【メルマガ】F.M.Letter No.346-pray for peace.

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.346◇
 2026年7月28日(火)[和暦 水無月十五日]
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◆ F.M.豆知識  被災12市町村の「復興」の現状
◆ O.カレント  俺たちの伝承館(福島・南相馬市小高)
◆ ほんのさわり 三原由起子『土地に呼ばれる』
◆ 情報ひろば  第13回 食と農の未来フォーラムのご案内(8月中下旬)
         ブログ更新、イベント情報等
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 去る7月24日(金)~27日(日)、久しぶりに福島・浜通り(浪江町、南相馬市)を訪ねてきました。今号は「復興」について考えます。
 本メルマガは時の流れを体感して頂くため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)にコツコツと配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータ等をコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/

-被災12市町村の「復興」の現状-

【ポイント】
 居住率、営農再開率という限られた指標から見ただけでも、原発事故被災市町村の「復興」の現状はモザイク模様であることが分かります。

今回、浪江町と南相馬市を訪ね「復興」の現状を垣間見させて頂きました。その印象を短い言葉で表現することはできません。
 リンク先のグラフは、2011年3月の東京電力・福島第一原子力発電所の事故により避難を強いられた12市町村について、現在の居住率及び営農再開率を、避難指示が解除(一部地域における解除を含む。)された年別に図示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/07/346_fukko.pdf

これをみると市町村による差が大きいものの、2015年以前という比較的早い時期に避難指示が解除された広野町(もともと避難指示が発出されず独自の判断で避難)、田村市(都路地区)、楢葉町においては、居住率、営農再開率ともにおおむね70%以上と「復興」が進んでいますが、一方、避難指示の解除が2017年と比較的遅かった飯舘村、富岡町、浪江町では居住率、営農再開率とも40%未満にとどまっており、さらに解除が遅かった大熊町、双葉町では居住率、営農再開率ともさらに低い水準にとどまっています。
 なお、これら5町村では避難指示の解除は一部地域にとどまっており、依然として町村の区域の相当の部分には避難指示が発出されたままです。さらに居住率については、原発事故発生当時の住民数と比べた場合はさらに低くなります(例えば浪江町では11.2%)。

このように、居住率と営農再開率という2つの指標だけからみても、原発事故被災被災市町村の「復興」の現状はモザイク模様であることが分かります。

なお、今回の浪江町等への旅において、覚悟を決めてそれぞれのお立場で地域の再生に取り組んでおられる方々(帰還された方、移住された方)の姿に接することができたのは、大きな成果でした。

[データの出典]福島県HPから作成
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/756433.pdf
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/700140.pdf

◆ オーシャン・カレント
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/

-俺たちの伝承館(福島・南相馬市小高)-

【ポイント】
 震災と原発事故の記憶をアートで伝える民間のミュージアム。多くの方に訪ねて感じて頂きたい施設です。

おれたちの伝承館HPより

去る7月26日(日)、福島・南相馬市小高区にある「俺たちの伝承館」をようやく訪ねることができました。南相馬市の中で最も南部に位置する小高区にも原発事故に伴う避難指示が出され、2016年に解除されました。「おれたちの伝承館」が開館したのは2023年夏。震災と原発事故の記憶をアートで伝える民間(私設)のミュージアムで、写真家である中筋 純さんが運営の中心を担っておられます。

この日は生憎の強い雨でした。入り口を入ってすぐには帰還困難区域を示すバリケードが展示され、その隣には餓死した牛と、牛が噛んでやせ細った牛舎の柱を模したオブジェが飾られています。
 部屋の中央には畳が2畳敷かれ、寝そべって見上げると、山内若菜さんの天井画が降ってくるような迫力です。

この日はフォトジャーナリスト・片岡遼平さんによる「終わらぬ震災-それぞれの15年」と題する個展も開催されていました。片岡さんが長年の取材の中から紡ぎ出した同名のフォトルポルタージュの出版を記念したもので、片岡さんご自身が解説して下さいました。
 「原発回帰」が進む世の中の流れに、中筋さんは強い怒りをお持ちのように見受けられました。この日も東京から大学生のグループが訪ねてくるそうです。

大規模な国の施設である東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)や東京電力の廃炉資料館(富岡町)とは異なり、震災・原発事故の単なる記録にとどまらず、記憶の風化への抵抗と再生に向けての強い意志を、五感で受け止めることのできる展示になっており、心が揺さぶられます。
 原子力災害考証館furusato(いわき湯本温泉・古滝屋内)とともに、ぜひ多くの方に訪ねて頂きたい施設です。

(参考)おれたちの伝承館HP
https://suzyj1966.wixsite.com/moyai
 原子力災害考証館furusato
https://furusatondm.mystrikingly.com/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/

-三原由起子『土地に呼ばれる』(2022年8月、本阿弥書店)-
https://www.honamisyoten.com/item/tochiniyobareru/

【ポイント】
 福島・浪江町出身の作者が、「復興」が進むふるさとに寄せる思いを情感豊かに歌い上げています。

著者は高校一年生から作歌を始め、様々なコンクールでの受賞歴もあります。代表作は第一歌集『ふるさとは赤』及び第二歌集『土地に呼ばれる』。日本歌人クラブ参与、現代歌人協会会員、日本ペンクラブ会員。

著者のふるさとである浪江町は、2011年3月の東京電力・福島第一原子力発電所の事故により、一時、全町が避難を強いられました。甚大な津波被害を受けていた沿岸部等の被災者の捜索は中断され、動物たちも置き去りにされました。

発災当時、東京にいた著者は友人のiPadをみて、「iPad片手に震度を探る人の肩越しに見るふるさとは 赤」と詠みました。これが第一歌集のタイトルになっています。
 中心商店街にあったご実家の店舗(自転車屋兼おもちゃ屋)は解体され、現在は更地となっています。一方、すぐ近くでは大規模再開発の工事が行われており、先端技術を活用した企業や研究開発施設の誘致も進められています。
 そのような空気に違和感を覚える人の気持ちを、著者は、「復興と言われてしまえば本当の心を言葉にできない空気」と詠み上げています。著者によると「復興は演出である」とのこと。

なお、三原さんをゲストにお迎えして開催した第12回 食と農の未来フォーラムについては、概要を追って拙ブログで紹介させて頂きます。

私は「復興」の現状を評価する言葉は持ちません。ただ、地方で作られた電気の一方的な受益者であり、現在も豊かで便利な生活を営んでいる大都会の住民・消費者には、原発事故被災地の現状に関心を持ち、心を寄せ続ける義務があるということは確実に言えます。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届けします。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 2026年7月前半の出来事-ガチ除草、総合人間学会、地域農政未来塾など[7/18]
https://food-mileage.jp/2026/07/18/blog-657/

〇 「食と農」で社会とつながる。(第226回霞ヶ関ばたけ)[7/27]
https://food-mileage.jp/2026/07/27/blog-658/

▼ 第13回 食と農の未来フォーラムの開催について
 8月中下旬、熊本の有機農家の方をゲストにお迎えして開催する予定です。詳細が決まり次第ご案内させて頂きます。

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 参加等を希望される際には、事前に主催者にお問い合せ下さい。

〇 青木農園で考える都市農業~ブルーベリー摘みと旬の野菜たっぷりランチ~
  (注:満員になり受付終了)
 日時:7月30日(木)10:00~13:30
 場所:青木農園(東京・多摩市和田)
 主催:CSまちデザイン
 (詳細、問合せ等↓)
https://cs-machi.com/kamikouza3/

〇 食の安全保障と食品ロスを考える(ロングライフ・カレッジ)
 日時:8月1日(土)10:00~12:00
 場所:SOCIAL DESIGN LIBRARY(東京・上池袋2)
 主催:(一社)ロングライフ・ラボ
 (詳細、問合せ等↓)
https://www.longlife-lab.jp/journal/2401/

〇 本と音楽
 日時:8月2日(日)11:00~12:30
 場所:図書喫茶カンタカ(東京・東村山市秋津町)
 主催:室内楽の万華鏡
 (詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E5%96%AB%E8%8C%B6%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AB/%E6%9C%AC%E3%81%A8%E9%9F%B3%E6%A5%BD/1159467550586041/
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* 米令寺忽々のコツコツ小咄
「本当にスーパーの棚にあるのを見つけた時は、びっくりしたよ」
「目を白黒させたのね」

 ナフサ不足で白黒印刷になったスナック菓子の袋。エネルギーも食料も海外に依存している現在の社会のあり様を見直す機会になればいいと個人的には思うのですが。
 コツコツ小咄は個人のフェイスブックで週3日お披露目中。月ごとの「まとめ」は以下に掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.347は8月13日(木)[和暦 文月朔日]に配信予定です。
 正確でより役に立つ情報発信に努めてまいりますので、読者の皆さまのご意見・ご批判、ご要望等をお聞かせ頂ければ幸いです(このメールに返信頂ければ筆者に届きます)。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつも有難うございます。
https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F.M.Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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