◇フード・マイレージ資料室 通信 No.345◇
2026年7月14日(火)[和暦 水無月朔日]
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◆ F.M.豆知識 ますます人口が減少する過疎市町村
◆ O.カレント 「賢く縮む」(スマートシュリンク)について
◆ ほんのさわり 高坂 勝『人口減少ええじゃないか論』
◆ 情報ひろば 第12回 食と農の未来フォーラム(7/22)の案内
ブログ更新、イベント情報等
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今年も猛暑が戻ってきたようです。どうぞご自愛ください。今号のテーマは「人口減少」です。
本メルマガは時の流れを体感して頂くため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)にコツコツと配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータ等をコツコツと紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
-ますます人口が減少する過疎市町村-
【ポイント】
今回の国勢調査によると、人口密度が低い市町村ほど大きく人口が減少していることが明らかになりました。

日本の総人口は2010年の1億2,806万人をピークに減少局面に入っています。本年6月に公表された国勢調査によると、2025 年10月1日現在の人口は1億2,305万人と5年前に比べ2.5%減し、減少幅は拡大しています。
この減少率は地域によって大きな差があります。リンク先のグラフは、2020年から25年にかけての市町村ごとの人口減少率を、人口密度の階層別別に集計したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/07/345_jinko.pdf
これによると、人口密度が1平方km当たり1万人以上の市町村(大都市部)については人口は0.79%増加していますが、1万人未満の市町村においてはいずれも人口は減少しており、特に人口密度30~50人の市町村では△10.4%、30人未満の市町村では△10.7%と大きく減少しています。
国全体として人口が減少するなか、大都市部では増加している一方で人口密度の低い町村では特に大きく減少しており、ますます過疎が進行している状況が伺えます。このため、過疎が進む小規模市町村を中心に、行政需要をスリム化するための「賢く縮む」(スマートシュリンク)政策についての議論が盛んになっています。
[データの出典]
総務省「2025年国勢調査」から作成
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2025/kekka.html
◆ オーシャン・カレント
食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
-「賢く縮む」(スマートシュリンク)について-
【ポイント】
「縮小」そのものを目的とするのではなく、人口が減少するなかでいかに豊かな地域社会を構築していくかという観点が必要です。

小規模市町村を中心に人口が減少するなか、これに対応して行政サービスをスリム化しつつ住民のウェルビーイングを維持・確保するための「賢く縮む」(スマートシュリンク)という政策が注目されています。
2026年6月27日(土)に開催された中山間地域フォーラムのシンポジウムでも、「賢く縮む」がテーマに取り上げられました。
「賢く縮む」政策の先進事例とされる岡山・美咲町の青野高陽(たかはる)町長からは、中学生以上の全町民を対象としてアンケート調査を実施するなど、住民主体の地域づくり(小規模多機能自治)を理念として公共施設機能を縮小・集約してきた取組みについて紹介がありました。
また、九州大学大学院法学研究院の嶋田暁文先生は、人口が減少するなかで「あきらめに向かう」のでも「夢物語に逃げる」のでもなく、地域の魅力を再認識し、既に持っているもの(人情、絆等)を重視することが必要と強調されました。
さらに、「賢く縮む」(スマート・シュリンク)という言葉が、安易な撤退や切り捨てといった乱暴な議論に引用され、地域の尊厳の空洞化に繋がることは問題であるとし、あくまで「縮小」は未来を選び直すための手段と捉えるべきと訴えられました。
「縮小」そのものを目的とするのではなく、人口が減少するなかでいかに豊かな地域社会を構築していくかという観点が不可欠です。
(参考)拙ブログ
「賢い縮小」(スマート・シュリンキング)について(中山間地域フォーラム20周年記念シンポ)
https://food-mileage.jp/2026/07/02/blog-652/
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
-高坂 勝『人口減少ええじゃないか論』(2026.6、光文社新書)-
https://books.kobunsha.com/book/b10171278.html
【ポイント】
人口減少により一人ひとりがいくつもの役割を持つ時代になり、生き様をDIYし、隣人たちとDIOを進めることで持続可能な未来の可能性があることが描かれています。

著者は1970年生まれ。30歳で脱サラ、東京・池袋での“退職者量産バー”店主を経て2014年に千葉・匝瑳(そうさ)市に移住し、現在は米自給、古民家活用、民泊等の「多業暮らし」を実践されている方。新聞連載やラジオ出演等も多数あります。
(正確には「高」の字は「はしごだか」です。)
著者は人口減少そのものが問題なのではなく、未だ経済成長を前提とするシステム(呪縛)を引きずっていることが問題であるとします。そもそも世界的にみれば、日本の各都市の人口過密ぶりが異常であるとの指摘もあります。
著者によると、人口減少ほど経済は縮小しないことから、今後、必要な仕事や役割が増え、人はいくつもの役割を担うことになるとのこと。
このことは人口減少が著しい地方ほど顕著であり、困りごとと得意なことをマッチングすることを通じて、一人ひとりが地域の小さな課題とニーズにいくつも取り組むマルチワーカーになると予想しています。このことで、一人でいくつもの人生を味わえることになるとも。
また、食べるものは一部だけでも自分で作る「半農半X」が大切であるとし、「地産地消」とは、世界のどこかの誰かから奪う量を徐々に減らし自足する豊かさにシフトしていくことであるとしています。
さらに、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の売電収益の一部を地域の課題解決に使う「匝瑳モデル」、みんなのうえん(大阪・住之江区)、月見台住宅(神奈川・横須賀市)等の、参考となる事例も多く紹介されています。
最後に著者は、「そろそろ、自分の人生、取り戻しませんか。生き様をDIY(それを、あなた自身でやる)し、さらにDIO(Do It Ourselves, 自ら動いて想いを共にする隣人たちと変えていく)することによって」と、私たちに訴えているのです。
前号で紹介した斎藤幸平氏が予測する悲観的・絶望的な未来像とは全く異なる、自らの手で選び取れることのできる明るい未来の可能性が、本書では描かれています。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届けします。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 「賢い縮小」(スマート・シュリンキング)について(中山間地域フォーラム20周年記念シンポ)[7/2]
https://food-mileage.jp/2026/07/02/blog-652/
〇 未来に希望を描けるか?(高坂 勝さん新著出版記念トークイベント)[7/5]
https://food-mileage.jp/2026/07/05/blog-654/
〇 大村美香さん「私たちの『食』の現在地」(第11回 食と農の未来フォーラム)[7/13]
https://food-mileage.jp/2026/07/13/blog-655/
〇 日なたの中の近藤 恵さん(ロータスシネマ vol.91)[7/13]
https://food-mileage.jp/2026/07/13/blog-656/
▼ 第12回 食と農の未来フォーラム「原発事故被災地の今~ふるさと・浪江町に寄せる歌人の想い」(仮題)
福島・浪江町出身の歌人・三原由起子さんから、原発事故被災地の現状と課題についてご自身の言葉で語って頂き、立場の異なる方も含めた参加者の皆様との間で意見交換したいと思います。多くの方の申し込みをお待ちしています。
(1)日時 :2026年7月22日(水)19時~21時
(2)開催方法等:オンライン(zoomを利用)、参加費1000円
以下からお申込み下さい(Peatixを利用されない方は連絡下さい)
https://peatix.com/event/5074739
(詳細、チラシはこちら)
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/07/260722_flyer0704.pdf
▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
参加等を希望される際には、事前に主催者にお問い合せ下さい。
〇 『食と農』で社会とつながる。~仕事を超えた出会いの場、霞ヶ関ばたけとは~
日時:7月20日(月・祝)14:45~16:15
場所:慶應義塾大学 三田キャンパス(東京・港区三田2)
主催:霞ヶ関ばたけ
(詳細、問合せ等↓)
https://kasumigasekibatake-226.peatix.com/
〇 小農学会 市民公開講座(令和の百姓一揆連動企画)
日時:7月26日(土)13:00~17:00
場所:中村学園大学(福岡市城南区別府5)
主催:小農学会
(詳細、問合せ等↓)
https://forms.gle/oRKHhCbfiCyiAm5s9
〇 青木農園で考える都市農業~ブルーベリー摘みと旬の野菜たっぷりランチ~
日時:7月30日(木)10:00~13:30
場所:青木農園(東京・多摩市和田)
主催:CSまちデザイン
(詳細、問合せ等↓)
https://cs-machi.com/kamikouza3/
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* 米令寺忽々のコツコツ小咄
「レッドカードまでひっくり返せるなんて、まるで魔法のランプだね」
「無法のトランプじゃないの」
コツコツ小咄は個人のフェイスブックで週3日お披露目中。月ごとの「まとめ」は以下に掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.346は7月28日(火)[和暦 水無月十五日]に配信予定です。
正確でより役に立つ情報発信に努めてまいりますので、読者の皆さまのご意見・ご批判、ご要望等をお聞かせ頂ければ幸いです(このメールに返信頂ければ筆者に届きます)。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつも有難うございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F.M.Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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