのよい(傾向が明らかな)1996/97年度から直近までの1人当たり消費量のトレンド(回帰式)を用いて算出しています。
 一方、赤い線が実績です。これらを比較すると、2022/23年度(22年7月~23年6月)まではおおむね実績が見通しを下回って推移していることが分かります。つまり、近年の米の消費量はこれまでの傾向を上回って減少してきたのです(毎年約10万トンずつ減少)。

ところが、米需要の様相は2023/24年度に一変しました。約2%の増加に転じ、翌年度に入っても堅調な需要が続いています。
 この背景として、輸入小麦等が高騰する中で米が割安だったこと、インバウンド需要の拡大や南海トラフ地震臨時情報の発表に伴う買いだめ需要が生じたこと等が指摘されていますが、いずれにしても過去のトレンドからは想定外の事態が生じたのです。これがいわゆる「令和の米騒動」につながり、現在も米価格は昨年までと比べて高い水準で推移しています。

今後の米需給については、供給サイドの状況(担い手の減少・高齢化、農地の減少等)が決定的に重要ですが、需要面の状況変化も的確に把握していくことが求められます。
 なお、本年1月末時点における生産者・団体に対する意向調査結果によると、本年産米の作付面積は前年産を2.3%上回ることとなっています。

[データの出典]
農林水産省「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」(各年度)から作成。
 https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/beikoku_sisin/

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.317、2025年5月27日(火)[和暦 皐月朔日]
  https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/
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