2026年5月25日(月)は、東京・竹芝へ。
少し早めに着いたので、シアター通り近くでかき揚げ蕎麦(最近、立ち食い的なお蕎麦屋さんに凝っています)。
この日18時30分からダイアローグ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」で開催されたのは、「トモに能登の未来へ!知る支援をする報告会」と題するイベント。
ゲストのツンさん(ツノダヒロカズさん)には、先日(5月2日)の埼玉・与野での映画上映会の際に初めてお目に掛かりました。
上映後の質疑応答の際に指名されて立ち上がり、突然ちょんまげのかつらを被ったのには度肝を抜かれました。しかし、その後食事をご一緒し、帰りは駅まで送って頂いた際にもお話を伺って、活動されている内容について詳しく知りたいと思っていたのです。

会場の「対話の森」はダイバーシティを体感するミュージアムとのこと。暗闇のエキスパート・視覚障害者を案内人とする「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」等を開催しているそうです。
この日は能登関連のパネル展示が行われていました。
定刻18時30分に開会。会場には約50人の参加者。車椅子の方もいらっしゃいます。進行の方は手話を交えながら進めていかれます。

イベントの前半は復興支援ドキュメンタリ『MARCH』(2016年)の上映。
東京電力・福島第一原発の事故でいったん離ればなれになった福島・南相馬市原町第一小学校のマーチングバンドのメンバー達。避難先で練習を再開し、やがてOBも含めて「Seeds+」として2012年には全国大会に出場。
Jリーグの愛媛FCに招かれてピッチで演奏する場面では、スタンドからは大きな「南相馬!」の声援。胸が熱くなります。「Seeds+」は現在も熊本や能登の被災地でのコンサートを継続されているとのこと。
なお、この映画のプロデューサーはツンでさんです。製作にはJリーグ関係者との個人的な人脈も生かされているようです。
中村和彦監督も会場に来られていました。
これまで障害のある方を主人公にしたドキュメンタリ等を撮って来られた方だそうです。
休憩時間に名刺交換させて頂き、感動的な映画にお礼を申し上げつつ、「映画には富岡や浪江駅前の惨状、各地に積み上がる除染廃棄物の黒い袋なども描かれているが、現在の浜通りの姿はかなり変わっている。この映像を観た人に誤解を与える恐れがあるのでは」、と僭越ながら感想を述べさせて頂きました。
映画の中で描かれていたロボットや植物工場も「復興」の象徴とはちょっと違うのでは、等とも述べさせて頂きました。いずれにしても、機会があれば多くの方に観て頂きたい映画です。
なお、配布された「Seeds+」のチラシには原発事故被災地の現状についても詳しく説明されています。

イベントの後半は、ちょんまげ隊長・ツンさんによる報告会です。
世界を回っておられる時と同じ、手作り(?)のちょんまげ・甲冑姿です。(以下の文責は中田にあります)。
冒頭、これから話すことに騙されないように、との言葉から始まりました。これから話すことはあくまで自分の主観に過ぎず、ボランティアには絶対的に「これが正しい」というものは無いとのこと。
元々ボランティアは苦手だったというツンさん、東日本大震災の被災地の惨状を伝える報道を見ていたたまれず、「一度くらいの偽善もいいかな」と靴を届けたのが最初だったそうです(ツンさんの実家は靴屋)。
ところが現地でニーズ(例えば子どもの遊び相手)と支援との間にミスマッチがあることを体感し、自分にできるボランティアに継続的に取り組むようになったそうです。
震災も障害も他人事ではない、「支援の最大の敵は無関心」とも。
また、一番ハードルの低いボランティアは「ゴミ拾い」とのこと。
2022年のFIFAワールドカップ(WC)カタール大会で最初にスタジアムのゴミ拾いをしたのも、ツンさんと被災地の子どもたちで、世界的にも大きく注目されました。
ところが称賛の声と同時に、「目立とうとしてやっている」「売名行為」等の批判も寄せられたとのこと。ボランティアを続けていると同じような批判は常にあるそうです。
ツンさんによると「断続は力なり」。心が折れそうになったら休めばいいと、話されました。

奥能登には、これまで支援で36回通っておられるそうです。
ご自身が撮影された写真や短い動画も見せて下さいました。一面がれきが広がっている街の姿は、震災直後ではなく、8か月後の輪島の様子とのこと。
ツンさんによると、こんなに復興が遅い被災地はないとのこと。2025年3月まで避難所の段ボールで生活していた人もおり、今も仮設住まいの人も多いそうです。地形的な不利もあって過疎化が進み、行政職員も手一杯で人が足りないそうです。
災害関連死も多く、対話やコミュニケーションの大切さも訴えられました。サッカー教室、落語会、コンサートなど様々な活動を行っているそうです。一緒にお茶を飲みながら話を聞いてあげることは誰でもできるが、それも立派なボランティアとも。
「伝える支援」「知る支援」という印象的な言葉もありました。
愛媛・宇和島ではツンさんの講演を聞いた中学生たちが、何日も街頭に立って募金活動をしてくれたそうです。そのことを能登の子どもたちに伝えることで、「自分たちに関心を持って行動してくれている人がいる」ことを分かってもらうとのこと。
被災地の子ども達を五輪やWCに連れていく活動もされているそうです。これにも贅沢、不公平という「お叱りの声」を頂くそうですが、ツンさんは自分ができる拝位のことを続けていきたいと思っているそうです。
現地ではサッカーの試合を観戦するだけではなく、現地の方々に被災の体験を話すなど交流もしてもらう。これらを体験することが子どもたちには大きな力になる。能登に帰ったら、行かなかった子どもたちにも体験を話してもらう。そうすることで、自分たちにも色んなチャンスがあることが理解してもらえる、とのことです。
パリ五輪での子どもたちの様子を紹介したテレビ番組も見せてくれました。現地の方たちと交流する場面では、地震で祖母と母を亡くした女子中学生も初めて体験を語ります。
帰国後に開かれた報告会で、父親は、「こんなに多くの人たちが娘のことを思ってくれていることが分かった」と声を詰まらせます。

続いて、ダイアローグ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」についての紹介。
6月21日(日)まで「暗闇の列車で出かけよう。さあ、能登へ!」と題するイベントも開催しているそうです。輪島市名舟町に伝わる伝統文化「御陣乗太鼓」も紹介されるようです。
簡単な手話の体験もありました。教えてもらって、偶然、隣に座った方の眼を見ながら「こんにちわ」「ありがとう」を表す所作を交わしました。
この日は会場で『MARCH』を支援するTシャツ、ツンさん著書『ボランティアの教科書』等が販売されていました。いずれも代金は被災地への支援に充てられるとのこと。求めさせて頂いたご著書に、ツンさんは黒々と力強くサインをして下さいました。

ツンさんは現在、「珠洲市・輪島市・能登町の被災した中学生 ワールドカップ2026アメリカ大会招待プロジェクト」を進めています。
目的は、未だ復興の糸口が見えない奥能登の子どもたちに、「世界とのつながり」「多様性・異文化」を体感してもらい、「世界と日本(被災地)を結ぶアンバサダー」になってもらうこととのこと。
現在、応募者7名に対して5人分の資金の目処が立っているそうで、引き続き支援を求めておられるとのこと。私も些少ながら支援させて頂きました。

ちょんまげ隊・ツンさんの益々のご活躍、プロジェクトの発展を期待したいと思います。帰国した子どもたちの報告も楽しみです。
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