【ブログ】環境もコミュニティも再生する「かすかべ農園」訪問記(埼玉・春日部市)

2026年5月7日(木)のGW明けは、地元の小学校の登校見守りと挨拶ボランティア。みんな元気に登校してきましたが、心なしか付き添いの保護者の方が多かったような。
 その後は周辺の清掃活動。やはりタバコの吸い殻がダントツに多いです。

その前日、GW最終日は埼玉・春日部へ。
 朝9時に駅に到着、ホーム上にある名物(?)の駅ラーメン。コロッケをトッピング。
 春日部情報発信館「ぷらっとかすかべ」で電動自転車をレンタルしました。従業員の方も親切。あちらこちらにクレヨンしんちゃんがいます。

電動自転車はラクで快適です。
 春日部(かつては粕壁と表記)は利根川に沿った日光道中(街道)の宿場町で、小渕一里塚の道標には日本橋から9番目と記されています。
 小渕山観音院の見事な仁王門(市指定重文)。境内には「憲法九条の碑」もありました。

最勝院の境内には、南北朝時代の南朝方の武将・春日部重行の墓。旧街道沿いには旧家の蔵などが軒を並べています。
 春日部八幡神社は、春日部氏の館跡にあります。鳥居の手前には「中川低地の河畔砂丘群」の説明版。浅間山等の火山灰に由来する大量の砂が季節風に吹き溜められた内陸生の砂丘で、県指定の天然記念物にも指定されている珍しい地形だそうです。

さて、いよいよ、この日の目的であるコミュニティ農園「かすかべ農園」に向かいます。

私がこの農園のことを知ったのはごく最近のことで、それはgreenx.jp著『リジェネティブデザイン』(英治出版)という本でした。454ページという大著ながら、自然環境と人間の再生を目指す先進的かつユニークな取組み事例が読みやすくまとめられています。

 その事例の一つとして、かすかべ農園が取り上げられていたのです。
 代表の小林泰紘(こばやし・やすひろ)さんの略歴には一般社団法人代表、カタリスト、共創ファシリテーター等の文字。内容はよく分かりませんが、いずれにしても幅広く活動されている方のようです。
 その小林さんが、環境再生型(リジェネラティブ)農業の実験ほ場として始めたのがこの農園とのこと。その特徴は7科以上の種や苗を混ぜて栽培する「混生密生」という農法にあり、これが生物多様性のみならず、土壌環境や人のつながり(コミュニティ)の再生にまで貢献しているというのです。
 正直、「ほんまかいな」と半信半疑ながらネットを検索してみると、ちょうどこの日(5月6日)が月2回のオープン活動日で誰でも参加できることを知り、早速、LINEで申し込ませて頂きました。まずは「百聞は一見に如かず」です。

さて、11時頃にGoogle Map様に導かれて「目的地」に到着したのですが、それらしい農園は見当たりません。目を凝らすと、草ぼうぼうの原っぱ(にしか見えませんでした。すみません)の向こうに作業しているらしい人の姿が見えます。近づいて声をかけてみると、正にここがかすかべ農園でした。

10名ほどの方が思い思いに作業されています。小学生くらいの子どもも3人ほど。写真で拝見していた代表の小林泰紘さんの姿もあります。

 スタッフのKさんが、初めての私のために概要を説明をして下さいました。
 規模を縮小されることとなった茶農家の畑を借りて農園を始めて、4年目になるとのこと。見渡すとお茶畑や果樹園に囲まれています。農薬や肥料は(たい肥も)使用しない自然栽培、不耕起栽培で、「混生密生」という農法は、あらかじめ多種類の作物の種を混ぜてから播いていくのだそうです。

その成果が、目の前にありました。
 農園の中に入っても、最初は草ぼうぼうの野原(失礼!)にしか見えていなかったのですが、お話を伺いながら目を凝らすと、確かに小松菜、春菊、ネギ、だいこん、かぶ、ラディッシュ、絹さや等の作物が栽培されていることが分かります。
 ハコベやアザミなどの雑草(下草)に埋もれるように、あるいは共生するように育っています。

今まで見たことがない、畑の姿でした。有機農業や自然農法を実践されている方の畑も、作物はまとまって栽培されているのが一般的です。私自身、市民農園の先輩や体験農園の農家の方から教わっている農法とも、全く違っています。
 正直、カルチャー・ショックでした(アグリカルチャー・ショック?)。

ちなみにスタッフのKさんは地元で料理人をされているそうで、この農園と出会うまでは農業の経験はなかったとのこと。この日はKさんの子どもさんも参加されていました。

Kさんに教えてもらって作業をお手伝いすることに。
 この日は、定期契約している消費者の方に送るための野菜を収穫し、選別して箱詰めまでするのだそうです。

密生している畝を広げてみると、様々な作物が絡み合うように育っています。日照や通気のために間引きして下さいと言われたので、大きくて丈夫そうなものを残して周りの小さなものを抜いていると(これが一般的な「間引き」だと思うのですが)、小林代表から声がかかり、「小さすぎるものは抜かないように」とのこと。
 ここでの「間引き」とは、出荷できる大きさに育ったものから抜いていく(収穫)していくことを指しているようです。またもアグリカルチャー・ショック!

6cmほどもある大きな芋虫(何の幼虫だろう)。
 ショウガを植えるために土を掘ると、ほくほくと柔らかく、大きなミミズも出てきました。蝶も舞うなど目にも見える豊かな生物多様性ですが、実は目に見えない、土中の微生物の生態系も豊かのようです。

参加者が思い思いに農園のあちらこちらで収穫(間引き)してきた作物は、定期契約者用に選別して包装し、10個ほどの段ボール箱に詰めていきます。
 ここで驚いたのは、子どもたち。
 単に見学や遊びに来ていた訳ではなく(楽しそうに遊んでもいましたが)、収穫や包装の作業も積極的かつ主体的に(当たり前のように)手伝っていたのです。新聞紙での包み方なども、慣れた手つきです。

13時頃になって一段落して、ランチの時間に。
 朝ラーを済ませていた私は特に持参していなかったのですが、参加者の方が持ち寄って下さった手作りのパンや野菜の煮込み等をお相伴させて頂きました。お隣のお茶農家の方は、お茶っ葉の天ぷらを差し入れて下さいました。
 抜いてきたばかりの小カブも洗って食べさせて頂きました。何とも甘く、美味です。

参加者の皆さんの笑顔と会話も、何とも印象的です。
 小学生の男の子は小林代表を相手に、しきりに「文明論」(?)を語っていました。しっかりとした考え方で、小林代表からは作家か研究者になればいいよ、と勧められていました。
 ゆったりと、穏やかな、充実した時間が過ぎていきます。

途中、作業の手を動かしながら(指導して頂きながら)、小林代表とも色々とお話しすることができました。
 「かすかべ農園は、生態系の回復・環境の再生を目指す実験ほ場であると同時に、オープン活動日を設けるなどしてコモンズ的な場にもしていきたい。人やコミュニティの再生の可能性も秘めている。実際、ここに来た人は、みんな元気になって帰っていく」等と語っておられました。
 2023年の「農あるまちづくり講座 in 世田谷」の講師を務められていたことも知りました。私も受講者でしたが、生憎この回は所用があって参加できなかったのでした。

 最後には厚かましくも、サインまで頂きました。「リジェラティブな未来へご一緒に!」に書き添えて下さっています。大切にします。
 ちなみに編集者の廣畑達也さん(英治出版)のサインは、本を求めた際に頂いています(この本に事例として取り上げられた方を、できるだけ訪ねられればと思っています。いくつサインを集められるかな)。

「リジェラティブ」という新奇なカタカナ流行語には何となく胡散臭さを禁じえなかった自分ですが、実際に現地で活動されている様子を見学し、作業に参加させて頂き、小林代表やスタッフ、参加者の皆さんのお話を伺ったことによって、自らの理解の浅さと狭小さを思い知った次第です。
 皆さま、有難うございました。

雲が多くなってきて雨は落ちてきそうです。15時を回り、後片付けは手伝わずに失礼させて頂きました。

自転車で春日部駅に向かう途中、内牧公園に立ち寄り。縄文時代の遺跡があるそうで、建物が復元されていました。
 15時前に「ぷらっとかすかべ」に自転車を返却。春日部やきそばという名物があるそうで、近くのお店に行くと夕方まで休憩時間。駅近くのもう1軒は営業中も、やきそばはランチのみということで(残念)カツカレーを注文。カツは揚げたてサクサク、カレーは昔風の懐かしいものでした。水分補給のためやむなくビールも。

 ちなみに右の写真は、春日部市のゆるキャラ「とろ★りん」せんべい。頭からやきそばをかぶっているというシュールさです。

(付記)
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 第10回 食と農の未来フォーラム「全村避難から16年目の飯舘村~原発事故からの『復興』のリアル」(仮題)の開催について
 5月28日(木)19:00~21:00、オンライン
 ゲスト 行友弥さん(元 毎日新聞記者、飯舘村地域おこし協力隊)
 詳細は以下から。多くの方の申し込みをお待ちしています。
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