◇フード・マイレージ資料室 通信 No.343◇
2026年6月15日(月)[和暦 皐月朔日]
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◆ F.M.豆知識 加速する東京一極集中
◆ O.カレント 避難指示が解除された地域における人口の急増
◆ ほんのさわり 横山 勲『過疎ビジネス』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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和暦では皐月に入りました。稲の生長に欠かせない雨が降る五月雨月(さみだれつき、聖なる水が垂れる月)。今日の東京地方も雨模様です。
本メルマガは時の流れを体感して頂くため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)にコツコツと配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータ等をコツコツと紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
-加速する東京一極集中-
【ポイント】
先般公表された国勢調査では、東京一極集中が加速していることが明らかになりました。さらなる少子化につながる恐れもあります。

去る2026年5月29日(金)、総務省は2025年国勢調査の速報を公表しました。
リンク先のグラフは、都道府県別にみた人口増減率及び合計特殊出生率を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/06/343_jinko.pdf
棒グラフは、全国、人口500万人以上の都府県(大都市部)、それ以外の道府県の人口増減率を示したものです。
これによると、2015~20年にかけては大都市部の都府県においてはおおむね人口は増加したものの、2020~25年にかけては東京都以外は全て減少に転じています。さらに大都市部以外の道府県(地方圏)については、減少の度合いをさらに高めていることが分かります。東京都の人口増加率も低下しているものの、人口の東京都への一極集中が加速している状況が見て取れます。
一方、上部のグラフは、厚生労働省が6月3日(水)に公表した2025年の人口動態月報年計(概数)における合計特殊出生率(15~49歳の女性が一生の間に生む子どもの数)を示しています。
全国平均は1.14と過去最低を更新しましたが、グラフによると大都市部ほど低い傾向がみられ、特に東京都は0.96と47都道府県の中で唯一1を割り込んでいます。つまり、東京都への人口の一極集中が進むことは、さらなる少子化が進むことにつながる懸念があるのです。
かつて歴史人口学者の速水 融は、江戸時代の人口の動向を分析して「都市アリ地獄論」を提唱しましたが、その傾向はさらに先鋭化しているのかも知れません。
[データの出典]
資料:総務省「国政調査」、厚生労働省「人口動態統計」から作成
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2025/index.html
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai25/index.html
◆ オーシャン・カレント
食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
-避難指示が解除された市町村における人口の急増-
【ポイント】
東電・福島第一原発の事故により発出された避難指示が解除された市町村においては、移住者(転入者)を含めて人口が急増しています。

今般の2025年国勢調査の速報で公表された市町村別人口のデータについて、興味深い事実が明らかになりました。
2020~25年の人口増加率が10%を超えているのは6市町村ありますが、最も高いのは福島・大熊町の81.1%で、次いで同・富岡町35.8%、同・浪江町33.8%、同・楢葉町22.5%となっています。(なお、2020年に人口が0人であった双葉町は統計に含まれていません。)
2011年の東京電力・福島第一原子力発電所の事故により避難指示が出され、その後、徐々に解除された町が上位4位までを占めているのです。これらの地域では、避難していた住民の帰還に加えて他地域からの移住者(転入者)も増加することにより、人口減少が進む日本において、まれな人口急増地帯となっているのです。
復興事業の関係もあって移住者が多いのも特徴で、なかには移住者の方が多い町もあり、移住者によるユニークな起業の事例も多数あります。また、旧住民と移住者の融和が課題とされる一方、例えば両者が協働して伝統的な祭りを復活させる等の取組みを行っている地域もあるなど注目されます。
ちなみに同期間の人口減少率が最も高いのは石川・珠洲市の34.0%で、3位が同・輪島市の26.6%となっており、2024年に発生した地震と豪雨災害が人口にも大きな影響を与えていることが見て取れます。
(参考)総務省「令和7年国勢調査 結果の概要」表3-5
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2025/kekka/pdf/outline.pdf
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
-横山 勲『過疎ビジネス』(2025.7、集英社新書)-
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1273-a/
【ポイント】
小規模自治体を狙い公金を食いものにする「過疎ビジネス」と、機能不全に陥った「限界役場」の実態が生々しく描かれています。

「新聞労連ジャーナリズム大賞」を受賞するなど大きな話題となった本書ですが、ここで紹介することには躊躇がありました。というのは、本書で主に取り上げられているのは福島・国見町ですが、熱心に地域づくりに取り組んでいる方も存じ上げており、さらには町そのものに「風評被害」をもたらす恐れがあるのではないかとの懸念があったためです。
しかし、今回の国勢調査でもさらなる「過疎化」の進行が明らかとなるなか、「地方創生」の暗部を描く本書の意義は大きいものがあると思い、取り上げました。
本書は、青森県出身、宮城・仙台に本拠を置く河北新報社の記者が、2022年から約2年間にわたって河北新報朝刊に掲載した調査報道の記事がベースとなっています。
取材(メールや録音データのタレコミを含む)を通じて、企業版ふるさと納税(最大9割が税額控除)を財源に、コンサルを通じて関連会社が事業を受注するという「寄付金還流」「課税逃れ」の出来レースの全貌が、企業や個人の固有名詞とインタビュー内容等により生々しく明らかにされていく過程は、あたかもサスペンスドラマを見るかのようです。
国見町の事業を請け負ったのは、東日本大震災後に立ち上げられた宮城県の名の知れた防災ベンチャー企業。総務省の地域力創造アドバイザーにも登録されている新進気鋭の社長は「ほとんどの自治体はやる気がない」「俺らの方が勉強している」「地方議員は雑魚」等と放言します。
一方で、民間に丸投げしておいて、問題が発覚すると責任逃れにひた走る(首長を含む)「限界役場」のガバナンスの欠如も厳しく糾弾しています。
結局、この報道をきっかけにして社長は退任、町長は選挙に敗れます。
著者は、「過疎ビジネス」にはマスメディアの怠慢にも責任の一端があると認めつつ、「新聞記者は社会全体の奉仕者」「被災地ど真ん中にある河北新報の記者は、理屈抜きで被災した住民の見方であらねばならない」と決意を述べています。
ちなみに「河北」(かほく)という社名には、明治維新後、東北が「白川以北一山百文」と蔑視されたことへの反骨が込められているそうです。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届けします。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 ちょんまげ隊長のボランティア[6/1]
https://food-mileage.jp/2026/06/01/blog-645/
〇 日本農業新聞論説委員 学習会で話題提供させて頂きました。[6/2]
https://food-mileage.jp/2026/06/02/blog-646/
〇 行友 弥さん「全村避難から16年目の飯舘村」(第10回 食と農の未来フォーラム)[6/4]
https://food-mileage.jp/2026/06/04/blog-647/
〇 2026年の田植え 2題[6/8]
https://food-mileage.jp/2026/06/08/blog-648/
〇 第5回 きいてみるフォーラム(東京・笹塚)[6/8]
https://food-mileage.jp/2026/06/09/blog-649/
▼ 第11回 食と農の未来フォーラム「私たちの『食』の現在地~食の簡便化、フードテック、食料安全保障~」の開催について
日本の食と、その背景にある農について取材を続けている朝日新聞記者の大村美香さんをゲストにお迎えし、私たちの食の現在地について話題提供を頂き、意見交換したいと思います。多くの方の申し込みをお待ちしています。
(1)日時 :2026年6月30日(火)19時~21時
(2)開催方法等:オンライン(zoomを利用)、参加費1000円
以下からお申込み下さい(Peatixを利用されない方は連絡下さい)
https://peatix.com/event/5045303
(詳細(チラシ)はこちら)
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/06/260630_flyer.pdf
▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
参加等を希望される際には、事前に主催者にお問い合せ下さい。
〇 ロビー展示関連講演会
「3.11から15年 被災地の現状と課題 ふるさとを想う歌人の視点」
日時:6月17日(水)14:00~16:00
場所:調布市西部公民館(東京・調布市上石原3)
主催:調布市
(詳細、問合せ等↓)
https://www.city.chofu.lg.jp/100070/p060152.html
〇 食の安全保障と食品ロスを考える
講師:井出留美さん(食品ジャーナリスト)
日時:6月27日(土)10:00~12:30
場所:HIRAKU 01 IKEBUKURO(東京・豊島区上池袋2)
主催:(一社)ロングライフ・ラボ事務局
(詳細、問合せ等↓)
https://www.city.toshima.lg.jp/147/2604100825.html
〇 中山間地域フォーラム設立19 周年記念シンポジウム
「多様な関わりによる新しい農村づくり」
日時:6月27日(土)13:00~17:30
場所:全国町村会館(東京・千代田区永田町1)
主催:中山間地域フォーラム
(詳細、問合せ等↓)
https://www.chusankan-f.org/
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* 米令寺忽々のコツコツ小咄
「推古女帝って、活発で可愛らしい人だったらしいよ」
「そうなんですか」
「宮都(キュート)だけに」
コツコツ小咄は個人のフェイスブックで週3日お披露目中。月ごとの「まとめ」は以下に掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.344は6月29日(月)[和暦 皐月十五日]に配信予定です。
正確でより役に立つ情報発信に努めてまいりますので、読者の皆さまのご意見・ご批判、ご要望等をお聞かせ頂ければ幸いです(このメールに返信頂ければ筆者に届きます)。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつも有難うございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F.M.Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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