【豆知識】米の価格と生産コスト

【ポイント】
 「高騰」していた米の店頭価格はようやく沈静化する兆しを見せていますが、生産コストを考慮する視点も必要です。

6月23日(月)の農林水産省の発表によると、6月15日までの1週間に全国のスーパーで販売された米の平均価格は3,940円(5kg当たり税込み)と、約3か月ぶりに3,000円台に値下がりしました。また、小泉進次郎農相は6月10日(火)の記者会見で、追加放出する2020年産米の店頭価格は1,700円程度になると言及しました。
 なお、2024年産米の25年5月時点における相対取引価格(出荷業者と卸売業者等間で取引を行う場合の価格。2024年産米、全銘柄平均価格)は5kg当たりに換算すると2,304円となります。

 リンク先の図319は、これら価格と米の生産コストを比較して示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/06/319_cost.pdf

折れ線グラフが先ほど紹介した米の価格です。
 一方、棒グラフが米の生産コストで、全国平均で1.329円(5kg当たりに換算)となっており、作付規模が拡大するにつれて低下していることが分かります。現在のスーパーの店頭価格は生産コストの3倍近い水準に当たり、流通マージンを考慮しても生産者にとっては一定の所得が得られているものと考えられます。
 しかしながら、小泉農相が言及した20年産米の価格では、大規模階層であってもほとんど所得は確保できないことが分かります。特に小規模層では、出荷業者のマージンを含んだ相対取引価格と比較しても赤字となっています。
 テレビのワイドショー等では、相も変わらず店頭価格がどこまで下がるかばかりが取り上げられていますが、米の価格を考える際には、生産者の生産コストのことにも留意する必要があります。

[データの出典]
農林水産省「令和5年産米生産費(個別経営体)」等から作成。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/seisanhi_nousan/index.html

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.319、2025年6月25日(水)[和暦 水無月朔日]
  https://food-mileage.jp/2025/02/10/letter-309/
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