【ほんのさわり339】菅野静枝『非戦行脚29年』

-菅野静枝『非戦行脚29年~戦前にしないために』(2023.10、学習の友社)-
https://gakusyu.hateblo.jp/entry/2023/10/19/110554

【ポイント】
 戦犯処刑者の孫の妻だった著者は、夫の一周忌の日から非戦のための全国行脚を行い、戦争経験者等へのインタビューを続けています。

東日本大震災から15年目に当たる2026年3月11日(水)、渋谷の映画館のロビーで『金子文子~何が私をこうさせたか』の上映開始を待っていた時、やはり映画を待っておられた小柄な高齢の女性から声をかけられました。髪は短く刈り込み、尼さんのような風貌です。
 お話を伺うと非戦のために全国行脚を続けられているとのことで、せっかくのご縁なのでその場でご著書を求めさせて頂きました(押し売りしたみたいでごめんなさい、としきりに恐縮しておられました)。
 その菅野静枝さん(すがのしずえさん、「静」は旧字)は1940年東京・下町生まれ。高校卒業後、テレビタレント、喫茶店や書店員等など様々な職業を経験されました。1990年に菅野 武氏(廣田弘毅の孫)と結婚するも957日で死別、その一周忌の日から非戦のための全国行脚を始められ、延べ3万人以上の戦争経験者等にインタビューされているそうです。本書は、その内容の一部を収録した2冊目の著書です。

私はこの本によって、初めて山の手大空襲のことを知りました(オーシャン・カレント欄参照)。
 10代で鉄血勤皇隊の一人として沖縄戦の地獄を体験した太田昌秀氏(元沖縄県知事)や長崎の原爆で被爆し家族を失った女性、かつて従軍慰安婦や加害兵士だった方へのインタビューも収録されています。
 また、東京大空襲等で両親を亡くした当時7歳の女性にとって、幼い弟とともに行くところは上野駅の地下道しかありませんでした。いわゆる「駅の子」です。そこでは毎日2~3人、多い日には6人もの餓死者が出るなど、戦争末期から戦後にかけての東京の食糧事情は極めて厳しいものでした。

ちなみに1945年の東京都の人口は現在の4分の1の約350万人。万一、戦争等が起こった場合の大都市・東京の飢餓のリスクは、現在は格段に大きくなっている可能性があります。
 人口の90%近くが戦後生まれとなっている現在、86歳となった著者は「新たな戦前にしない」ための行脚を続けておられます。

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.339、2026年4月17日(木)[和暦 弥生朔日]
 https://food-mileage.jp/2026/04/27/letter-339/
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