【ブログ】坂田昌子さんによる森の再生ワークショップ@笠間

2026年3月31日(火)~4月5日(日)、東京・東村山市立中央公民館で今年もハンセン病問題を知る企画展示が行われました。今年のテーマは「「らい予防法」から考える」。

 パネル等のほか、秋津小学校の児童たちが授業の一環で作成した全生園のジオラマ等も展示されています。入所する感染者の背後には、消毒のためとして石灰を撒きながら歩く保健所職員の姿も。
 「理不尽なルールに対する孤独と怒り」と題する大きな作品は、実際に中に入ることで(暗くて狭い空間です)、強制収容された感染者の気持ちを想像しようとするもの。

自宅近くに一画を借りている市民農園。
 年度初めの抽選に外れ、キャンセルが出てようやく借りることができたのは昨年11月。辛うじて販売されていたキャベツやカリフラワーの苗を植え付け、ダイコンやカブの種を播いたものの、冬の間はまったく生長しませんでした。今期の収穫は皆無で終わるかと覚悟していたところが、春になり暖かくなってくると、ぐんぐんと伸びてきました。自然には驚かされます。
 多くが収穫できたものの追いつかず、一面の菜の花畑状態になっています。

なお、今年はやはり近隣にある体験農園でも活動を始めました。こちらはきちんと農家の方が指導して下さいます。

2026年4月11日(土)は、この上ない快晴に恵まれました。気温も上昇するとの予報です(結局、東京では27.3℃を記録)。
 「水と空気の流れを整え生物多様性豊かな森をつくる~坂田昌子さんによる森の再生ワークショップ」の開催日です。

主催者の友部コモンズのことは、3月3日(火)に開催されたオンライン勉強会「サステナブルな服育とは?」に参加して、初めて知りました。環境再生や共助コミュニティ形成に取り組んでいるNPO法人とのこと。
 その時の講師・鈴木純子さん(かねて(一社)ふくしまオーガニックコットンプロジェクト(ふくわた)の関係でもお世話になっている方)にお誘い頂き、この日のワークショップに参加することとしたのです。

JR常磐線・友部駅で純子さん(毎週のように車で福島、茨城、東京を移動している本当に行動的な方です)に拾っていただき、会場に到着したのは10時過ぎ。
 青空の下、里山の光景が広がっています。

森の中を10分ほど歩いてワークショップの会場へ。
 友部コモンズの廣水さん(共同代表)と友田さんが案内・説明して下さいます。2年前までは荒れて一面の笹原だった場所だそうですが、今は明るくて風通しもよく、気持ちのいい空間です。

常磐自動車道の渋滞に巻き込まれたらしい坂田昌子さんが到着されるまでの間、シガラづくりを教えてもらって体験。
 シガラとは、斜面の土の流出を防ぎつつ水を浸透させる伝統工法とのこと。杭を打って太い横木を渡し、その上部に細い枝をしならせて組み合わせるように突き刺して補強します。最後に、隙間にぐいぐいと落ち葉を押し込んでいきます。なかなかうまくできません。

坂田昌子さんが到着したのは11時30分頃。かなり酷い渋滞だったようです。
 坂田さんは(一社)コモンフォレスト・ジャパン理事等を務められ、東京・高尾山を始め全国各地で伝統的手法による生物多様性保全と自然環境改善のためのワークショップ等を開催されている環境活動家。
 かねて一度お話を伺いたいと思っていたところ、この日、初めてお目に掛かることができました。小柄な方で、奄美大島のTシャツ(最後に説明がありました)を着ておられます。

林の中で参加者一人ひとりから自己紹介。
 森林や農業に関係する活動に参加されている方、うるし職人の方、福岡から来られたという方も。友部コモンズの活動のサポートをしている学生・大学院生たちの姿も。

続いて、坂田さんからこの日のワークショップの概要等について説明(文責・中田)。
 「今日は弱っている木の樹勢を回復させるための作業を行うが、そもそも良い自然とはどのような状態かが、多くの人には分かっていない。明るくて日当たりがいいと気持ちよく感じるが、明るいところ・暗いところなど様々な場所があった方がいい。それぞれの環境に適応した植物が生えてくる。笹は土が崩れるのを防止する役割がある。
 環境保全活動は、やり過ぎる場合が多い。人工的に管理され、奇麗であっても、生き物の声が聞こえないような公園のようにしたい訳ではない。良い環境とは人間が決めるものどはなく、答えは生き物が出してくれるもの。自然は正直に答えてくれる。人間は自然の網の目の中にいるという意識、感覚が重要。
 経済の高度成長等でいったん失われたグリーンインフラを、重機を使うのではなく手作業によって取り戻していきたい」。
 その後、まずは各自持参した昼食をとることに。

13時から、いよいよ坂田さんによるワークショップの開始。森の中を歩きながら、色々と説明をして下さいます。

「人は水脈を作ることはできない。落ち葉やキノコの働きを邪魔しないことが重要」 
 「やたら炭を埋めようとする人がいるが、炭は土には戻らない。炭を埋めると土はアルカリ性になり、野草が生えなくなる。一方、畑の野菜は弱アルカリ性を好む。植物にも個性がある」
 「木は弱り始めると、梢から葉が落ちるようになる。枝の先端部分の葉が無くなってくると、要注意。近年は高温障害の影響もある」

 この日のワークショップは、樹勢回復のための作業です。
 坂田さんはフィールドの中を歩き回り、樹々の梢を見上げつつ、樹勢回復のための作業が必要な1本の広葉樹を見定めました。なお、フィールド内には太い藤の蔓が巻き付いている木も多くありますが、必ずしも除去する必要はないとのこと。 

そして、樹勢回復のための作業の内容等を説明して下さいます。
 梢の先の直下のあたりまで、根が張っているとのこと。多くの木の根が絡み合って、菌根菌と共生し、ネットワークが張り巡らされているとのこと。

 坂田さんが実際にお手本を示して下さいました。小ぶりなイカ型片手鍬(初めて使いました)や、潮干狩りに使うような熊手を用いて、表土を少しずつ、なめるような感じで削っていきます。
  「決してザクザクとはやってはいけない。手の感触を大切に、丁寧に。経験で覚えるしかない」
 繊細な根を切らないように注意しつつ、3cmほどの穴を掘り、出てきた土に落ち葉と稲わらを混ぜ合わせて埋め戻し、軽く手で押さえます。このような地道な作業が、樹勢の回復に大きな効果があるそうです。 

さっそく、参加者それぞれが作業を開始。
 表土を削ってみると、本当にたくさんの根が絡み合っていること驚きました。これらを切らないように穴を掘るのは至難で、絡み合った根をほぐすようにして少しずつ掘っていきます。

予定していた時間を1時間ほど超過し、17時頃にワークショップは終了。
 坂田さんからは「今日のような、手を入れる、自然と関わるといった活動を、小学校を含めて全国で進めている。それが環境破壊を止めていく大きな力となる」と話されました。

 さらに、Tシャツにある奄美・嘉徳浜の保全活動についても紹介して下さいました。
 嘉徳浜は全国でも珍しい砂防ダム等が全くない手つかずの浜で、オサガメやウミガメの産卵地ともなっているそうです。この浜に現在、コンクリート護岸工事が強行されようとしているとのこと。これは地元だけの問題ではなく、未来に繋げていくために全国で取り組んでいく必要があると、力説されました。
 生憎とこの日持参されたTシャツはM、Sサイズだけとのことで、求めることはできませんでした。

日が傾きかけた頃に解散。
 地元の方が容器に入れた蜂を見せてくれて、山での活動はこのような蜂に気をつけろ、腕や首筋も隠すように、と親切にアドバイスして下さいました。
 さらに、手ずから自宅裏の竹林から筍を掘って、手渡して下さいました。有難うございます。

東京に行かれるという純子さんに同乗させて頂き(幸い、渋滞はひどくありませんでした)、JR総武線・両国駅まで送って下さいました。途中で美味しいインド料理を堪能。
 坂田さんと友部コモンズの活動には、これからも目が離せません。坂田さんの高尾山でのワークショップにも参加したいと思っています。
 友部コモンズの皆さん、鈴木純子さん、参加者の皆様、貴重な楽しい機会を頂き有難うございました。

(参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
https://www.mag2.com/m/0001579997
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