【ブログ】日なたの中の近藤 恵さん(ロータスシネマ vol.91)

自宅近くで今年から始めた体験農園は、プロ農家の方の指導のお陰で大豊作。食べきれないほどの野菜、周りの方にお裾分けもさせて頂いています。色々と有難いことです。

去る2026年7月4日(土)は、東京・八王子へ。
 これまであまり降りたことが駅南には、多くの寺院があります。子育地蔵尊のある興林寺の境内には鎌倉時代の板碑も。八王子千人同心の一人で医者でもあった並木以寧の墓も。

長光山本立寺山門脇には、ロータスシネマのポスター。
 NPO法人ロータスプロジェクトの主催によるお寺を会場にした映画上映会では、毎回、社会課題をテーマにした上質なドキュメンタリが取り上げられており、今回で91回目になるとのこと。私はこれまで新宿の上映会(常圓寺祖師堂)には何度か参加したことがあるのですが、八王子は初参加です。

 客殿2階の広間には椅子が並べられており、30名ほどの参加者で満席です。13時30分、主催者の中山るり子さんから開会挨拶。
 今回、上映するのは『陽なたのファーマーズ~フクシマと希望』(小原浩靖監督、2025年)。 終了後には、この映画の主人公でもある福島県二本松市の有機農業者・近藤 恵(こんどう・けい)さんのトークも予定されています。

上映が始まりました。
 ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)という新しい形の農業により、食べもの、電気、笑顔までも自給している二本松営農ソーラー(株)の取組みが描れています。
 東京電力・福島第一原発事故によりいったんは有機農業をあきらめざるを得なかった近藤さんの、新たな挑戦。新規就農者や研修生など、若い人たちに囲まれた近藤さんの笑顔が印象的です。
 なお、二本松営農ソーラーには2024年11月に訪問し、近藤さんのお話も現地で聞かせて頂いたことがあります。

画像は公式サイトの予告編より

上映終了後には、近藤さんが「ソーラーシェアリングという新しいインフラ」と題するスライドを用いて説明して下さいました(以下の文責は中田にあります)。

 「ソーラーシェアリングは世界的に注目されており、バチカン市国は全量を太陽光で賄おうとしている。しかし日本ではあくまで農地法上の特例という扱いで、規制も多い。
 しかしこれから農地の定義は大転換していく。農地は、食べものとエネルギーを総合的に生み出すインフラ(土台となる基盤)になっていくだろう」

 福島市の建設会社社長の「一般市民の目に見えないところで、コツコツとインフラを整備していることの大切さ」についての新聞投書も紹介して下さいました。

 また、「パネルを置くと作物の生育を阻害するとも言われるが、自分の経験では25~30%遮光することでむしろ生育は良くなる」とのこと。
 さらに、「農家は食べものを自給自足することに誇りにしてきたが、エネルギーは生み出せていなかった。今後、ソーラーシェアリングを水路のように張り巡らせていきたい」等と、短い時間ながら分かりやすく説明して下さいました。

会場の参加者との間で質疑応答。
 大分(!)から参加されたという女性は、九州電力は再生可能エネルギーで発電した電気の買取を一時的にストップする「出力制御」が行われている状況を紹介。
 近藤さんは「東北でも昨年、止められた。女川原発が再稼働したためと思われる。『のど元過ぎれば・・・』という言葉もあるように、原発事故から15年が経過して再生可能エネルギーへの注目度は下がっている。これまでの経済システムや人々の生活を変えるのは難しい。しかし、再生可能エネルギーの必要性や人々の心の中の期待は変わっていないと思う」等の回答。

 私からは、かねて再稼働どころか新増設まで進められようとする現状に絶望感さえ抱いていることを紹介しつつ、「このような状況の中で、なぜ近藤さんは前向きで明るくいられるのか」と、不躾な質問をさせて頂きました。
 近藤さんからは「確かに99%の人は現状を悲観的に感じているかもしれない。しかし、震災と原発事故の時の絶望感に比べると、今は仲間もいて、将来に向けてのストーリーも描かれている。建設会社社長の投書にもあったようにインフラは見えにくいかも知れないが、コツコツと事業と発信を継続し積み重ねていくことがみんなの希望になると信じている」等、と率直な回答を頂きました。

 目を覚まさせて頂けるような回答でした。震災も原発事故も経験していない自分が、今後、「絶望」などという言葉を安易に使うべきではないと、肝に銘じたいと思った次第です。
 近藤さん、主催者の皆様、貴重な機会を有難うございました。

(本ブログへのご感想、ご意見などお寄せ頂ければ幸いです。)
https://food-mileage.jp/contact/

(追記)
 第12回 食と農の未来フォーラムの開催について
 テーマ:「原発事故被災地の今~ふるさと・浪江町に寄せる歌人の想い」(仮題)
 ゲスト:三原由起子さん(歌人、福島・浪江町(なみえまち)出身)
 日時等:2026年7月22日(水)19時~21時
     オンライン(zoomを利用)、参加費1000円
 申込み先:https://peatix.com/event/5074739

(画像をクリックすると詳細が表示されます)

(参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
https://www.mag2.com/m/0001579997
フェイスブック「フード・マイレージ資料室(分室)
https://www.facebook.com/foodmileage