冒頭から私事で恐縮です。
長く「食と農」に関する業務に携わりながら、自らは農業生産者ではない(本当の農業や生産者の気持ちが分からない)ことについて常に後ろめたさがあり、言い訳のように自宅近くの市民農園の一画を借りて「土に触れる」ようになって10年以上になります。
農業のことは依然として全く分かっていませんが、作物を作ることの大変さと喜び、土と触れることの楽しさは、少しは分かるようになってきたと思います。
ところが昨年春、4年ごとの(そう競争率は高くない)市民農園の抽選に外れて淋しい思いをしてプランタで野菜作りを始めたところ、11月になって引っ越しか何かで空いた区画があるのでどうですかと、市から連絡を頂いきました。
早速申し込み、ホームセンター等でまだわずかに販売されていたキャベツやプロッコリの苗を植え、まだ間に合いそうなダイコンやカブの種を播いたのですが、以前の区画とは異なって住宅際の日当たりのよくない場所だったこともあって、冬の間は芽は出てもほとんど生長しませんでした。
これは収穫皆無かと覚悟していたところ、今年の春になってぐんぐんと伸び始め、キャベツや大根も食べきれないほど収穫できました。有難いことです。のらぼう菜などは収穫が追い付かず、一時は一面の菜の花畑に(お鍋でも頂きました)。
現在は枝豆と落花生などが順調に育っており(まるでビールのおつまみ畑)、コットンやゴマも撒いてみました。楽しみです。

一方、今年から体験農園も利用させて頂くことになりました。
体験農園とは、農園オーナーの方の農業経営を手伝うという形式で入園料をお支払いして農作業を行い、収穫物も頂けます。種苗や道具は全てオーナーの方が準備して下さり、技術指導もして頂けます。
いわゆる慣行農法で、化学肥料や農薬も普通に(控えめに)使用しているのですが、何と、できるできる、早くも葉物野菜など食べ切れなくなっています。今まで10年以上、市民農園で続けてきた自己流の野菜作りとは大違いです。
プロの農家の方の技術には、当然ながら、改めて完全に脱帽です。

このように都市部の農地を利用させて頂いている私にとって、非常に興味深い講座が開催されました。
2026年5月12日(火)18時30分から開催された「農あるまちづくり講座」フォローアップ講座です。オンラインでも同時配信されますが、せっかくなので会場参加するために東京・池袋まで出かけました。

「農あるまちづくり講座」とは、様々なかたちで農に参画する消費者(「生産消費者」)を増やすことで持続可能で循環型のまちづくりを進めていこうという取組みで、蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)の肝いりにより、これまで6か所で開催しています。私は世田谷区、所沢市での講座に参加させて頂きました。
そして現在、2か月に1回のペースで、その受講者を対象としたフォローアップ講座が開催されています(まちづくり講座の受講者でなくても参加可能)。
この日の会場は、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会の会議室。ちなみにワーカーズコープとは、誰もが安心して働き暮らせる地域づくりを目指す非営利の協同組合のことで日本でも40年近い歴史があり、2022年には労働者協同組合法も施行されています。
ところが近くまで来てから道に迷い(何度も来ているのですが)、会場に到着した時は定刻を1分ほど過ぎて、蔦谷先生の挨拶が始まっていました(すみません)。
この日のテーマは「東京都における都市農業振興の取組」。
東京都・労働産業局農林水産部の農地保全担当の方を講師にお招きしています。会場参加者は10名ほど、オンラインでは20名ほどの方が参加しているようです。
事前にも送って下さっていた資料は簡潔かつ充実した内容で、お2人の担当の方が分かりやすく説明して下さいました(うお1人は職場からのリモート参加)。

説明は「生産緑地の2022年問題」から始まりました。
税制優遇が受けられる生産緑地の指定から30年が経過した2022年、農地が一斉に宅地化される懸念があったものの、東京都では約94%が新たに創設された特定生産緑地に移行したそうです。
また、近年、都市農地の貸借の促進に関する一連の法整備が行われたこともあり、都市農地をめぐる状況は新たな段階に入っているとのこと。都民の生活に貢献する持続可能な東京農業を目指して2023年に策定された「東京農業振興プラン」の内容についても説明して下さいました。
東京都が行っている都市農地保全に係る事業についても、具体的に詳しく説明して下さいました。
その一つ、わくわく都民農園小金井は、高齢者活躍に向けたセミナー農園、小学生を対象とした子ども農園、農福連携のための福祉農園、商店街等と連携した多世代・異文化交流のための地域農園等から構成されており、直売所やカフェも併設されているとのこと。
農園を紹介する動画も紹介して下さいました。利用者の方たちの(大人も子どもも)笑顔が印象的です。武蔵小金井駅から至近とのこと、一度、訪ねてみようと思います。

他にも生産緑地を活用した体験農園等普及事業(運営費も助成対象とのこと)、体験農園修了者等の人材活用事業(運営者とのマッチング等)、先進技術を活用したインキュベーション農園事業等の内容も紹介して下さいました。
企業等による新たな農的活動を支援するため、屋上や空き地(非農地)を活用したポケットパークの創出等の取組みにも助成する事業も始められているそうです。

私自身は30年近く前、市民農園に係る法整備等に携わった経験もあるものの、都市農業・農地に係る制度が充実してきていることには、正直、隔世の感を禁じえませんでした。防災面も含む都市農業・農地の役割に対する期待が高まっている一方で、なお、税制面を中心に多くの課題が残されています。
私の地元・東村山市でも、現在もどんどん農地や平地林が宅地化されています。人口減少が予想されているにもかかわらず、東京圏への一極集中の是正が叫ばれているにもかかわらず。
そのようななか、都市農業の先進地である東京都において、様々なユニークかつ先進的な取組みが行われていることを知ることができ、大変有意義な講座でした。
もっともこの日の参加者の方のお一人(元 埼玉県職員)は、「財源が豊富な東京都だからできるんだよな。うらやましい」とつぶやかれていましたが。
終了後は、会場参加者の有志(?)で懇親会。
東京都の方にはまだ色々と伺いたいことがあったのですが、仕事があるとのことで職場に戻られました。お疲れさま、有難うございました。
東京都の農業は、日本農業の先端を切って走っているとも言えます。都市農業には、都市の消費者等の、地方の農業・農村に対する理解の醸成に貢献するという大きな役割もあります。
私自身も引き続き東京都の農業・農地にお世話になりつつ、さらに都市農業・農地に係る施策の充実と、都市の消費者の農業・農村に対する関心が高まっていくことを期待したいと思います。
(追記:本ブログについてご感想、ご意見などお寄せ頂ければ幸いです。)
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(ご案内)
第10回 食と農の未来フォーラム「全村避難から16年目の飯舘村~原発事故からの『復興』のリアル」(仮題)の開催について
5月28日(木)19:00~21:00、オンライン
ゲスト 行友弥さん(元 毎日新聞記者、飯舘村地域おこし協力隊)
詳細は以下から。多くの方の申し込みをお待ちしています。
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(参考)
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