◇フード・マイレージ資料室 通信 No.326◇
2025年10月6日(月)[和暦 葉月十五日]
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◆ F.M.豆知識 今年も異常に暑かった夏
◆ O.カレント FBページ「恵泉女学園大学の教育農場を次世代に繋ぐために」
◆ ほんのさわり 小泉英政『土と生きる-循環農場から』
◆ 情報ひろば 第5回 食と農の未来フォーラムの開催について
ブログ更新、イベント情報等
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今日は中秋の名月。収穫期を迎えた里芋を供えることから「芋名月」とも呼ばれます。ちなみに満月は明日7日です。
本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)にコツコツと配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータ等をコツコツと紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
-今年も異常に暑かった夏-
【ポイント】
夏季(7~9月)の最高気温は、2025年も過去に比べて異常に高い数値でした。

10月に入りようやく過ごしやすくなりましたが、今年の夏も暑かったですね。これをデータで示したのが、リンク先の図326(日最高気温の平均値の推移を図示したもの)です。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/10/326_kion.pdf
このグラフからは、直近3年間の夏が特に暑かったことが分かります。
7~9月の平均値についてみると、1980~90年代は28.8℃、2000~10年代は29.9であったのが、2020~22年は30.1となり、さらに2023年は33.1℃、24年は32.7℃、今年(2025年)は32.8℃でした
9月の最高平均気温をみても、1980~90年代は26.8℃、2000~10年代は27.8℃、2020~22年は27.7℃だったのが、2023年は31.2℃、24年は30.9℃、今年は30.9℃でした。つまり直近3年間の夏は暑いだけではなく、長くなっているのです。
猛暑・酷暑は、私たちの生活やエネルギー需要のみならず、農作物の作柄にも大きな影響を及ぼします。今後、温室効果ガス排出量の削減など気候変動緩和策を強化するとともに、気候変動の影響に適応する対策が重要となっています。
[データの出典]
資料:気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」を用いて作成。
https://www.data.jma.go.jp/risk/obsdl/index.php
◆ オーシャン・カレント-潮目を変える-
食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
-FBページ「恵泉女学園大学の教育農場を次世代に繋ぐために」-
【ポイント】
2026年度の卒業生を最後に閉学する見通しとなっている恵泉女学園大学。その教育農場を次世代に繋きたいと願う人々の集りです。

恵泉女学園大学は、少子化に伴って2023年度を最後に学生の募集を停止し、事実上2026年度の卒業生を最後に閉校となる見通しとなっています。
同学は1929年の創立当初から「生活園芸」を必修科目としており、多摩キャンパスに隣接する教育農場では有機栽培による実習が行われてきました。「共生、循環、生物多様性の3つを大切にする有機農業にこそ、人と人、人と生き物、人と自然の関係を豊かにする教育力がある」とのことです。現在の広さは約70アール、2001年には教育機関として初の有機JAS認定を取得しています。
本FBページは「閉学する見通しとなっている恵泉女学園大学の教育農場を次世代に繋きたい!」と願う人々の集りです。卒業生・在校生とご家族、周辺住民、公開講座等への参加者など、想いに賛同する人は「どなたでも大歓迎」とのことです。
ぜひ、ご覧頂き、賛同される方はメンバーになって頂ければと思います。
[参考]
FB公開グループ「恵泉女学園大学の教育農場を次世代に繋ぐために」
https://www.facebook.com/groups/7574220309338226/
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
-小泉英政『土と生きる-循環農場から』 (2013.9、岩波新書)-
https://www.iwanami.co.jp/book/b226230.html
【ポイント】
成田空港反対闘争にも参加した著者は、「命つきるまで/土に向かえたら/何もいらない」と、自身の心境を述べています。

著者は1948年北海道生まれ。上京してベ平連の座り込み運動や成田国際空港反対運動に参加し、その後、千葉・成田市三里塚に移住して就農。現在は小泉循環農場を営んでいます。
本書は、有機農業を始めて40年になる著者が、2週間おきに消費者に直送している野菜の段ボール箱に入れているワラ半紙1枚の「循環だより」をまとめたものです。
「芋名月」と題された珠玉のような一文があります。
十五夜に当たる日、畑見学の人たちが来て出荷用の里芋(土垂・どだれ)を一緒に堀った時のこと。この年の里芋はとりわけ大きく、土を落とすために皆でどすんどすんと地面に落とした後、夕刻になって芋こさえ(子芋を外す作業)をしていると、東の空に「くれない色の満月」が昇ってきたそうです。著者は「何とその日にふさわして仕事をしたことか。里芋畑の上にも皆でしばし見とれた十五夜お月さん輝いた」と記しています。
新規就農後、様々な試行錯誤を続けていた著者がたどり着いたのが「循環農業」でした。輸入穀物に依存した鶏糞等を用いない、農業用ビニール等も極力使用しない、代わりに里山の落ち葉たい肥を「大地の母乳」として使用するという農法です。
著者にとって有機農業とは、手間のかかる、地を這うような下手な農業であり(スマートという言葉とは真逆です)、「命と環境を守る創造的な非暴力直接行動」と位置付けています。
著者は東京電力福島第一原発事故(一時、落ち葉たい肥も使用できなくなりました)の後、「命つきるまで/土に向かえたら/何もいらない」ことを再認識したそうです。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届けします。
▼第5回 食と農の未来フォーラムの開催について
食と農を取り巻く深刻な問題の多くは「食と農の間の距離」が離れてしまっていることに起因しています。都会の一般市民(消費者)の皆さんを主な対象として、食と農の現場の課題を身近に感じ、自主的な行動変容につなげて頂くことを期待して開催する本フォーラム、これまで大友 治さん(本木・早稲谷 堰と里山を守る会、福島・喜多方市山都)、鈴木純子さん(ふくしまオーガニックコットンプロジェクト、いわき市)、榊田みどりさん(農業ジャーナリスト)をゲストにお迎えしてオンライン開催してきました。
(趣旨、これまでの開催概要等)
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/10/251006_flyer.pdf
食と農は「いのち」の源です。第5回は「いのち」そのものについて考える会として、以下により開催する予定です。
(1)日時 2025年10月27日(月)午後7時~9時
(2)開催方式 オンライン(zoomを利用、参加費1000円)
(3)テーマ
「ハンセン病問題を基礎から学び、紙芝居『わたしの命の物語』から生きやすい社会について考える」(仮題)
https://peatix.com/event/4608742
上記Peatixページよりお申し込み下さい(申し込んで下さった方には、終了後、アーカイブを配信予定)。
多くの方のご参加をお待ちしています。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 都市住民こそ他人事じゃない!私たちの食べものは大丈夫?(第4回 食と農の未来フォーラム)[9/25]
https://food-mileage.jp/2025/09/25/blog-602/
〇 吉村昭 書斎、都立横網町公園、「今夜はご機嫌」9月など[10/2]
https://food-mileage.jp/2025/10/02/blog-603/
▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
参加等を希望される際には、必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。
〇 西原まつり2025
日時:10月12日(日)10:00~15:00
場所:羽置きの里びりゅう館付近(山梨・上野原市西原)
主催:西原まつり実行委員会
(詳細、問合せ等↓)
https://www.city.uenohara.yamanashi.jp/site/shiminkatsudo/1021712.html
〇 日本有機農業研究会 シンポジウム 2025
日時:10月14日(日)19:30~21:30
講演:藤原辰史さん
場所:オンライン
主催:NPO法人PAGE2
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/4311235722491643/
〇 今夜はご機嫌@所沢で農業 10月
日時:10月30日(木)18:30~20:00
場所:図書喫茶(カフェ)カンタカ(東京・東村山市)
主催:今夜はご機嫌@銀座で農業
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/810099041611750
〇 多磨全生園・人権の森を歩く
日時:10月19日(日)13:00~16:00
場所:国立ハンセン病資料館ほか(東京・東村山市)
主催:東村山市
(詳細、問合せ等↓)
https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/shisei/danjo/jinken/fukyuukeihatsu/gaidowo-ku.html
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* 米令寺忽々のコツコツ小咄
「スルメイカくん、長い時間かかったけど、ようやく更生できたね」
「はい。不良(不漁)は卒業しました」
個人のフェイスブックで週3日お披露目中。「まとめ」は以下に掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.327は10月21日(火)[和暦 長月朔日]に配信予定です。
正確でより役に立つ情報発信に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです(このメールに返信頂ければ筆者に届きます)。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつも有難うございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F.M.Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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