【ブログ】荒川砂村ビオトープ環境保全観察・学習会(アクサポ)

2025年10月19日(日)の午後は、東京・東村山市主催の「多磨全生園 人権の森を歩く」に参加。市内外からの50名以上の参加者は将来構想の概要等について説明を受けたのち、園内のガイドウォークへ。あいにくの雨でしたが、学芸員の方が分かりやすく解説して下さいました。

21日(火)の午後は市内のA小学校6年生の見学会。約100名の生徒が4コース、19グループに分かれて園内を巡りました。この日は私はガイド役として参加。2日前の上記イベントが大いに参考になりました。

10月23日(木)、都営新宿線・東大島駅(東京・江東区。何と、川の上に駅があります)に到着したのは朝の9時過ぎ。少し時間があったので、周辺を散策しました。
 高台になっている大島小松川公園には、1930年に完成した旧小松川閘門が歴史的建造物として保存されています。ヨーロッパの古城のようなたたずまいです。
 江東区中川船番所資料館には、原寸大のジオラマのほか、農業(砂村丸ナス、小松菜等)や漁業(海苔等)に関する資料が展示されていました。

10時前に東大島文化センターへ。
 この日は「荒川砂村ビオトープ環境保全観察・学習会」の実施日です。
 主催は、立教セカンドステージ大学同窓会の方たちが本年2月に立ち上げた(一社)アクティブサポーターズ(通称アクサポ)。都市部に暮らすアクティブなシニア世代が社会課題の解決に参画しようと活発に活動されています。この日の参加者は20名ほど。
 なお、この日の観察会についても、事前/事後に2度のオンライン学習会を行うという熱心さです。

現地見学の前に、まず座学です。
 まず、江東区内で20年間にわたってビオトープの保全や調査、環境教育活動をされている阿河眞人先生(NPO法人ネーチャーリーダー江東)から「ビオトープ観察のポイント」について。
 ビオトープとは「bio+topos」(生物のすみか)のことで、本来はわざわざ作ったものを指す言葉ではないこと、江東区の原風景(河口域の氾濫原の自然)の復元を目指して目標とする植生に誘導(遷移の停止)するための活動を行っていること、外来種の駆除が大きな課題となっていること等について説明がありました。
 また、参加者からの猛暑の影響についての質問に対しては、昨年あたりから環境や生物に大きな影響が出ていること、暑いために保全活動もままならなくなっていること等の回答がありました。

続いて奇二正彦先生(立教大学スポーツウエルネス学部准教授)から、自然調査活動アプリの使い方についての説明がありました。参加者は、紹介された “iNaturalist” や “Biome” を実際にインストールして観察・学習会に臨みます。

そしていよいよ現地へ。前日は雨でしたがこの日は好天に恵まれました。
 路線バスで10分ほど、さらに徒歩5分ほどで河川敷にある荒川・砂町水辺公園(ポケットエコスペース)に到着しました。江東区で2番目に大きなビオトープとのことです。
 阿河さんが植生について説明して下さいました。
 説明している間には、チョウセンカマキリ(在来種)の姿も。

一面、ススキのような穂を出して群生しているのはオギ。ススキと違って株は作らないそうです。残してあるエノキはゴマダラチョウの食草とのこと。近年は外来種のアカボシゴマダラが増えてきているそうで、奇二さんがスマホで画像を見せてくださいました。
 泡立っているように見えるセイタカアワダチソウの花は、実は小さな花が集まっているそうです。よく見ると奇麗に花ですが、駆除が必要な外来種です。
 大豆の原種であるツルマメ、コセンダングサ、ツユクサ等についても説明して下さいました。
 草を分けて移動します。

ため池があり、仕掛けてあったトラップを引き上げて見せて下さいました。たくさんのアメリカザリガニが捕獲されています。
 もっとも厄介な外来生物とのことで、ミシシッピアカミミガメとともに条件付き特定外来生物(一般家庭でペットとして飼うことは可能だが野外に放すこと等は禁止)に指定されているそうです。
 駆除したアメリカザリガニは地中に埋めているとのこと。

さらにいくつかの植物を説明して下さいました。
 阿河さんが指さしている地面を見ると、可憐な紫色の花をつけた植物がありました。ナンバンギセルと言うそうで、葉緑素を持たず、オギ等の根に寄生している植物だそうです。
 また、江東区の在来作物を植える構想もあると説明して下さいました。

見学・学習会はいったん終了し、南砂町に向かいます。
 堤防の上からみると、確かにセイタカアワダチソウの大群落になっていることが分かります。
 ショッピングモール内の台湾料理屋さんで昼食。まぜそばを頂きました。

昼食後、大学の授業のある方等は駅に向かい、時間のある方は再びポケットエコスペースに戻りました。道路沿いのセイタカアワダチソウの駆除(引き抜き)作業です。2m近くあるものは茎も太く、力を入れてもなかなか抜けません。
 私は所用があって作業には30分ほどしか参加できなかったのですが、振り返って見ると、限られた区画だけですがセイタカアワダチソウの黄色が見えなくなっていました。

ちなみに最後まで作業された方は、みんなで銭湯で汗を流し、反省会(懇親会)も行ったとのこと。さすが、アフターファイブ(?)もアクティブな皆さんです。

奇二先生によると、生物多様性(種の多様性、生態系の多様性、遺伝子の多様性)の保全が地球的な課題となっているなか、まずは自分の住んでいる場所に生息している生物を調査することが、世界全体の生物多様性の保全に大きく貢献するとのこと。
 地球的な課題についても、自分たちにできることはあります。まずは知ること、現場を体験することの大切さも教えられた一日でした。
 阿河先生、奇二先生、アクサポの皆様、貴重な体験を有難うございました。

(ご参考)
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
  https://food-mileage.jp/
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  https://www.mag2.com/m/0001579997
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