いよいよ日差しが強くなってきました。もっともまだ湿度は高くないため日陰に入ると風が気持ちいいのですが、この快適さはいつまで続くでしょうか。
2026年5月16日(土)の夕方は、「奄美大島・嘉徳浜」のTシャツを着て、体験農園で収穫した野菜を背負って、東京・杉並区善福寺の「蔵書室ふもと」へ。知合いの編集者の方がアパートの一室を借りてオープンされている「居場所」です。
この日は月1回開催されている食事会。近所の方々がゆるゆると集まり、たこ焼きなどを楽しみました。子どもたちも多数参加。調理を手伝ってくれたり、自作の「怖い話」を朗読してくれたり。
読書会など様々なイベントも開催しているそうで、また伺いたいと思っています。

翌17日(日)の午前中は東京・東上野へ。路地を歩いていると、突然、樹々に包まれた不思議な建物が出現。ここが書店、カフェ、植物店等が併設されたRoute Galleryです。
この日、この貸し画廊を会場に開催されたのは、第224回 霞ヶ関ばたけ「「正しい」より「ちょうどいい」〜たかはしかよこさんと考える、自分の食の見つけ方」。
たかはしさんによる体験型展示「考える食堂」とのコラボ企画です。

9時30分、主催者の方による「霞ヶ関ばたけ」の紹介からスタート。対話を通じて食や農林水産業の未来を共に創っていきたいと説明されました。
続いて20名ほどの参加者一人ひとりから自己紹介。私からは、この日も着ていた「奄美大島・嘉徳浜」の紹介も。
続いて、たかはしさんがマイクを取られました(以下、文責はすべて中田にあります)。
まず、「これまで霞ヶ関ばたけを通して、食や農、社会との接点について、栄養学だけでは見えにくい視点をいただいてきた」とのお礼の言葉。
たかはしさんは、女子栄養大学大学院の栄養学に関するコースを修了後、デジタルハリウッド大学大学院を修了された栄養士・調理師。楽天株式会社で社員食堂ディレクターを経験された後、2016年から大人向けの食育ワークショップ「おとな食堂」(現「考える食堂」)を開催されているそうです。

「食べることは自分が主人公。人に決めてもらうものではない。『正しい食』ではなく『ちょうどいい食』が重要と訴える活動をしている」
「大学院で書いた修士論文は大部なこともあってなかなか読んでもらえず、これでは自分が学んだことが社会に出ていかない。ワークショップも開催しているが、参加者は多くても数10人で、しかも比較的意識の高い人が多く、届く範囲は狭い。もっと多くの人に、気楽に好きな時間に参加して頂けるようにと思い、今回初めて、展示による発信を試みている」
会場に展示されているパネルを示しながら、説明して下さいました。
「目に見えない栄養を『見える化』することで、自分のものさしにしてもらいたい。胃の容量が決まっている中で何で満たすか。食材を4つの役割に分けて、量や回数をプロットしてチャートにすることで、毎日の食生活を振り返す目安になる」
実際にカードを配って下さり、各自、それぞれチャートを作ってみました。
緻密な計算は不要で、良い・悪いと評価することが目的ではなく、現在の自分の食の形を眺めることが、自分にとって「ちょうどいい」食について考えるためのヒントとなるそうです。

「FODMAPとは小腸で吸収されにくい発酵性の糖質のことで、人によって体に合わない食材があることが明らかになっている。自分もタマネギが苦手。好き嫌いを否定することは、倫理や人権にも関連する問題」
「『ちょうどいい食』のためには、個人の努力だけではなく環境も大切。ある学食で野菜料理を1品フリーで提供するようにしたところ、雰囲気が変わった。
いい食事は見ただけで分かる。あなたの身体を大切に考えている、安心して過ごしていい等のメッセージが込められている。食事とは人と場をつなぐメディアかも知れない」
お話の後は小グループに分かれて、感想のシェアや意見交換。
出された意見等を受けての全員での話し合いでは、味噌汁の大切さ、水分と湿度の大切さ等が話題となりました。
最後にたかはしさんから、「今日は対話の中で私も多くの気づきを頂き、感謝。食べることは人に言われることではなく、自分のこと。自分で選んで考えて、これからも食事を楽しんで下さい」との言葉がありました。
最後に恒例の高田有菜さんによるグラフィックレコーディングが披露されました。分かりやすいまとめ、優しいイラスト等に、たかはしさんも笑顔がこぼれます。
記念撮影をして「第224回 霞ヶ関ばたけ」は終了。次回は6月中の開催に向けて準備中とのことです。

終了後の会場でも、たかはしさんは皆さんの質問に丁寧に答えられていました。
私から、この日は話題に出なかった食事バランスガイドについてお聞きしたところ、「上にあるものほど重要に見えやすい一方で、主食は多くの人が比較的すでに摂れているため、それで“バランスが取れている”ように受け取られる懸念がある。野菜やたんぱく質源など、実際には見直しが必要な部分に関心が向きにくい面があるのでは」等の回答。「米の消費は大きく減少しているのですが」と応じたのですが。
さらに、「栄養も大切だが、その食材の生産者や産地に思いを馳せることも『ちょうどいい食』につながるのではないか」と質問したところ、たかはしさんからは「生産者や産地に思いを馳せることは大切だが、いきなり多くの人に『生産者や産地を意識しましょう』と伝えても『自分ごと』になりにくい場合があると感じている。そこでまず、『自分は何をどのくらい食べているのか』に関心を持ってもらう入り口として、栄養学の眼差しを使っている」等のお答でした。
日ごろ「伝えること」の難しさと限界を感じている自分自身にとって、展示というツールの有効性も含めて、多くの貴重な学びを頂くことができました。
たかはしさん、主催者・スタッフの皆様、有難うございました。

考える食堂 企画展「食の情報があふれる時代 見える栄養学を『自分のものさし』に。」は、5月19日(火)までRoute Galleryで開催中です。
残りわずかですが、多くの人に訪ねて頂きたい展示です。
(追記:本ブログについてご感想、ご意見などお寄せ頂ければ幸いです。)
https://food-mileage.jp/contact/
(ご案内)
第10回 食と農の未来フォーラム「全村避難から16年目の飯舘村~原発事故からの『復興』のリアル」(仮題)の開催について
5月28日(木)19:00~21:00、オンライン
ゲスト 行友弥さん(元 毎日新聞記者、飯舘村地域おこし協力隊)
詳細は以下から。多くの方の申し込みをお待ちしています。
https://food-mileage.jp/2026/05/05/260528_10/
(参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
https://www.mag2.com/m/0001579997
フェイスブック「フード・マイレージ資料室(分室)」
https://www.facebook.com/foodmileage
