【メルマガ】F.M.Letter No.340-pray for peace.

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.340◇
  2026年5月1日(金)[和暦 弥生十五日]
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◆ F.M.豆知識  なぜ農業問題は都市住民(消費者)の問題なのか
  (3)衰退する日本の農業
◆ O.カレント  SDGs ウェディングケーキ
◆ ほんのさわり 平賀 緑『お金儲けしない経済学』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 2026年のGW、東京地方は生憎と天候不順が続いています。もっとも私は関係ありませんが。
 本メルマガは時の流れを体感して頂くため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)にコツコツと配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータ等をコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/

-なぜ農業問題は都市住民(消費者)の問題なのか-
 (3)衰退する日本の農業

【ポイント】
 食料安全保障の基本である肝心の国内の食料生産基盤は、急速かつ大きく脆弱化しています。

「令和の百姓一揆2026」に際して個人で作成したチラシ「なぜ農業問題は都市住民(消費者)の問題なのか」の内容を紹介する3回目です(全体は以下)。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/03/260329__ikki.pdf

 日本の食料自給率が低下したのは私たち消費者の食の選択の結果であり、最初に飢えるのは都市住民かも知れないと言われているなか、私たちの食料生産を担っている肝心の基盤は、どのような状況になっているでしょうか。
 リンク先は「衰退する日本の農業」を示すグラフです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/05/340_ikki3.pdf

左は、農業生産を担っている基幹的農業従事者(仕事が主で、かつ農業が主の者)の数の推移です。1960年には1175万人いた基幹的農業従事者は、2025年には102万人へと、実に91%も減少しているのです。この間、統計には定義の変更等もあって厳密に比較はできませんが、いずれにしても1割ほどにまで大きく減少しているのが現実です。
 一方、右は、担い手と同様に食料生産の重要な基盤である農地面積の推移を示したもので、1960年の607万haから2025年には424万haと、担い手数ほどではありませんが約30%と同様に大きく減少しています。

もともと食料自給率が他の先進国に比べて極めて低い水準にあることに加え、戦争等により国際情勢が緊迫する中、食料安全保障の確保が喫緊の課題となっています。しかし、食料安全保障の基本である肝心の国内の食料生産基盤は、かつてないほどぜい弱化しているのです。
 さらには、担い手や農地の減少は、食料生産だけではなく、地域の社会、自然や環境にも深刻な影響を及ぼしていることにも留意する必要があります。

[データの出典]
 農林水産省「農林業センサス」「作物統計」から作成。    
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/index.html
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/menseki/index.html

◆ オーシャン・カレント
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/

-SDGs ウェディングケーキ-

【ポイント】
 この概念図は、自然環境と社会、経済は、一方的に支える、支えられるという関係ではなく、相互間の健全な関係を維持することの大切さも示しています。

SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された国際目標で、17のゴールと169のターゲットから構成されています。これらを「生物圏」「社会圏」「経済圏」の3階層に分類し、ウェディングケーキのように組み立てた概念図が、リンク先の「SDGsウェディングケーキモデル」です。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/05/340_weddingcake.png

本図は、「経済」は「社会」に、「社会」は「生物(自然環境)」に支えられて成り立っていることを分かりやすく表しています。これまでのように自然環境を消費(搾取)し続けていては人類は存在できなくなり、持続可能な経済社会への変革が必要であることが視覚的に明らかにされているのです。
 しかし、自然環境と社会、経済は、一方的に支える、支えられるという関係ではないというのが私の個人的な解釈です。例えば農業(特に有機農業)は、その営みによって生態系を含む自然環境を維持・保全する役割を担っています。言い換えれば、農業の担い手がいなくなってしまえば地域における良好な自然や環境も保全できなくなるのです。
 このモデルは、三層のケーキ相互間の健全な関係を維持することの大切さも示していると考えます。

[参考]
 環境省「令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」(図1-1-8)
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r06/html/hj24010101.html

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/

-平賀 緑『お金儲けしない経済学-食べものから考える<共(コモン)>の仕組み』(2026.4、岩波ジュニア新書)-
https://www.iwanami.co.jp/book/b10160906.html

【ポイント】
 主流派経済学が無視してきた多種多様の非営利の活動に着目し、「身の回りから、小さく、分散して、自主的に動き始める」ことの重要さが強調されています。

著者は広島出身の京都橘大学准教授。著者による岩波ジュニア新書は、食の観点から資本主義経済の成り立ちやカラクリについて解説した『食べものから学ぶ世界史』『食べものから学ぶ現代社会』に続く3冊目で、本書では経済学そのものの限界と可能性について考察されています。

著者によると、経済は氷山に例えられるとのこと(ウェディングケーキモデルとも似た部分があります)。「主流派」経済学が対象としてきた商品市場や賃労働、営利企業等の領域は、実は海面上に浮かんでいるほんの一部分にすぎず、水面下には経済学が無視してきた多種多様な経済が「大きくどっしりと」存在していて、氷山全体を支えているというのです。多種多様な経済とは、例えば主に女性が担っている無償の家事労働、子育てや高齢者のケア、図書館、家庭菜園、協同組合等で、営利追及(お金儲け)を目的としないものです。
 労働者協同組合や社会的連帯経済といった最近の新たな可能性についても解説されており、また、ポランニーから宇沢弘文まで関連する膨大な既存の文献についても分かりやすく紹介されています。
 また、食べものは身近だからこそ様々な<共(コモン)>の仕組みを考えるきっかけになるとしており、「コモンズとしての食」と題する章もあります。

本書における結論も、前2著と同様、経済や食料システムという大きな問題の解決のためには「私たち小さな人たちが、身の回りから、小さく、分散して、自主的に動き始める」ことが原則であることは変わらなかったとのこと。
 
 近代経済学を(少しでも批判的に)学んだことのある者にとっては、本書で紹介されている理論や考え方は必ずしも耳新しいものばかりではありません。
 しかし、著者の国内外における市民活動等の体験と実践に裏付けられ、時には映画等も参照しながらの解説(「みどり節」)は分かりやすく、政治が「強い経済成長」を強引に推し進めようとしている現在こそ、多くの方に読んで頂きたい本です。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届けします。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 「『復興』という名の現代の赤紙」(門馬好春さんの無念)[4/21]
https://food-mileage.jp/2026/04/21/blog-636/

〇「Present Tree くまもと山都」2026植樹ツアー[4/24]
https://food-mileage.jp/2026/04/24/blog-637/

▼ 第10回 食と農の未来フォーラムの開催について
 以下の通り計画しています。詳細が決まり次第SNS等でご案内しますので、多くの方の参加をお待ちしています。
 日時等:2026年5月28日(木)19:00~21:00、オンライン
 内 容:「全村避難から16年目の飯舘村」(仮題)
 ゲスト:行友 弥(ゆきとも・わたる)さん
   (元 毎日新聞記者、飯舘村地域おこし協力隊員、農政ジャーナリストの会会長)

(5/11 追記)詳細はこちら。
https://food-mileage.jp/2026/05/05/260528_10/

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 参加等を希望される際には、事前に主催者にお問い合せ下さい。

〇 『ラディカル・ラブ~サティシュ・クマール巡礼の旅』上映会&トーク
 日時:5月1日(金)~2日(土)午前及び午後
 場所:路地裏ガレージマーケット(さいたま市中央区鈴谷7)
 主催:路地裏シネマプロジェクト
 (詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/822682617544617/

〇 本木上堰 春の浚い/森林再生ボランティア
日時:5月4日(月)~5日(火)
場所:福島・喜多方市山都
 主催:本木・早稲谷 堰と里山を守る会
 (詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/2012616232944064/

〇 農あるまちづくり講座のフォローアップ講座
日時:5月12日(火)18:30~19:30
内容:「東京都における都市農業振興の取組」
講師:東京都 労働産業局農林水産部 農地保全担当
場所:ワーカーズコープ連合会(東京・池袋)及びオンライン
 主催:農あるまちづくり講座
 (参加ご希望の方は本メルマガに返信して下さい。)
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* 米令寺忽々のコツコツ小咄
「世界での戦争に、日本はどう対応していくんだろう」
「最近、あちこちから機織りの音が聞こえるような。空耳だといいんだけと」
「えっ、どんな音?」
「かたん(加担)、かたん(加担)」

 コツコツ小咄は個人のフェイスブックで週3日お披露目中。月ごとの「まとめ」は以下に掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.341は5月17日(日)[和暦 卯月朔日]に配信予定です。
 正確でより役に立つ情報発信に努めてまいりますので、読者の皆さまのご意見・ご批判、ご要望等をお聞かせ頂ければ幸いです(このメールに返信頂ければ筆者に届きます)。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつも有難うございます。
https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F.M.Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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