【豆知識249_2】世界の飢餓人口の推移

本年7月28日(月)、国連は「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」と題するレポートの最新版(2025年版)を公表しました。
 リンク先のグラフは、この報告書(英文)のデータから作成したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/07/249_2_NoU.pdf

これによると、世界全体で飢餓の影響を受けている人の数(慢性的な栄養不足人口)は、2024年には最大で6億7,300万人(最大で7億2,000万人)と推定され、これは世界の全人口の1割弱を占めており、SDGs(持続可能な開発目標)の2番目「2030年までに飢餓をゼロに」の7目標からは遠く離れているとしています。

 飢餓人口の推移をみると、2005年には約8億人だったのが2010年には約6億人、2018年には約5.6億人へと減少していましたが、2019年から増加に転じ、21年には約7億人となりました。これは、新型コロナウィルスの感染拡大とウクライナ戦争によってサプライチェーンが混乱し、食料価格が上昇したためとされています。
 その後、やや改善がみられたものの、依然として新型コロナウィルス感染拡大以前の水準を大きく上回っており、SDGs(持続可能な開発目標)の2番目「2030年までに飢餓をゼロに」の目標からは遠く離れています。この背景には食料価格のインフレが継続していることがあるとレポートは分析しています。
 また、地域別にみると、アフリカが約3.1億人と最も多く(うちサブサハラ(サハラ砂漠以南アフリカ)は約2.8億人)、アジアが約3.2億人(うちインドなど南アジア約2.3億人)等となっており、サブサハラ等で飢餓人口の増加が続いていることが見て取れます。人口に占める割合をみても、サブサハラでは約22%(東アフリカ約26%、中央アフリカ約30%)となっています。
 このように、世界の飢餓については地域的な格差(不平等)が非常に大きく、さらに拡大しているのです。

(データの出典)
 FAO(国連食糧農業機関)、IFAD(国際農業開発基金)、unicef(国連児童基金)、WFP(国連世界食糧計画)、WHO(世界保健機関)
 “The State of FOOD SRCURITY AND NUTRITION IN THE WORLD”(2025.7)(英文)
 https://openknowledge.fao.org/items/18053f75-4c71-4a35-a0d9-1eb2fe204364