【ほんのさわり345】高坂 勝『人口減少ええじゃないか論』

-高坂 勝『人口減少ええじゃないか論』(2026.6、光文社新書)-
https://books.kobunsha.com/book/b10171278.html

【ポイント】
 人口減少により一人ひとりがいくつもの役割を持つ時代になり、生き様をDIYし、隣人たちとDIOを進めることで持続可能な未来の可能性があることが描かれています。

著者は1970年生まれ。30歳で脱サラ、東京・池袋での“退職者量産バー”店主を経て2014年に千葉・匝瑳(そうさ)市に移住し、現在は米自給、古民家活用、民泊等の「多業暮らし」を実践されている方。新聞連載やラジオ出演等も多数あります。
 (正確には「高」の字は「はしごだか」です。)

著者は人口減少そのものが問題なのではなく、未だ経済成長を前提とするシステム(呪縛)を引きずっていることが問題であるとします。そもそも世界的にみれば、日本の各都市の人口過密ぶりが異常であるとの指摘もあります。
 著者によると、人口減少ほど経済は縮小しないことから、今後、必要な仕事や役割が増え、人はいくつもの役割を担うことになるとのこと。
 このことは人口減少が著しい地方ほど顕著であり、困りごとと得意なことをマッチングすることを通じて、一人ひとりが地域の小さな課題とニーズにいくつも取り組むマルチワーカーになると予想しています。このことで、一人でいくつもの人生を味わえることになるとも。

また、食べるものは一部だけでも自分で作る「半農半X」が大切であるとし、「地産地消」とは、世界のどこかの誰かから奪う量を徐々に減らし自足する豊かさにシフトしていくことであるとしています。
 さらに、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の売電収益の一部を地域の課題解決に使う「匝瑳モデル」、みんなのうえん(大阪・住之江区)、月見台住宅(神奈川・横須賀市)等の、参考となる事例も多く紹介されています。

最後に著者は、「そろそろ、自分の人生、取り戻しませんか。生き様をDIY(それを、あなた自身でやる)し、さらにDIO(Do It Ourselves, 自ら動いて想いを共にする隣人たちと変えていく)することによって」と、私たちに訴えているのです。

前号で紹介した斎藤幸平氏が予測する悲観的・絶望的な未来像とは全く異なる、自らの手で選び取れることのできる明るい未来の可能性が、本書では描かれています。

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.345、2026年7月14日(火)[和暦 水無月朔日]
 https://food-mileage.jp/2026/08/12/letter-345/
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